Category: 知的生産

Evernoteと大学ノート

私はEvernoteを使っています。
私は大学ノートを使っています。

統一したらいいのに。

でも、できません。

なぜ。

ノートの中の記録

大学ノート(以下ノート)は、書き込むときにページを開きます。

最新のページに辿り着くまでに、過去の記録の存在が知覚されます。内容が目に入ることすらあるかもしれません。あるいは、新規ページに書き込んでいるときに、パラパラと前のページを読み返すこともできます。

連続性の中に、記録が置かれているのです。

Evernoteの中の記録

Evernoteだって、連続性を持っています。タイムスタンプがあり、過去全ての情報にアクセス可能です。

とは言え、ノートにつらつらと記録を書きつけるのと同じような感覚がEvernoteにあるのかというと、やっぱりそれはありません。

なぜか。

inboxです。

inboxは、基本的に常時Zeroであることが推奨されます。でもって、新しく作成されたノートはこのinboxに入ります。このやり方をしている限り、新規作成されるEvernoteのnote(以下note)は、断片的に浮遊した存在となります。別の記録と切り離されているのです。

解決策としてのビュースタイル

もちろん、これは使い方の問題です。

私は気がつきました。inboxをホームにしなければいいんだ。では、どこにする。「すべてのnote」だ。Mac版のEvernoteには、特定のノートブックを表示させることもできますし、ノートブックの区切りなくすべてのnoteを表示させることもできます。

でもって、この「すべてのnote」をデフォルトで使うようにしておくと、ノートを使うときと同じような感覚が得られることがわかりました。

inbox zero体制で新規noteを作れば、そのノートは一人ぼっちの状態に置かれます。しかし、「すべてのnote」状態で新規noteを作れば、それはnoteのタイムラインに位置することになります。過去の記録と今の記録がひと連なりになるのです。

でもって、この使い方は、すべてを一つのアウトラインにまとめるWorkFlowyを触っている感覚と近くなります。実際は違いが多くありますが、「すべてがここにある」という感覚は強まるのです。

集まりすぎる情報

ただ、問題は一つあって、どう考えてもそれは使いにくい、ということです。だって、noteを分類する役割こそがノートブックの存在意義ですからね。「すべてのnote」はその役割をはぎ取ります。

特に私は、多くのものをEvernoteに入れてしまっているので、「すべてのnote」ビューはかなり雑多なものとなります。幕の内弁当とハッピーセットとラーメンライスを合わせたくらいの雑多さです。そのままの状態では使いづらいことこの上ありません。

とはいえ、「すべてのnote」ビューを使いやすくするために保存する記録を減らす、というのは本末転倒間が漂ってくるので避けたいところです。

さいごに

という問題を解消するために出てきたのが、flowboxでした。「すべてのnote」から醸し出される要素をinboxに寄せたのです。

しかし、これを書いていて思ったのですが、inboxはinboxのままにして、なんとかして「すべてのnote」ビューでやっていく、というのも一つの手かもしれません。

noteの数(あるいは増加数)が少ない場合は、試してみる価値はありそうです。

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Evernoteのinboxをflowboxに その5

Evernoteのinboxをflowboxに その4

概要

  • 基本はinbox
  • しかしzeroにはしない
  • かといって入れすぎたりもしない
  • でもって戻すことも

flowboxとは

flowboxはinboxの拡張的概念です。基本は同じ。すべての情報の受け皿となる場所で、そこから振り分けて、適切な場所に情報を移動させます。

ただし、その運用においてはinbox zeroを目指しません。情報が残っていても気にしないのです。むしろ、常に一定量の情報がそこに存在していることを推奨すらします。

ただし、その数が膨大になることは固く戒めます。上限はせいぜい30。それを超えるようであれば、強制力を持ってノートを移動させます。押し出しファイリングと同じです。

flowboxが抱える情報

では、このfowboxに置いておく情報とはどのようなものでしょうか。いくか種類があるのですが、その前にこのflowbox(旧inbox)が私にとってどんな存在であるのかを考えてみます。

まずEvernoteはMac上で常に開きっぱなしです。flowboxは最低でも一日に一回処理しますが、それとは別にflowboxは私にとってのEvernoteのホームでもあります。Evernoteを開いたらまず、flowboxを確認する。どこかのノートブックを参照し終えたら、一旦flowboxに返ってくる。そのような使い方です。サイドバーのショートカットの一番最初に登録してあるので、どこにいても、command + 1のワンアクションでflowboxに帰ってこられます。これがホームということです。

つまり、このflowboxは「私が常に目にする場所」だといってよいでしょう。逆に言えば、このflowboxには「私が常に気を止めておきたい情報」を置く場所として使う、ということでもあります。

ホットなアイデア

何かしら思いついて、メモを書き留めたとき、「あっ、これはちょっと掘り下げたい」と感じることがあります。もうちょっと何か書きたせる気持ちが湧いてくるのです。しかしそれを「アイデアノート」に移動させてしまうと、その他のアイデアと混ざり合い埋没してしまいます。そのとき感じたホットさが失われてしまうのです。

だから、flowboxに置いておくのです。そこに置いておけば、私は常にそれを目にし、機会があれば何かを書き込むことでしょう。しばらく置いて、何も変化がなければ、さっさと「アイデアノート」に移動して構いません。

この一時的な「滞留」を作るのが、flowboxの役割です。

情報の仮留め

あるいは、「一時的にしか参照しないが、直近ではよく参照されるし、わざわざプロジェクトノートを作るまでもない」情報というのがあります。たおえば「ガイノオト 進化素材」なんてノートがそれです(詳細は割愛します)。Googleカレンダーから飛んできた、「確定申告開始」のリマインダーも同様です。

こちらはホットなアイデアを温めていくのではなく、短期限定で参照したいもの、あるいは自分の肝に銘じたいもの(「これをゆめゆめ忘れるではない」)を保存しておく使い方です。パソコンのディスプレイに付箋を貼るようなものだと想像していただければよいでしょう。

熟成

単にホットなだけでなく、「これは時間をかけて、一行一行要素を追加していきたい」と思う企画案があるかもしれません。それもまた、このflowboxに保存しておきます。

このノートは活発に動くことはありませんが、自分が抱えているテーマの覚え書きのような働きをしてくれます。情報が過去に追いやられる状況になれすぎていると、新しいものばかりに視点が向かい、ゆっくりじっくり進めていくものが忘却されがちです。flowboxにそれを留めておくことで、状況の改善が少しは見込めるかもしれません。

さいごに

という使い方をするのがflowboxの運用法です。理屈は難しくありませんが、何をflowboxに置いておくのかの判断は簡単ではありません。一歩間違うと__大量のファイルに埋もれているデスクトップと同様に__何もかもをここに置いておきたくなるからです。

逆に言えば、ここに置いておく・置いておかないの判断を通して、アイデアのジャッジメントを行っていると言えるかもしれません。

一点付け加えるなら、このflowboxには、別の場所に移動したノートが「戻ってくる」こともあります。「ちょっとこれ、温めなおしてみようか」ということもできるのです。この動きもまた、flowboxをflowboxと呼ぶ由縁でもあります。

(おわり)

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Evernoteのinboxをflowboxに その4

前回:Evernoteのinboxをflowboxに その3

概要

  • 私がEvernoteに保存しているもの
  • それぞれの性質について
  • 厄介なアイデアメモ

Evernote内情報環境

すでに6万5000を超えている私のノートですが、その中身は多様です。仕事に使うものに限っても、アイデアメモ、書き終えた原稿、Webスクラップ、読書メモ、テンプレート、チェックリストなどがあります。

それらの情報は、いくつかの切り口を持ちますが、ポイントは使用頻度と使うタイミングです。今動いているプロジェクトで使う、将来のプロジェクトで使いそう、今のところ何の関連づけも行われていない、プロジェクトを問わず使用する、といった違いによって、使う頻度もタイミングも変わってきます。整理もそれに合わせて行うのがよいでしょう。

で、問題はアイデアメモです。

以前以下の記事を書きました。

Inspiration-State あるいは情報カードに書けること

さわりだけ〜完成品まで、着想にもさまざまな状態があります。完成品には(少なくとも素材としては)もはや手を加える必要はありませんが、さわりの状態のものには追加の知的作用が必要でしょう。

その必要性は、『アウトライン・プロセッシング入門』や『アウトライナー実践入門』からもふつふつと感じていました。すべてのアイデアメモを一つのアウトラインに入れ、定期的に読み返したり、手を入れたりして、素片を育てていく。これは完成品のアイデアメモには必要ないかもしれませんが、さわり状態のものには必須です。

再びinbox

inboxの話に戻ります。

inbox zeroは、入ってきたすべての情報に対して「処理」を行い、しかるべき場所へと移動させます。これはタスクに対しては合理的な判断でした。すでにプロジェクトに関連づけられているアイデアですらそうでしょう。では、アイデアの「さわり」はどうでしょうか。その「さわり」は処理できるのでしょうか。

本来それは時間をかけて育むべきものです。しかし、inboxの中で「処理」されてしまうと、どことなく終わった感じがするものです。言い換えれば、「意識的に見返さない限り、見返さない」状態になります。

もちろんそれはそれでよいのです。私が思いつくピンからキリのアイデアは膨大であり、そのすべてを見返している暇はありません。意識的に見返せる分だけを限定して見返す、というやり方は十分機能します。が、それだけで本当によいのか、という疑問も消えません。

アウトライナーを触るように、「それを触るときは、アイデアのさわりにも触る」という状況を作れば、何かが変わるかもしれません。特に、一日二日ではなく、数ヶ月かけて育んでいくようなアイデアについては。

(つづく)

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Evernoteのinboxをflowboxに その3

前回:Evernoteのinboxをflowboxに その2

概要

  • 情報の性質に合わせた管理
  • 「押し出しファイリング」から学ぶ
  • 自分にそれを適用する

情報の性質と整理手法

タスク管理から情報管理に視点を上げると、「情報にもいろいろあるよな」という発見につながります。情報にも種類があり、それぞれ性質は異なります。もし、適切な管理法なるものがあるとすれば、それぞれの性質に合わせた管理手法が含まれるものとなるでしょう。情報整理の道具箱です。

ここで参考にしたいのが、野口悠紀雄氏の「押し出しファイリング」です。詳細は割愛しますが、「更新日順」にファイルを整理していくやり方で、アクティブな作業情報を管理するのに適しています。

で、面白いのが「神様」ファイルの存在です。「神様」ファイルは、名前の通り特別なファイル存在で、野口氏は「論文のコピー、名簿、使用説明書、保証書」などがこのファイルになる可能性が高いと述べられています。使うには使うだろうけれども、頻繁に使うわけではない(≒アクティブではない)情報、ということです。こうしたものは通常使うのとは色を分けた封筒を用いるなどして、すぐにそれとわかるようにしておくと検索効率がアップすることが示唆されていますが、注目したいのはこの点です

。おそらくこの「神様」ファイルは、あまり使用されずに右側に押し込まれていっても、通常のファイルと同様に「押し出される」(≒捨てられる)ことはないでしょう。つまり、情報整理に二つの軸があるのです。

一つは「更新日順」に並び替えられ、使用率の低いものは端に押し出されて、やがては捨てられるフローを持つもの。もう一つは、使用率には注目せず、むしろ重要度に注目して、一つの場所にとどまり続けるもの。この二つです。

物事には周期があります。一日に一回、三ヶ月に一回、数年に一回。アクティブな仕事の情報は使用する周期が非常に短く、完了後は徐々に長くなっていきます。それにあわせて情報環境を整理するのは合理的でしょう。しかし、その物差しでもともと数年に一回しか使わない情報を処理してしまえば、即座に捨てられてしまいます。情報の性質が違うのに、一つの手法で処理しようとすると、どうしても無理がやってくるのです。

となると、私は次のことを考えなければいけません。私がEvernoteに保存している情報にはどんな種類があり、それぞれの性質はどのようなものなのか。

(つづく)

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Evernoteのinboxをflowboxに その2

前回:Evernoteのinboxをflowboxに その1

概要

  • タスク管理は情報整理に内包される
  • Evernoteでは情報整理を行っている
  • Evernoteの管理はタスク管理手法だけでは足りない可能性

タスク管理と情報整理

概念の関係を整理してみましょう。

まず、一番大きな枠組みとして、「情報整理」があります。情報というものを整理する行為です。

その情報には、いくつかの種類があるでしょう。たとえばその一つがタスクです。そのタスクを整理する行為が、タスク管理と言えます。言い換えれば、タスク管理とは情報整理の一分野なのです。

情報には、他にもアイデアと呼ばれるものがあります。それを管理することもまた情報整理です。それがアイデア整理術などと呼ばれるものです。これもまた、情報整理の一分野に位置づけられます。

Evernoteは情報整理

ほんとうにすべてとは言えませんが、私はEvernoteにさまざまなものを保存しています。ライフログ、タスク、アイデア、原稿、取扱説明書……。よって、私がEvernoteで行っていることは、総合的な意味での情報整理です。

当然その中にはタスクも含まれているのですから、タスク管理の技法が役立つ部分はあるでしょう。実際に役にも立っています。ただし、それは全体の中の一部に過ぎません。つまり、タスクに関与する部分だけ、ということです。

Evernoteで行っている情報整理のうち、タスク以外の部分については、タスク管理以外の技法が必要なのではないか。つまり、inbox zero という手法だけでは足りないのではないか。

それが少し前から私が持ち始めた疑問であり、flowboxという概念が生まれた理由でもあります。

(つづく)

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Evernoteのinboxをflowboxに その1

概要

  • inboxは受信箱。情報の最初の着地点
  • inbox zeroは、受信箱に情報を溜めておかないようにするメソッド
  • inbox zeroは、タスク管理における手法
  • Evernoteにもinboxはある
  • Evernoteは、タスク管理ツールだろうか?
  • Evernoteのinboxにinbox zeroを適用すべきだろうか

デフォルトノートブックとinbox

Evernoteには、「デフォルトノートブック」というものがあります。全ノートブック中たった一つだけ指定できるノートブックで、何も指定がない状態でノートが作成されると必ずそのノートブックにノートが到着することになります。Gmailなどのメールソフトにおける「受信箱」(inbox)の位置づけです。

一般的にEvernoteの運用では、まずこのデフォルトノートブックに情報を着地させ、その後処理を行った上で、適切なノートブックに振り分ける、という手法がとられます。私も十年近くEvernoteを使っていますが、まさにこのやり方で運用しています。役割が似ているので、このノートブックに「inbox」と名前をつける方も多いようです。

さて、このデフォルトノートブックの処理法ですが、inboxという名前がついていることから、inbox zeroの手法が用いられることが多いようです。概要は省略しますが、inboxをメールの置き場所にしないという指針を持つ運用法で、入ってきたメールに対して必ず何かしらの処理を行い(あるいは判断をくだし)、メールを片付け、その数をゼロにするという具体的な営みが繰り返されます。

これはまったく合理的な手法です。リストのコンテキストが混乱するのを避けられますし、どうせ避けられない「判断をくだす」という作業が促されるのも魅力的です。世の中には「あとでいいか」と思えるものもたくさんありますが、たいていそれは処理が面倒な案件に対して起こりがちな気持ちで、つまりは体の良い先送りでしかありません。そのときずばっと判断を下した方が、実は精神的にもよかったります。

で、問題はそのinbox zeroという手法がEvernoteのデフォルトノートブックの処理にも適用できるのか、という点です。

(その2につづく)

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KJ法によくある勘違い あるいは真なるボトムアップについて

・KJ法はカードにすべてを書くわけではない
・KJ法はカードのすべての組み合わせを試すわけではい
・KJ法は「分類」ではない


・KJ法はカードにすべてを書くわけではない
 カードに書くのは「見出し」だけ
・KJ法はカードのすべての組み合わせを試すわけではい
 「近しい」カードを集めていく
・KJ法は「分類」ではない
 むしろカップリング


KJ法において、カードに書くのは「見出し」です。情報のすべてを記述するわけではありません。カードに記述される「見出し」は、ようするに概念(コンセプト)のラベルであり、それをひと言でまとめるには結構な技術が必要です。

また、KJ法は1つのカードに対して、他のすべてのカードとの組み合わせを機械的に試していくようなことはしません。カード全体を眺め、「近しい」と思うカードを近くに寄せる(→グループを作る)ことをしていくだけです。

ここでは行われているのは、いわゆる機械的な操作ではなく、むしろ極めて直感的な操作です。なにしろ、「近しい」と思うのは、その人の感性なのですから。よって、同じカードを用いても、人によってはまったく違うグループが形成される可能性は十分あります。人はそれを個性と呼びます。

ちなみに、上記二つの要素は呼応しています。つまり、カード全体を眺めたときの一覧性を高めるために、カードには「見出し」しか書かないわけです。細かい要素まできっちり読み込まないと、その概念(コンセプト)が想起できないようでは、直感による組み合わせを作り出すのは難しくなります。

「分類」しないKJ法

上記のやり方を遵守する限り、KJ法は「分類」にはなりません。つまり、カード全体を眺めてから、「○○に関する要素を集めよう」とはならないわけです。

「○○に関する要素を集めよう」という操作は、キーワードを用いた機械的な選別です。そこには、「近しい」と思うものを見つける直感的な操作はまるで含まれていません。その人の感性が入り込む余地が非常に小さいのです。

そこで行われていることは、あらかじめ存在している「分類項目」に、並べられているカードを配置しているにすぎません。

私はそれを「ボトムアップに見せかけた中途半端なトップダウン」と呼ぶことにしています。つまり、一つひとつの要素をカードに書き、それらを使って全体像を作り上げていく、という姿勢においてはボトムアップであるものの、そのまとめ方が(まとめ方の最初の一歩が)トップダウンなのです。下からの視点ではなく、むしろ中腰くらいからの視点でアプローチしてしまっているのです。

この二つ、つまり「KJ法的ボトムアップ」と、「ボトムアップに見せかけた中途半端なトップダウン」との違いは、実際にやっているときには案外に気がつきにくいものです。しかし、この二つから生み出されるものはまるで違います。前者は創造的・刺激的・挑戦的・アンチ規格的・アウトサイダー的になりますが、後者はたったひと言で言い表せます。退屈なのです。

さいごに

別にKJ法に信仰心を持っているわけではありません。単に「真なるボトムアップ」に潜む創造性と難しさに思いを馳せているだけです。

私たちは、ついつい「分類」してしまう、という心理の癖を持っています。使い慣れたその道具は、何かしらを「考える」ときに、頻繁に顔を覗かせます。ボトムアップ的アプローチは、その癖に変化を与える(あるいは変化を強要する)ものと言えるかもしれません。

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WorkFlowyにある等価性と絶対性

その1. アウトラインに存在する各項目は等価である
その2. それらすべては一つの大きな流れの下にある


その1. アウトラインに存在する各項目は等価である
 各項目に表現上の区別はない
 各項目は上位にも下位にも位置できる
 各項目はズームによってカレントになれる
 →すべては断片である
その2. それらすべては一つの大きな流れの下にある
 各項目は大きなアウトラインの一部である
 そこから逸脱することはできない
 移動しようが、ズームしようが大に位置する小の構造は動かない
 →ひとつの全体がそこにある


WorkFlowyは、一つの大きなアウトラインを持ちます。すべての要素(項目)はそのアウトラインの中に位置づけられます。原則的に「他の場所」は存在しません。まるで私たちの人生のようです。

『アウトライン・プロセッシング入門』が示すように、WorkFlowyはプロセス型アウトライナーであり、見出しと本文の区別がありません。すべての項目が同じ性質であり、いつでも見出しになれますし、本文にもなれます。その意味で、すべての項目は等価な存在です。

ときに一つの項目にズームして、その他の項目を無視することもできます。私たちが「今」という瞬間にフォーカスするかのようにです。結局の所、私たちの人生が「今」という瞬間の連続でしかないように、WorkFlowyの各項目もフラグメント(あるいはピース)な存在でしかありません。むしろ、そうであるからこそ、移動したりズームしたりが可能になります。

とは言え、すべての項目がどれだけ等価で自由であろうとも、一つの大きなアウトラインに位置していることは代わりありません。それぞれの項目は相対的自由を手にしていながらも、一つの大きなアウトラインという絶対性の中に制約されています。それを人は(もしかしたら)一貫性と呼ぶのかもしれません。自我と呼ぶ人もいるでしょう。自分の人生という呼び方だってあるはずです。

自分の人生の中に位置するもの、それらはどれだけ偉大であろうとも、あるいは愚かしくあろうとも、すべては等価で、相対的です。環境の揺らぎの中で、ズームするもの、上位に置くものは代わりえます。それを私は自由だと呼びましょう。

しかし、それらはどこまでいっても、自分の人生の中に位置するのです。どれだけズームしたってそれはかわりません。逃れられないのです。その絶対性を受け入れること。どこにも逃れられないことを、肯定的に受け入れること。

これもまた、私は自由と呼びましょう。

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「Milanote」のExport機能

前回:「Milanote」のBoard機能で階層を作る

今回は「Milanote」のExport機能についてみていきます。残念ながら、現段階では一番残念な機能です。

Exportの種類

作成したボードを外部出力するための「Export」機能には、いくつかのフォーマットが選択可能です。簡単に見ていきます。

■PDF(Canvas)

screenshot

配置したパーツをそのままに画像形式でPDF化。ちなみに現状では、日本語はバケます。

■PDF

screenshot

テキストに起こしたPDF。こちらも日本語はバケます。

■Word

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WordやPagesで読み込めるdocx形式での出力。こちらはきちんと日本語が通ります。

■Markdown

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見出しや他のテキスト装飾がマークダウン変換されたmdファイル形式。

■plaintext

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ごくシンプルなプレーンテキストで、階層表現が行頭のスペースで表現されています。

イマイチな出力機能

というわけで、まず日本語環境ではPDFはどちらも使えません。この辺は徐々に改善されるでしょう。あるいはそれに期待です。

少し使いづらいのは、どれか特定のボードだけを選んで出力、というのが不可能な点です。現状では、すべての階層が一枚のファイルとして出力されます。これは選択できるのが望ましいです。

で、ややこしいのが階層表記です。かなり癖のある見出しの処理をしてくれます。マークダウンで考えてみましょう。

screenshot

こういうボードが、以下のように見出し付けされます。

screenshot

冒頭の「# tadanori’s workspace」はいいですね。次の「## 月刊くらした計画」も構いません。ややこしいのが、その次の「# 月刊くらした計画」です。階層が一つ上に戻っています。さらにその次の「# 月刊くらした計画ZZ」で、見出し1のレベルが連続しています。さて、これはどのように解釈すればよいのでしょうか。

整理してみると、まずボードそのものの名前は#で見出し付けされます。そして、そのボードに含まれるコラムが##で見出し付けされます。また、ボードに配置されたNote(テキスト要素を扱うパーツ)で設定した見出しは###で処理されます。

ここまではわかりやすいですね。では、ボードに配置されたボードはどうなるかというと、「ボードそのものの名前は#で見出し付けされる」が適用されて、#になるのです。だからもしメインのボードに1つだけボードを配置し、そのボードの中にまた1つだけボードを配置しを繰り返していくとひたすらに#の見出しが並ぶことになります。

これは将来的にボードを選択して出力する事態を見越しているのか、あるいは階層が深くなりすぎると#が7つ以上になってしまう事態を回避しているのかはわかりませんが、とにかく何かしらは理由があるのでしょう。とはいえ、若干扱いが面倒ではあります。

ちなみに「Unsorted notes」に入れてあるものも、きちんと末尾に配置されて出力されます。これはあるいは出力されない方が使い勝手がよいのかもしれません。

さいごに

というわけで、作成の面ではいろいろ気配りが聞いたツールではありますが、現状の段階でのExport機能はそれほど当てになるものでも、小回りが利くものでもありません。一応プレーンテキストであれば行頭のインデントがあるので、WorkFlowyなんかには投げやすいかもしれません。

とりあえず、全体的に改善の期待が強い機能回りです。

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「Milanote」のNote,Image,Link,Column,Linkeの詳細

前回:「Milanote」で使える6つのパーツ

今回は、Milanoteで使える全パーツ6個のうち、5つのパーツを紹介していきます。

Note

Noteの担当はテキストです。テキスト装飾には、見出し、太字、斜体、箇条書きリスト、番号付きリスト、チェックボックス、引用、が使えます。カードの上部の色も変えられます。あと、そのテキストのソースも記入できます。引用文などをメモしておくに最適な機能ですね。

screenshot

ともあれ、デジタルノートではありふれた機能なので、特に解説は不要でしょう。

ちなみに、装飾で見出しを設定しておくと、マークダウンでエクスポートした際、ちゃんと見出しとして処理されます。

screenshot

「えっ、見出し1(#)じゃなくて、見出し3(###)になるの?」

という疑問があるかもしれませんが、これはちょっとしたトリックというか仕掛けがあるので、それはまた別の回で書いてみましょう。

Image

Imageは画像を扱えます。直接ドロップするか、ファイル選択ダイアログから選びます。カード上部の色が変更できます。また、画像を読み込んだ後は、自由にサイズ変更が可能です(他のカードは任意のサイズ変更は不可能です)。逆に、Lock(ロック)をオンにしておくと、位置の変更及びサイズの変更は不可能となります。巨大なサイズの画像を壁紙がわりに使いたい場合は、ロック機能が便利そうです。

screenshot

画像にはcaptionを入力することも可能です。
※が、現在は日本語入力ができません。コピペで対応できます。

Link

Linkeは、URLを扱うためのパーツです。Descriptionで、そのサイトの概要を入力できますが、多くのサイトから自動的に概要を引っ張ってきてくれる便利な使用となっています。もちろん、自分で入力し直すことも可能です。加えて、カード上部の色が変更できます。

screenshot
※URLを入力すると、概要つきに変換される

screenshot
※いろいろなサイトの例

Column

複数のパーツをまとめるパーツです。他のパーツをドラッグすれば、取り込んでくれます。カード上部の色が変更できます。画像と同じように配置場所をロックすることも可能です。ロックしていても、カードの取り込みは機能します。

Columnは、簡単に言ってしまえば、階層が一つしかないアウトラインです。Column内での順番の配置は自由に変更できますが、横幅は統一され、画像であってもサイズ変更は不可能となります。また次に紹介するLINEは配置できません。

screenshot

ぱっと見ると、このColumnは複数のパーツをまとめるだけの手段でしかなく、あまりたいしたことがないように思えます。こんな機能がなくても、複数のパーツを同時に選択して、一緒に移動できる機能があればいいんじゃね? という気もしてきます。が、それは早計です。視覚的に、複数のパーツを「一つのライン」に並べることには、利便性とはまた違った認知上の意義があります。詳しい解説は避けますが、使ってみればすぐにわかるでしょう。

また、Macではcommandを押しながら、パーツ同士を重ねると(あるパーツを別のパーツにドラッグすると)、自動的にコラムとしてまとめてくれるショートカット機能があります。活躍しそうなショートカットです。

LINE

パーツ同士の関係性を示すためのパーツです。普通に矢印を配置してもいいですし、配置した矢印をパーツにドラッグしてジョイントさせることもできます。ジョイントさせると、パーツの移動に追従してくれるので便利です。一つのパーツに複数のLINEをつなげることもできます。

screenshot

線の色を変えることもでき、また、末端の矢印マークのオンオフが切り替えられます。つまり、「ただの線」「スタートだけある矢印」「ゴールだけある矢印」「両端矢印」の4つが作成できるわけですね。なかなか便利です。

ちなみにパーツにジョイントした状態で、LINEだけをドラッグしようとするとジョイントが外れてしまう点には注意してください。

さいごに

以上が、基本となる5パーツの動作でした。基本的なものばかりなので、ややこしさはないでしょう。とは言え、Noteのソースや、LinkのDescriptionなど細かい点で気が利いているのが嬉しいところです。そうしたちょっとした動作が使いやすさに影響してきます。

残るパーツはあと1つ。Boardだけです。それは回を改めて紹介します。

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