a margine

インプット過多 – Medium

で、こういう「考え事」が久々な気がして、なんでだろうって考えてみると、ずっと「のきばトーク」聞いてたからだ!と。

僕が心配していることの大半がここに集約されています。でもって、それはショウペンハウエルが毒舌を持って警鐘を鳴らしたこととも重なるでしょう。

僕たちの思想・思索というのは、インプットから始まります。着想は、知覚刺激がトリガーになりますし、そもそも何の知識も持たなければ、どのような思索も進みようがありません。情報を摂取することは、思考のもっとも基本的な第一歩なのです。

でも、そればかり、というのは弊害があります。

インプット過多とは、裏返せばアウトプット過小ということです。それは体重の増加が、過剰栄養と運動不足の両方によってもたらされるのと同じことです。

インプットにもアウトプットにも時間がかかり、インプットに時間を割けば割くほど、アウトプットに向けられる時間は減少します。頭を使う時間が減るのです。それは情報の咀嚼率を低下させ、「自分の人生」という一つの社会への適応率も下げてしまいます。

ここまでは、単純な算数の話です。でも、本質は別のところにあります。

先日、ヘッドフォンを忘れてしまい、何も聞かずに歩いて通勤していると、頭の中に色々な考えが湧いては消え、湧いては消え。そういえば、よくこうやって考え事しながら通勤してたよな、と。

僕はあるとき、周りの人から「ちょっと顔太ってきたよね」と言われて、イヤイヤながら体重計に乗ったところ、「思っていた以上に」体重が増えていることに気がつきました。

なんとなく体重が増えているのは感じていたのです。でもそれは誤差のようなものだろうと思っていました。たとえば60kgが61kgになっているような、そんなイメージです。しかし、体重計が指し示した数字はとても誤差と呼べるものではありませんでした。明確に私は太っていたのです。

つまり、どういうことでしょうか。

僕は、自分が(それほどまでに)太っていることをまったく自覚していなかったのです。たまたま他者の視線という外部情報があり、体重計という客観測定装置があったからこそ気がつけましたが、そうしたものがなければ、僕はずっとそれに気がつかずに過ごしていたでしょう。

情報摂取についても同じことがいえます。いや、もっとタチが悪いかもしれません。

上記の記事ではたまたまヘッドフォンを忘れたという「ハプニング」によって、インプット過多への気づきがありました。逆に言えば、そうしたハプニングが起こらなければまったく気がつかなかった可能性があるのです。

それはつまり、今これをお読みになっているあなたの身にも同じことが起きているかもしれない、ということです。どうですか。ちょっと怖くなってきませんか。

だから僕たちは、防波堤として時間と機会を設けるべきでしょう。考えるための時間を持つ、考えるための機会を持つ、ということです。それはたとえば、近所をふらふら散歩することかもしれません。あるいは、ノートにじっくり向き合うことかもしれません。はたまた、ほとんど何の利益も生まないのに、こうして文章を書くことかもしれません。

ともかく、そうしたことをやっている間は、私はインプットの嵐から遠ざかることができ、自分の心の声に耳を澄ますことができます。地下室の扉を開き、そこに懐中電灯の光を投げ込むことができます。

運動していない人が、とりあえずジムと契約して、カレンダーに予定を放り込むのと、ちょっとばかり似ているでしょう。そこでどんな運動を行うかはわかりませんし、ジムからの帰りにジョッキのビールを空けるかもしれませんが、少なくともそのジム内にいるときは、栄養摂取からは遠ざかり、運動負荷に向かうことが期待できます。

インプットというものを、仮にプラスに見立てたとき、余白と呼べるような時間や機会を持つこと。頭の中を出せる場所を持つこと。それが案外大切です。

最後にもう一度書きます。インプット過多になっていても、自分だけではまず気がつきません。そのことは__情報化社会な現代では__、モーセに頼んで十一戒目に刻んでもらったほうがいいくらいです。

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