アウトライナー・ライティングの型 〜その2 マグネッティング〜

アウトライナーを使う執筆方法を考察していきます。今回は第二回。

参考文献は『アウトライナー実践入門』ですので、そちらもよろしく。

アイデアの断片を統合する

まずは、一番大がかりなものから。

アウトライナーにアイデアメモをストックしているとしましょう。そこには「思いついたこと」が脈絡なく保存されています。

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このアウトラインを、上から下に眺めていきます。見ていくような、読んでいくような、そんなふんわりとした気持ちでアウトラインに向き合うのです。これを「ブラウジング」と呼ぶことにします。

ブラウジングを進めると、ときどき「ん?」という感触が発生します。「これ、あれと近しいな」と直感が働くのです。そうしたら、その「これ」と「あれ」を近づけておきます。

どちらの項目を動かすのかは自由ですし、どちらを上にするのかも自由です。そのときの感覚にまかせてください。ともかく、内容的に引き合う項目を一緒にしておきます。

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※「認知的に忙しいと、人は何でも信じてしまう」と

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※「「そうだ、人間は直感的に生きればいいんだ」と直感的に理解する。非常に心地よい。」は近しいのではないか。

このような作業を「マグネッティング」と呼ぶことにしましょう。上記のような移動が、マグネッティングの基本となります。

磁石は成長する

近づけた「これ」と「あれ」は、この段階では単に項目が並んでいるだけです。アウトライナー上での明示的なつながりは、項目の近しさ以外にはありません。そこで、便宜的にその「これ」と「あれ」のかたまりを、「クラスタ」と呼ぶことにしましょう。

この「クラスタ」は、成長します。

一度クラスタを生成したら、再びアウトラインの最上部に戻ってみましょう。そして今度は、「あのクラスタに近しいものはないだろうか」という視点でアウトラインを眺めていきます。

アイデアメモのストックが十分であり、あなたがそのメモを意図的にフィルタリングしていない限りは、高確率で近しいものが見つかるはずです。見つかったら、その項目も近づけておきましょう。

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クラスタに新しく項目が入ってくれば、それが新しいフックとなって、別の項目と近しい関係を構築するようになります。それを繰り返せば、クラスタの規模はどんどん大きくなっていくわけです。

ドリッピング

ある程度、クラスタが成長してくると、それらを一つの階層にまとめたい気持ちが自然と湧き上がってくるはずです。操作的にもその方が楽ですし、また、認知的な把握も容易になります。

そこで、無題の項目を一つ立て、その下にマグネッティングして集まったクラスタを配置します。そして、それらを眺めながら、上位項目名は何になるのかを考えます。この作業はその1で紹介したドリッピングそのものです。

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もちろんこの作業は、集まった項目が二つだけのときにでも行えますが、実際はある程度項目が集まってからの方が良いでしょう。ジグソーパズルの数が少ないうちに全体像を予想するのは、誤った先入観を発生させる可能性を上げるだけです。

また、全体を見渡しても二つ程度しか集まらないのであれば、それはまだ材料集めが進んでいない状況と言えるでしょう。無理をせず、そのままにしておいて、アイデアの熟成を待ちましょう。

アクティブ・マグネッティング

マグネッティングは、くっつくものを探す作業なので、単純に上から下にスクロールしていくこともできますし、また、より積極的に、「これにくっつくものはないだろうか」と項目先行型で探すこともできます。磁石を持って砂場の中に眠る砂鉄を吸い上げるような作業です。

そうした項目先行型のマグネッティングを、「アクティブ・マグネッティング」と呼ぶことにしましょう。逆に、全体を眺めて近いものを見つける作業は、「パッシブ・マグネッティング」となります。どちらも有用な方法です。

「アクティブ・マグネッティング」を行う場合は、磁石となる項目を順々にリフトアップ(あるいはリフトダウン)させていけばよいでしょう。WorkFlowyであれば、shift + command + ↑(↓)で、フォーカス中の項目が上下に移動してくれます。そうやって、くっつく先を見つけることもまたマグネッティングです。

クラスタを集めてドリッピングを行った後に、このリフトアップ(リフトダウン)によるアクティブ・マグネッティングを実行すれば、クラスタをさらに大きく成長させることもできるでしょう。

以上のように、ともかく近しい断片を集めていくのが、マグネッティングの基本となります。

マスとクラスタ

以下のアウトラインをご覧下さい。

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2016年07月26日(火)の下位にある「メモ」と冒頭に書かれた項目は、すでに強い磁力で要素同士がくっついています。これらを切り離したり、並べ替えたりするためには、複数のアクションを起こさなければいけません。このような強固なかたまりを「マス」と呼びましょう。

対して、2016年07月27日(水)の下位にある「システム1化する世界」は、要素が断片的に配置されています。当然、並べ替えも容易ですし、別の場所に移動(別の場所から移動)も簡単です。これがクラスタです。

情報を一瞬で把握するには、マス形式が向いています。対して、情報をmanipulateする場合は、クラスタ形式が向いています。この辺りは、目的によって適切な性質が異なる、と理解しておけばよいでしょう。

さいごに

この「近しいものを近づけておく」というのは、KJ法の代表的な手法ですし、PoICのタスクフォース作りにも似た考え方が適用されています。ボトムアップ手法には欠かせないアプローチと言えるでしょう。

ちなみに、このマグネッティングは、『アウトライナー実践入門』の「アウトライン操作の5つの<型>」における「<型3>グルーピング(分類)」とかなり似ています。実際、その中にある「共通性・類似性・親和性で分けること」は、まさにマグネッティングのことです。

ただし、マグネッティングの目的はグループを作ることではありません。グループはあくまで結果として生まれるものです。一定数の似ているものが集まったから、ちょっとグループを作っておこうか、というおまけ的な流れなのです。むしろ、マグネッティングの目的は、クラスタの可視化にあります。このアウトライナーには、こういう近い奴らがいるんだぜ、ということを見えやすくするために、それらを近づけておくのです。

だから、グループができなくても__やってみたら二つしか集まらなかったというのでも__ぜんぜん構いません。時間が経てば、それらは大きくなるかもしれませんし、あるいは再び移動して別の場所にいくことになるかもしれません。クラスタとは、多層的なものなのです。

その点を考慮しておくと、アウトラインをもっと自由に動かせるようになるでしょう。

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▼これまでの連載:
アウトライナー・ライティングの型 〜その1 ドリッピング〜

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Rashita
物書きをやっております。実用書から小説までなんでもござれのハイブリッド物書きです。 ライフハックや仕事術、知的生産などに興味があります。

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