着手を限定する3プロジェクト・マネジメント その1

かつてドラッカーは言いました。時間からスタートせよ、と。

仕事に関する助言というと、計画から始めなさいというものが多い。まことにもっともらしい。問題はそれではうまくいかないことにある。計画は紙の上に残り、やるつもりで終わる。成果をあげる者は仕事からスタートしない。時間からスタートする。

『「目標」の研究』で書いたように、計画は常に楽観的に立てられます。実効性よりは、「こうあって欲しい」という理想が強く投射されたものとなります。それは短期的に士気をあげる役には立つかもしれませんが、実際に歩みを進めていく上でのサポートにはなりません。無能な将軍が戦力差も弁えず、突撃命令を繰り返すのと同じです。

必要なのは、地形を見極め、兵力や兵糧を数えることです。また、地形は変えられませんが、兵力や兵糧はマネジメント可能です。つまり、勝負の鍵を握るのは資源(リソース)マネジメントなのです。

で、個人のセルフマネジメントにおけるリソースといえば、時間・能力・意志力の3つです。この管理こそが鍵であり、計画や目標はその土台の上に乗っかるものでしかありません。計画や目標を立てれば、それだけでそれが現実化するなんて思うのは、さすがに甘すぎる見通しでしょう。

そこで回を分けて、いくつかのお話をしてみます。何かしら上記に関わるお話です。

3プロジェクト・マネジメント

私は、一日に進めるプロジェクトを3つまでと限定しています。

たとえば、書籍の執筆、電子書籍の作成、雑誌の編集をやったら、それ以上はやらない。閉店ガラガラ。次の日も、書籍の執筆、電子書籍のリライト、雑誌の表紙作りをやったら、それ以上はやらない。閉店ガラガラ。これを繰り返して、毎日を進めています。

貪欲なタスク管理では、これらに必要な作業時間を「効率化」し、もっともっとたくさんのプロジェクトをこなすことを目指したりします。私は、そういう幻想をすべて捨てました。なぜか? そのやり方にはどこかで無理がやって来るからです。

10の作業を効率化して、8に圧縮し、新しく2を追加する。また10を圧縮して、2を追加。さらにまた2を追加……。

はたしてそんなことが可能でしょうか。どこかに「もうこれ以上効率化はできない」地点が存在するのではないでしょうか。あるいはそれは、「効率化を達成するためには質を落とさなければならない」地点かもしれません。どちらにせよ、破綻はあるわけです。

となると、「もっともっとたくさんのプロジェクトをこなそう」と思う気持ち、言い換えれば、欲望の火が消えない限りは、無理がやってくるわけです。イカロスの翼です。

だからプロジェクトは3つまでと決めました。そもそも、日常生活を維持していくためのルーチンをこなすだけで、大半の作業時間は失われていきます。たくさんあるようにみえる時間も、実際に作業に取りかかってみれば、思いの外少ないことに気づかされるのです。

この点からも、目標の弱点は見えてきます。着手する前は、手持ち時間は「たくさんある」ようにみえるのです。それは、戦闘を開始するまでは、兵士の数が多そうに見えるということです。そこで立てられる戦略の危うさは想像に難くありません。

さいごに

ともかく、手持ちの時間を考えれば、プロジェクト3つくらいがいいところなのです。多すぎもせず、少なすぎもせずというゴルディロックス・プロジェクト量なのです。

もちろん、これは人によって違いがあるでしょう。ある人は5プロジェクトかもしれませんし、別のある人は1プロジェクトがせいぜいかもしれません。でも、これはどうしようもないのです。手持ちのルーチンや、作業にかかる時間が違えば、リソースマネジメントも違ってきます。ある人が「一日にたったこれだけやるだけで、すごい成果が出ますよ」と言っていたとしても、別の人にとっては、それすらぜんぜん無理なことがあります。

ただし、その人なりの「たったこれだけ」を見つけ出すことはできるでしょう。もちろんそれは成果を確約するものではありませんが、世の中に存在する成果を確約するものの大半がダミーなので、そこは気にする必要はありません。

(次回につづく)

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