「特別な宝くじ売り場」の変転

宝くじ売り場があるとしますよね。全国各地に。

でもって、宝くじの当たりが十分にランダムだったとします。

とすると、当選くじが出る売り場は、均一にはなりません。すべての売り場で1回ずつ当たりが出る、ということはなく当たるところがあり、当たらないところがありと、偏りが生まれます。

このことはサイコロを6回振ってみればわかるでしょう。1〜6までの目が一つずつ出ましたか? もちろん出るときもありますね。組み合わせを計算すれば___え〜〜と、誰か計算してください__、たま〜〜〜〜にあることはありますが、大半は出ない目があり、重複する目があるパターンでしょう。もちろん、サイコロを振る回数をどんどん増やしていけば、やがては「平均してどこの目も同じくらいは出ている」状況にはなるでしょうが、6回の試行ではバラついて当然なのです。

さてさて、宝くじ売り場の話に戻りましょう。

当選くじが均一に出ないということは、まったく当たりが出ない売り場があり、複数回出る売り場がある、ということです。それが自然なこと(よくあること)なのは先ほどサイコロで確認しました。

ここで、キラりと目の光る人間が出てきます。

「ほら! この売り場! 他よりも非常に当たりが出やすいですよ。データとしてもはっきり出ています!」

なるほど。ウソはついていません。たしかに事実として当たりの回数は他の売り場よりも多いのです。でも、それは自然なことなのでした。この目を光らせた人の賢いところ(あるいはずるいところ)は、あたかもそれが特別なことのように騒ぎ立てたことです。

で、その騒ぎ立てが功を奏したとしましょう。となると、その売り場で買う人が増えます。殺到します。

さて、ややこしいことになりました。その売り場の確率を計算する上での母数が圧倒的に増えたのです。当然、それは当たりが出る回数を増やすことも意味します。「ほんとうだ。あの人の言うとおりだった」。かくして予言は成就します。

言うまでもありませんが、ここに至るまで、どの売り場でも当選くじが出る確率は動いていません。動いているのは確率以外の要素だけです。

ここで、その特別な売り場に注目してみましょう。

ランダムなばらつきによって、その売り場だけに注目すれば、当選確率は非常に高いものでした。モデル化して言えば、他の売り場がほとんどゼロ、あっても100人中3人ぐらいだったものが、その売り場では100人中7人くらいになっているのです。かなり特別な存在のように思えます。

そして、その売り場に怒濤に人が集まるのでした。結果的に、当選者の数は7人から14人、14人から21人と増えていくでしょう。が、それは当選した人の数だけを見ています。そうなっていない人、つまりハズれてしまった人はどうでしょうか。もちろん、それもたくさん増えています。すると、どうなるか。最終的には確率通りに落ち着くのです。

おわかりでしょうか。

ランダムな偏りのせいで、最初は「特別な売り場」だったものが、そこに人が殺到することによって「ごく普通の売り場」へと変わってしまうのです。まあ、変わってしまうというか、最初の「特別な売り場」扱いがそもそも虚構というか幻想だったわけですが。

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