2016年の<びっくら本> #mybooks2016

2016年に読んだ本で面白かった本を紹介します。

まずは総合部門というか、「とりあえず、これ読んでおけば」大賞。

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はい、やっぱりこの本です!

しつこいくらいに紹介していますが、それくらいの価値がある本です。上下巻ですが、ちっとも長くは感じないと思います。

書評は以下。

【書評】サピエンス全史 -文明の構造と人類の幸福(ユヴァル・ノア・ハラリ)

あとは、個別のカテゴリに分けて紹介していきます(順番に特に意図はありません)。

セルフパブリッシング

長袖にきがえました
犬子 蓮木
もふもふ出版 ( 2016-01-09 )

犬子蓮木さんの『長袖にきがえました』は寂寥感溢れる作品。ドラマチックとか、カタルシスといった「ありがちな展開」の枠組みにはまらない世界を提供しくれます。

悪魔とドライヴ
ヘリベ マルヲ
人格OverDrive ( 2016-02-14 )

ヘリベマルヲさんの『悪魔とドライヴ』は、バイオレンスな要素のある「恋愛小説」。スピード感ある展開と、独特な描写が魅力です。

赤井五郎さんの『チョコレートの天使』は、異世界のファンタジー。それも、かなり緻密に作り込まれた独自の異世界です。非常に細かい想像力には脱帽させられます。

広橋悠さんの『IMAGO』は、ユートピア/ディストピアSF。未来の話でありながらも、現代への暗喩がしっかりきいています。

Lost in Conversation
王木亡一朗
ライトスタッフ! ( 2016-10-27 )

王木亡一朗さんの『Lost in Conversation』は、なんというかやるせない/切ない作品。構造的にも工夫がありますが、それ以上にうちに秘めた情熱(=エネルギー)が感じられます。

Lyustyleさんの『25年前からのパソコン通信』は、少し複雑な構造を持ったエッセイ集。シドニーに赴任していた時代の過去の自分の視点を掘り起こすという体裁で、世代が近い人は昔を懐かしみながら、世代が遠い人は異文化に触れるような、そんな感覚で読めそうです。

Tak.さんの『Piece shake Love』は、エッセイ集……と言っていいのかわかりませんが、何かそういったものです。本全体が独特のリズム感で構成されていて、簡単な説明を拒絶している雰囲気があるので、簡単に説明するのは諦めておきます。

メディア論

一人で雑誌を作り続け、ときの権力をそこから批判し続けた男カール・クラウス。私の月くら計画や、「かーそる」という雑誌のロールモデルというわけではありませんが、「うんうん。そうだよな。マスメディアにはできなことってあるよね」と思いを強めた本ではあります。

ネット小説が売れる、という内容よりも、メディア間の変換や、既存メディアの衰退と変化についての視点が面白かったです。

デジタル・ジャーナリズムは稼げるか
ジェフ ジャービス, 茂木 崇
東洋経済新報社 ( 2016-05-27 )
ISBN: 9784492762257

ここ最近、キュレーション風メディアの話題が盛んですが、結局それは、インターネットとメディアの関係の些末な話でしかありません。ビジネスモデルをどう構築していくのか。そのときに絶対に守らなければならない価値とは何なのか。腰を据えて考える必要があるでしょう。

現代における情報環境について考える上では必読の一冊でしょう。Rashita’s Book Selection100にも入りそうな一冊です。

もうすぐ絶滅するという紙の書物について
ウンベルト・エーコ, ジャン=クロード・カリエール
CCCメディアハウス ( 2010-12-17 )
ISBN: 9784484101132

紙の本の話はメディアの話でもあります。本はデジタルメディアに比べて長生きするといった言説もありますが、紙もやっぱり物質であり、いずれは風化して読めなくなります。慎重に保存しておければたしかに長持ちするでしょうが、手にとってページが捲れない本は、つまり情報を日常的に伝達しない本は、そもそも「本」としての機能を失っています。その意味で、やはりデジタルメディアについても考えて行かざるを得ないでしょう。

生き方・ライフスタイル

私も、一人で在野で生きているので、こういう本には励まされます。

科学・文化

ほんと面白いです。『サピエンス全史』では、数行で触れられているだけですが、もちろん本一冊になる内容です。

私は「意識は傍観者である」という言説には__特に「意識は完全に傍観者でしかない」という言説には__反対ですが、それでも本書の知見は非常に面白く、かつ役に立つものです。この場合の役に立つは、実利があるというよりも、人間に対する理解が深まるという意味であることは言うまでもありません。

〈わたし〉は脳に操られているのか : 意識がアルゴリズムで解けないわけ
エリエザー・スタンバーグ
インターシフト ( 2016-09-05 )
ISBN: 9784772695527

上の本の内容にまっこうから反旗を翻しているのがこの本。本書で自由意志の存在が守り切れたのかどうかはわかりませんが、個人的にはこのアプローチを伸ばしていってもらいたいところです。

「常識」の研究 (文春文庫)
山本 七平
文藝春秋 ( 2015-06-10 )
ISBN: 9784167903930

古い本ですが、書いてある内容がまったく古びていない=日本文化がほとんどかわっていない、という半ば絶望にも似た気持ちが湧き上がってきます。

消極性デザイン宣言 ―消極的な人よ、声を上げよ。……いや、上げなくてよい。
栗原一貴, 西田健志, 濱崎雅弘, 簗瀬洋平, 渡邊恵太
ビー・エヌ・エヌ新社 ( 2016-10-24 )
ISBN: 9784802510301

ライフハックの本として読めますし、学びも多いことでしょう。

情報概論

もし『サピエンス全史』がなければ、総合部門はこの本だったでしょう。私たちがいかにして「学ぶ」のか。そのエッセンスがわかりやすく紹介されています。おそらく本書で紹介されている知識の形成は、(こういう言い方は若干うっとうしいですが)ほんものの教養の形成と呼応しているでしょう。そこにはネットワークが存在するのです。

「考える」の型を、数々の文章を引きながらモデル化した本。似たようなことをやろうと思ったので参考になりました。読み物としても知的な刺激に溢れています。

思考のエンジン
奥出直人
株式会社 青土社 ( 2012-10-10 )
ISBN: 9784791726714

けっこう難しい内容なのですが、惹きつけられてしまいます。特に、「考える道具としてのコンピュータ」という視点は、今後もっと重要になっていくでしょう。

いや〜すごいですね。だってアウトライナーで一冊の本が生まれるんですよ。でも本書は、アウトライナーの本というよりも「考える」ための本です。考える道具としてのアウトライナーです。

かなり甘く見ていた本ですが、本を読むとはどういうことか、について深々と考えさせられました。いかにも哲学者という感じの内容ですが、耳を傾けるべき内容が含まれています。

思想・哲学

考える道具(ツール)
ニコラス ファーン
角川書店 ( 2003-03-18 )

著名な哲学者が、「どのように考えたのか」を振り返りながら、私たちにも使えそうな道具としてそれを提示するという内容。「何を考えた」のではなく「どのように考えたのか」にフォーカスを当てているのが面白いですね。非常にライトな哲学の歩みとしても読めないことはありません。

現代思想史入門 (ちくま新書)
船木 亨
筑摩書房 ( 2016-04-05 )
ISBN: 9784480068828

こちらはかなりディープな現代思想史。分厚いです。込み入った思想の流れを、あえて整理することなく、複雑なものは複雑なままに提示しようと試みています。

ロラン・バルトの著作は一冊も読んだことがありませんが、本書を読んでいると彼のスタンスには心惹かれるものがあります。でもって、彼の人生の歩みはまるで小説のようでもあります。

感情化する社会
大塚英志
太田出版 ( 2016-09-30 )
ISBN: 9784778315368

現代が感情化しつつある、という側面はたしかにあるでしょう。村上春樹作品への言及は、ちょっと私の理解が及びませんでしたが、現代の文学が変容しつつあるという指摘は面白かったです。

ビジネス一般

本書では短期のアテンションと持続するアテンションの違いが言及されていますが、最近インターネットで増えつつある「お手軽情報メディア」は、……まあ言わないでおきましょう。

これはもう必読の一冊でしょう。とは言え、ここまで概念が普及していると__『読んでいない本について堂々と語る方法 』の考え方に倣えば__別に読まなくてもいいと言えるかもしれません。でも、クリス・アンダーソンは文章がうまいので、面白く読めると思います。

ライトノベル

ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン (電撃文庫)
宇野朴人
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス ( 2012-06-08 )
ISBN: 9784048865593

今年新しく読み始めたシリーズとしては筆頭の一冊。結構真剣に「なんでもっと早く読んでなかったんだろう」と思ったほどです。ファンタジーの戦記物ですが、若干ひねくれたヒロイックもので、さらに「科学」の扱い方がとても面白いです。

ソードアート・オンライン×渡瀬草一郎。これはもう読むしかありません。個人的には、このSAOのスピンオフが広がっていくことそのものが≪ザ・シード≫的で面白いと感じます。たぶん一人の作家の想像力をゆうにこえた世界がそこでは展開されていくことでしょう。

マネーものが好きならばオススメ。続編も出ています。いっそビジネス教養ライトノベルとすら言えるかも。

SF

火星の人 (ハヤカワ文庫SF)
アンディ・ウィアー
早川書房 ( 2014-08-22 )
ISBN: 9784150119713

最近ちょいちょいSF熱が高まっていますが、これは文句なしに面白かったです。ハードなSFの「設定ごり押し」という感じはほとんどなく、主人公に絶妙に共感できる見事な作品です。

TAP (河出文庫)
グレッグ イーガン
河出書房新社 ( 2016-06-07 )
ISBN: 9784309464299

はじめて読んだグレッグ・イーガン。なんかね、もうね、すごいです。やはりSFは設定よりも、世界を見つめる視線こそが大切だと感じます。

『火星の人』はセルフパブリッシングスタートとして有名になりましたが、本書も同様です。こちらは厨二マインドをくすぐるあらゆる設定をぶちこんできたような作品。時間の行き来と視点の行き来が激しいので、若干読むのに慣れが必要ですが、それでも人類の誕生から進化までを辿っていくストーリーは『サピエンス全史』的ですらあります。

さあ、気ちがいになりなさい (ハヤカワ文庫SF)
フレドリック ブラウン
早川書房 ( 2016-10-21 )
ISBN: 9784150120979

私はキレの良いショートショートが大好きなのですが、本書はまさに大好物な一冊。狂気を扱った短編集で、読んでいく内に、私たちの正気と狂気の境界線が曖昧になっていきます。

コミック

今年から読み始めたシリーズとしてはやはりこの一冊。SF・ショートショート・ブラックジャック、あたりのキーワードが引っかかるなら、本シリーズも間違いなく面白いです。

さいごに

というわけで、ざざっと紹介してみました。10冊くらいにしようかなと思ったのですが、まったく絞り込めなかったですね。もちろん、他にも紹介しきれない本がいっぱいあったわけですが。

ちなみに具体的な紹介については、当ブログの書評記事かHonkureで書いてあると思いますので、また書名で検索してみてください。

では、皆様も実り多き読書ライフを。

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