【書評】『脳が冴える勉強法』(築山節)
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『脳が冴える15の習慣』の著者である築山氏の新刊である。サブタイトルは「覚醒を高め、思考を整える」。
| 脳が冴える勉強法―覚醒を高め、思考を整える (NHK出版新書 369) |
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築山 節
NHK出版 2012-01-06 |
紹介されている勉強法はすごくストレートなものだ。一日5分などのお手軽系勉強法ではない。もっと、がっつりとした勉強法だ。といっても、がむしゃらに勉強しようというのではない。脳の機能や性質を踏まえた上で、うまい時間の使い方をしましょうという提案だ。
ちなみにこの勉強というのは、いわゆる「試験勉強」と言われるような勉強がメインになっている。
特定の教科について知識を増やしていき、それがテストで試される。そういうタイプの「勉強」だ。世の中にはそれ以外にも「勉強」の形はあるわけだが、こういった知識を試されるタイプの勉強も必要である。
章立て&概要
章立ては以下の通り。
第一章 脳を目覚めさせる
第二章 脳を眠らせる
第三章 思い出しやすい記憶を作る
第四章 脳の回路を効率化する
第五章 子どもの脳を育てる
第六章 大人の勉強はどうあるべきか
第一章では、いかに「脳が冴えている状態」を計画的に作り出すか、という話になっている。この「脳が冴えている状態」(覚醒度が高い状態)に勉強するのが一番効率がよい、というのが本書の根本的なテーマだ。
第二章では睡眠について、第三章では記憶しやすいノート術について(これはシゴタノ!で紹介した)が紹介されている。勉強法に睡眠が入ってくるのは意外な感じがあるかもしれないが、脳の覚醒度をいかに保つか、という視点で見た場合、睡眠も重要な要素であることは間違いない。
第四章では、反復練習の重要性が紹介されている。この章で中心的な存在になるのが「ヘッブの法則」である。「ヘッブの法則」をちょー簡単に表現すると「荒れ地に轍が出き、その轍が道になって、人の流れが増加する」というものだ。こういうことが脳のシナプスで起きているよ、というのがヘッブの法則が意味するところだ。
だから同じことを何度も繰り返すことにはきちんと意味がある。残念ながら私たちは現状シナプスの変化をリアルタイムで確認することができないので、基礎的なことを反復練習する意義を疑いたくなる。しかし実際は言葉通り「目に見えない効果」があると言ってよいだろう。よりスムーズに、より省エネで同じ行動を取れるようになるのだ。
反対に、基礎の反復を蔑ろにして、「何とか分かる」という程度で次の段階に進んでいこうとする人は、応用的な要素が増えれば増えるほど、意識的に操作しなければならない部分が大きくなっていくので、思考が続かない。枝葉の部分まで考えることに脳が耐えられなくなっていくと思います。だから、習熟が遅いわけです。
表面的なテクニックを追いかけるだけの弊害、といってもよいのではないだろうか。
第五章では子どもの教育法について少しだけ語られている。もちろん、しつけの話ではない。子どもの成長に合わせて、脳の使い方のトレーニングを変えた方がよい、という提案だ。
第六章は大人の勉強について。さすがにこの2012年で学校を卒業したらもう勉強しなくても良い、と考えている人は少数だろう。そのモチベーションをどのように獲得するのか、というお話になっている。この章では大人の勉強に「目標」が不可欠である、ということが語られている
子どもは、勉強した先に何かしらの「ご褒美」がある場合がほとんどだ。その「ご褒美」が脳の報酬系を刺激するので、とりあえずは勉強をする。
ところが、大人にはこれがありません。ただ勉強しているだけでは誰も褒めてくれませんし、大人は合理的知性が高いですから、何のために受けるのか分からないような試験を自主的に受けて合格しても、十分な満足感は得られないと思います。
つまり、勉強という行為そのものには報酬系は働かない、ということだろう。
※勉強することそのものが好きな人(知的好奇心に満ちあふれている人)は別である。
勉強をすることでその先に何が待っているのか、何を成し遂げたいのかという「目標」がなければ、勉強はなかなか続かないということである。
もちろん、心理学的なテクニックを使って、日々の勉強に報酬系を刺激する要素を付け加えることはできる。
しかし、本書でも指摘されているように、目標にまったく結び付かない勉強をそういうテクニックを使って続けようとしている行為そのものに白けてしまう、という可能性がある。ある日突然「なんでこんなことをしてるんだろう」というような感覚だ。
結局のところ、「この勉強をすることが今の自分には必要だ」と心の地下倉庫で認識できない行為は、続けていくのが難しいと言えるだろう。
さいごに
本章は勉強法というよりも、勉強するための環境作りといった要素がたくさんある。つまり、より汎用性があると言えるだろう。
試験を一回パスすればもうその知識は必要ない、という場合であれば本書のような勉強法はおそらく必要ないかもしれない。たぶん、手間がかかるだけだ。ただ、マラソンを完走するのにしっかりとした準備が必要なように、長期的な勉強にもその環境作りが必須である。
知識を右から左に流すのか、それともシナプスをかえるのか。「今の自分に必要なもの」はどちらだろうか。
▼こんな一冊も:
| 脳が冴える15の習慣―記憶・集中・思考力を高める (生活人新書) |
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築山 節
日本放送出版協会 2006-11 |






























