不都合な話についての断章

たとえば、たとえばですよ。

あなたを騙そうとしている人がいるとします。

ええ、単なる想像というか思考実験なので、「私みたいな善良な市民を騙そうとする人なんていない」と思っておられても、ここは我慢して仮説にお付き合いください。とりあえず、そういう人がいたとします。

ではですね、何かのきっかけで、あなたがその人になったと想像してください。ええ、騙す方の人になっちゃったわけです。不快かもしれませんので、そういうシミュレーションだと思って頂ければよいでしょう。思考実験の中にあるシミュレーション。一種のゲームみたいなものです。

で、仮にそのような状況になったとして、あなたは騙そうとしている人にどのような態度を取りますか。つっけんどん? 攻撃的? それとも優しい?

必要なのはなんでしょうか。長期的な信頼? それとも短期間でもいいから鵜呑みにさせる情報?

もっとも効率的にやり遂げるには、どのようなスタンスで臨みますか。


「ほら、このノウハウはたしかに再現性があります。こうして成功している人がいるんですから。それにものすごく人気なんです。もうこの業界にいる人ならみんな知ってますよ」


ちゃんとした薬と、まがいものの薬があったとしましょう。

片方は成果を確認するために数々の実験を行い、きちんと認可も下りている薬です。その分コストもかかっているのですが、なるべく多くの人の手に渡るように価格を目一杯上げることはできません。当然、粗利みたいなものは小さくなります。

一方まがいももの薬は、成分も適当で、当然試験なんかもせず、どうなろうとしったこっちゃないので高い値段をふっかけられます。それはもう目一杯の粗利が稼げるわけです。粉ものなんて目じゃありません。結果的に、バンバン広告が打てますし、有名人に宣伝をお願いできたりもします。それによって実際は効果がないことをうやむやにしちゃうわけです。

で、それがまた新たなる売上げにつながるのです。


実力がないのに、すごい人に見られたい場合の二択。

(1)とにかく現場に赴き、実践と研鑽を重ね、やがては実力を身につけることを目指す
(2)とにかくでかいことを言いまくり、自分がすごい人だと吹聴し、そう思わせる情報を発信し続ける


「効果が出るまで、続けなかったのが悪いんじゃないですかね。だって、このノウハウは再現性があるんです。成功できないのは、あなたが悪いんですよ。ノウハウのせいにしないでください」


諦めない限り、夢は続いていく。

でも、人生はどこかで終わる。


「年利10%で、元本完全保証」
「この株は間違いなく上がります」
「これであなたも今日から人気者」

ほんと?


「知らなきゃ損。時代に置いていかれます」

勝手に追い越してください。


「あなたの人生を取り戻そう!」

取り戻すその主体は、誰なんでしょうか。


「願えば叶う」+「願わなかったことも叶う」+「願っても叶わない」+「願わなかったことは叶わない」=人生


ねえねえ、それって、本当に必要ですか?

優しい顔の人、近くにいませんか?

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