「やりたいこと」を管理する 〜叛逆の仕事術〜

「収入以上に浪費すれば、お金は減っていくばかり」

容易に同意できるはずだ。しかし、時間となるとそうはいかない。


「隙間時間」という考え方がある。ちょっとした待ち時間や、作業と作業の合間などを指す。

それらの「死蔵時間」を活用して、一日の時間を増やそう、というコンセプトが時間活用術には出てくる。

おおむねそれは正しいし、ある部分まではまっとうでもある。ぼけーっと過ごしている5分で読書が進むならそれにこしたことはない。

が、それはどこまで拡張できるだろうか。

5分はいい。10分もありだ。頑張れば30分は捻出できるかもしれない。しかし、せいぜい1時間がいいところだろう。頑張れば2時間ぐらいまではいけるかもしれない。しかし、どうあがいたところでそれは24時間を越えることはない。


「やりたいこと」をこなすためのあらゆるテクニックは有効である。隙間時間を使ったり、作業効率を上げれば、ほとんど間違いなく、達成できる「やりたいこと」は増えていく。

しかし、それらをどれだけマスターしたところでいずれ限界がくる。

それが問題なのだ。

右耳には、「あなたはやりたいことをやるべきだ。人生を向上させるのだ」という声が吹き込まれ、左耳には「時間を有効に使いましょう。もっともっと生産性を」という声が吹き込まれる。

「やりたいこと」が積み上がっていく一方で、それをこなすためのテクニックにも習熟するようになる。しかし、それはいつまで経っても満たされることはない。やりたいことややるべきことは、消化しきれないまま山のように積み上がっていく。

あなたの心は満たされず、自責の念に苛まれる。そしてより良いテクニックを求めて、本を読み漁りセミナーに参加する。

が、その道は袋小路である。栓をしないまま、お風呂にお湯を張っているようなものなのだから。


もう一度言うが、時間活用のあらゆるテクニックは有効であり、大切ですらある。

が、それと同じくらい、あるいはそれ以上に「やりたいこと」や「やるべきこと」そのものをコントロールすることも大切だ。

どれだけ時間効率を高めたところで、一日が24時間であることはかわりない。隙間時間の活用にも、処理速度の効率化にも限界がある。だから、どこかで「あきらめること」を引き受けなければいけない。

残念ながら、あなたをモチベートしてくれる情報にはそういった示唆は含まれていないかもしれない。「もっと、もっと」が基本テーゼだからだ(消費の基本概念でもある)。

別段、一部を「あきらめること」は、すべてを「あきらめること」ではない。やるべきことをやり、できないことは捨てる。ただそれだけの、現実的な話だ。それが残念だというならば、単に現実が残念なだけである。誰にも、どうしようもないことだ(ファンタジーに逃げ込む手はある)。


「タスクリストの項目を一つでも多くこなせるようになる」

大切なことだ。しかし、

「そもそもタスクリストに入ってくる項目を減らす」

ということも大切だ。もちろん、それは簡単にはいかないかもしれない。綱引きがあり、ネゴシエーションがあり、心の痛みがあるかもしれない。しかし、時間は増えないのだから、手を加えられるのはそこしかない。

選び、捨てる。

それが叛逆の仕事術の基本コンセプトである。

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Rashita
物書きをやっております。実用書から小説までなんでもござれのハイブリッド物書きです。 ライフハックや仕事術、知的生産などに興味があります。

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