気が重いときは、仕事の手がかりだけでも残す

タスクリストを眺める。チェックマークのついていない項目はまだまだ多い。未解決かつ先頭にあるタスクは、「メルマガ-今週の一冊」だ。2000字ほどの本を紹介する原稿。幸い紹介する本は決まっている。ゲルハルトなんちゃらの『哲学...

point of no return

「みんな、大事なことだから、よく聞いてくれ。  取り返しのつく一歩など存在しない。  もう一度言うぞ。  取り返しのつく一歩など存在しない。  だって、そうだろう。  進んだ時間は元には戻らないし、吐いた言葉を引っ込める...

ハサミ

 男はハサミを弄んでいた。指かけはぬめりとした漆黒、刃は輝くような銀。それだけでどこか惹きつけられるそのハサミを、男は図書館で見つけた。奥まり、ジメジメとした空気が漂う一角に、堆く積まれた書籍。新雪のような埃。誰にも顧み...

ため息

 はあ。ため息をついた。一体何度目のため息だろうか。  ため息をつくと幸せが逃げてしまうなんて言葉があるけど、あれは嘘だ。幸せが逃げているからため息が出てくるのだ。観測者の認識違いによって、因果関係の混乱が生じている。ば...

Rashita’s Christmas Story 8

 視界の端の時刻表示が23:59から00:00に切り替わる。セカンダリースペースに置いておいた動画サイトから、サービス名を高らかと宣言するPR音声が溢れてくるが、今は気にしている場合ではない。イベントの始まりだ。  僕は...

整えられた再現性 <Dr.hack>

前回:R-style » 逆効果なエフェクティブ <Dr.hack> 「さあさあ、続けようじゃないか」  ハカセは腕を振って、ホワイトボードをホワイトに還す。そして、≪再現性の付与≫と大きく書きつけた。 「ま...

逆効果なエフェクティブ <Dr.hack>

「やあやあ、よく来てくれたね」  研究所となっているマンションの一室に入ってみると、ハカセが両手を拡げて迎え入れてくれた。 「どうしたんですか。めずらしく呼び出しなんて」  僕が問いかけると、ハカセがニンマリ頷く。「ちょ...

レールのおり方 [先輩と後輩シリーズ]

「せんぱーい」 「ん?」 「あのですね、ちょっと相談がありまして」 「なんだ、言ってみろ」 「私に投資してください!」 「断る」 「ちょっ! 決断が早すぎませんか。もっと熟慮してくださいよ。三日三晩悩み抜いてから重々しく...

生きるという現象

自分とは何か。 自分ではないもの、ではないものの総体だ。 馬鹿げてる。 いや、それが事実さ。 まるで抗体だね。抗体的自我。 接することだよ。あらゆるものに。そうして反応をうかがうんだ。 自分か、そうでないか。絶え間なき自...

信号機

二人の男がいた。二人は同じ道を使って出勤していた。 二人はちょうど同じ信号に引っかかった。二人は、同じものに気がついた。 「おっ、なんだ。あの信号機に木の枝が引っかかっているじゃないか。見えにくい。一体なんだ。誰が俺の邪...