着手を限定する3プロジェクト・マネジメント その2

前回:その1


着手するプロジェクトは3つだけに限定する、というお話を前回は書きました。

すると、「プロジェクト3つだけなんて、つまらなくない? 成果はあがるの?」という疑問があがってくるかもしれません。もっともな疑問です。なにせ、世の中はすごい勢いで進んでいます。なのに「3つだけ」はあまりにも頼りなく感じられます。

で、結論から言っておくと、「大丈夫、問題ない」となるわけですが、少しずつ確認していきましょう。

「やった方がよいこと」圧

私はフリーランスです。で、フリーランスにとって「やらなければならない仕事」は山のようにあります。実際の作業から雑用までなんでもござれです。さらにたちの悪いことに、「やっておいた方がよい仕事」も星々のようにあります。

たとえば読者さん一人ひとりに感謝のメールを送ってみたり、名前を知っている出版社すべてに企画案を送信してみるのも、「それなりに」有用でしょう。書籍を出版したら、全国行脚をすることだって、やらないよりはやった方が売上げに貢献するはずです。

で、この「やらないよりはやった方がよい」ことは、ものすごくたくさん存在していながらも、一種のトリックを含んでいます。それぞれの主張はたしかに真なのです。やらないよりはやった方が良い。しかし、それをやることによって、別のことをやる時間が損なわれるデメリットが隠蔽されています。つまり、時間からスタートしていないのです。

ぱっと考えると、「行動をたくさん増やした方が成果があがる」と思いがちですが、成果にそれほど貢献しない行動を増やしても、もちろん成果にはつながりません。この点は考慮すべきです。

で、3つしかプロジェクトを選べないのならば、これはもうどうしたって、「やらないよりはやった方がよい」程度のことは切り捨てられます。心理的な動きをあえて記述すれば、「やった方がいいのかもしれないが、プロジェクトは3つしか選べないので、実行できない」となるわけです。

「やらないよりはやった方がよい」ことも、まったくやらないわけではありませんが、時間の使い方の中心には位置しません。中心はあくまで3つのプロジェクトです。言い換えれば、分散しがちな資源(リソース)を一点__実際は三点ですが__に集める効果があります。散漫に何かをやるよりは、はるかにこの方が効果的でしょう。

もちろん、これは職種によって変わってきます。いろいろなところに注意を振り分けた方が能率が良い仕事もあるでしょうから、これは私の、つまり物書きとしての選択だということを補足として書いておきます。

つまる?つまらない?

また、つまらないかどうかですが、これはまったくもってつまらなくありません。私にはプロジェクトに3つのステージを用意しています。

第一ステージが「いつかやる」ステージ。あるいは「できたらいいな」ステージ。ここにはプロジェクトと見なせる大量のものが放り込まれています。

第二ステージが、「プロジェクト」ステージ。第一ステージの中から、そろそろこれにとりかかろうかと決めたものがここに移動されます。一般的なタスク管理で、プロジェクトと呼ばれるものがここに相当します。数はだいたい3〜10程度。それ以上に大きくなることはまずありませんし、そうなったらレビューして整理が必要です。

第三ステージが、「着手しているプロジェクト」ステージ。第二ステージの中から、実際に行動することを選んだプロジェクトです。これまで書いてきたとおり、ここが「3つのプロジェクト」の場所です。

流れを確認します。

何かを思いついたとしましょう。プロジェクトと呼べるような何かです。そうしたものはまずinboxに入り、その後振り分けられます。緊急性のないものであれば、「いつかやる」ステージへと移動。重要性があるものは、「プロジェクト」ステージへ移動。そして、一週間の予定を立てるときに、そのプロジェクトステージから、「今週はこれとこれとこれをやろう」と決めます。つまり、「3つのプロジェクト」の選択です。このような段取りになっています。

私は実行時には3つのプロジェクトにしか触りませんが、実際は自分の興味があること、関心があることはすべてEvernoteにストックしています。閲覧しようと思えば、いつでも閲覧できるのです。しかし、一週間の計画を立てるときには、大量の「いつかやること」を目にする必要はありませんし、一日のタスクを実行する際には、できもしない「プロジェクト」に思いを馳せる必要はないのです。

三つのステージにプロジェクトを分けることは、それぞれの状況(自分の全体を確認したい、一週間の予定を立てたい、今日のタスクに集中したい)に合わせて、目に入れる情報を変える、ということです。着実に実行しつつも、大局を見失わないことです。ボトムビューを確保しながらも、トップビューを参照できるようにすることです。

車を運転しているときに、世界地図は必要ないのです。

さいごに

以上のようなことを書くと、きちきちっと目標を立て、正確にそれをこなしているかのように思われるかもしれませんが、実際のところ、達成率は100%にはほど遠く、せいぜい(甘い自己評価でも)80%くらいでしょう。日によっては、割り込んできた作業ばかりやって、3つのプロジェクトにはぜんぜん触れないこともあります。

でも、それが一体なんだというのでしょうか。

目標は、達成されるべきものではありません。あくまで目印です。こうやって3つのプロジェクトを決めて、それに邁進するように意図しておけば、そうでなかったときよりもはるかにリソースを集中させることができます。それは100%意図した形ではないにせよ、意図がなければ到底たどり着けない量であることは、これまでの自分の行動ログからも明らかです。

“Progress is better than Perfect.”

これが目標について非常に重要な指針です。

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