人とコンピュータが手を取り合う知的生産

以下の記事を読みました。

23-seconds blog: コレクションなら私に任せて

本編で書かれていることもたいへん素晴らしいのですが、私は次の部分にひっかかりました。

含みのある書き方なのは、「考えることの質が上がらないことの苦悩」を読んでいたところ、Evernoteの「関連するノート」の機能によって、「バトンが渡るということ」が提示されたためです。

ちょっと、これはすごいことです。
繰り返しますが、「考えることの質が上がらないことの苦悩」を読んでいて、「バトンが渡るということ」が提示されたのです。

そうそう、これこれ。これだよ、と頷きました。「ちょっと、これはすごいことです。」と書かれていますが、本当にこれはすごいことです。

CAW(Computer-Aided Writing)の一つの「在るべき姿」がここに提示されています。いったいどんなツールがこんなことを実現できるでしょうか。それはもうEvernoteしかありません。どれだけ個人向けにカスタマイズされていても、Googleでは絶対に到達できない地平がここにはあります。

「関連するノート」のわかりづらさ

上記の「出来事」は、極めて簡単に言えば、人間の「連想」がコンピュータによってアシストされています。そしてそれが、新しい情報を生み出すことに寄与すらしているのです。

これまでも「関連するノート」についてはいくつも書いてきました。

R-style » Evernoteの共有ノート、あるいはナレッジマネジメントについて
R-style » Evernoteの「コンテキスト」と日経新聞、あるいはEvernoteエクステンション
R-style » Evernoteの「関連するノート」が繋げるもの
R-style » Evernoteの「関連するノート」が最近面白い

でも、まだ十全にはこの価値は理解されていないでしょう。なぜなら、2つのネックポイントがあるからです。

その1:十分な数、Evernoteにノートを蓄えないと見えてこない
その2:かといって、ノイズが多いと役に立たない

「関連するノート」(正式名称はコンテキストですが、直感的にわかりやすいのでこの呼び方でいきます)が、意味を持つのは「そんな情報同士に関連性があるなんて、思いもよらなかった」という状況になってからです。50や100程度の一覧できるノートの数ではさほど「意外」なものは出てきません。ノートを長期にわたって蓄積して、はじめてこの機能のすごさがわかるようになります。

ちなみに、記事で紹介されている二つの記事は、片方が2016年7月21日にアップされたもので、もう片方は2014年11月25日にアップされたものです。つまり、1年半以上の乖離があるわけです。

つい最近で、1年半以上乖離のある情報が頭の中で自然につながった経験はどれくらいあるでしょうか。アフターEvernoteの世界では、そういうことが起こりやすくなるわけです。これを「ナレッジマネジメント」と呼ばないで、なんと呼ぶでしょうか(※)。
※反語ですが、あえてつっこむとフラグメント・マネジメントと呼べます。

とは言え、ただひたすらにEvernoteにノートを増やしても意味はありません。「関連するノート」が面白いのは、それが自分がフィルタリングした情報同士の関連性を提示してくれるからです。たとえば、上の記事の関連が「教育」や「学ぶ」というキーワードによって導かれているとして、その代わりにGoogleで「教育」に検索した結果が表示されたらどうなるでしょうか。まあ、あまり知的生産を刺激するようなことにはならないでしょう。

それと同じように、自分の関心に引っかからない情報をどれだけクリップして増やしても「関連するノート」は面白くならないのです。

結果として、「関連するノート」が面白くなるのは、コツコツと自分が面白いと思う記事や着想をEvernoteに溜めていった先になります。だから、私として言えることは、地道にクリップしていきましょう、ということだけです。2年後ぐらいに面白い発見が生まれる__かもしれません。

さいごに

CAWに求められる要素はいくつかあると思うのですが、この「連想の補強」や「刺激の提供」という点は大いに有用でしょう。脳の弱点をうまく補強してくれています。

とは言え、それがいきすぎると『言壺』のワーカムみたいなことになってしまうので、なかなか難しいバランスではあります。

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Rashita
物書きをやっております。実用書から小説までなんでもござれのハイブリッド物書きです。 ライフハックや仕事術、知的生産などに興味があります。

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