ピアノと、言葉。

ピアノが弾けるようになるには、スケールを練習し、コードを覚え、運指を体に染みこませなければならない。

だったら、言葉はどうだろうか。

「感じたことを、感じたように書けばいいんです」

どうやって?

鍵盤の上をめちゃくちゃに走る指。それと似たような言葉。制御なんてどこにもない。

圧倒的な不協和音の中で、たまたま生まれる和音。そんなものも一瞬で消えていく。

どうやって書けばいい? 何を書けばいい?

問いは虚空へと吸い込まれる。そして、闇は舞い落ちる。

「型」は一筋の光だ。

それは決して答えではない。到着点でもない。ただし、杖にはなってくれる。しかるべき言葉を、しかるべきに配置する助けにはなってくれる。

「これは何かが違う」__そう思うこともあるだろう。そうなれば、型から抜け出せばいい。十分に歩き回ったあなたは、もう杖の手助けなく歩ける力を身につけている。

場数を踏む。大切なことだ。

しかし、めちゃくちゃに指を走らせ続けても、めちゃくちゃに指を走らせる技術が身につくに過ぎない。

型は嫌わなくてもよい。それで消える個性などない。型の使い方にすら個性が宿るのだ。

型を受け入れ、型を身につけ、型を使えるようになる。それが技術を身につけるということだろう。

もちろん、しかるべき型があれば、ということだが。

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Rashita
物書きをやっております。実用書から小説までなんでもござれのハイブリッド物書きです。 ライフハックや仕事術、知的生産などに興味があります。

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