「Milanote」は、Evernoteに世代交代をもたらすのか

Evernoteがアイデア保存場所の最強ツールであることは異論を待ちません。

しかし、それだけでいいのか、という疑問(ないしは不満)もあります。Lifehacking.jpさんでもそのことについて言及されていました。

発想を保存するプラットフォームにならなければEvernoteに未来はない | Lifehacking.jp

ところが、単なる情報の集積所というだけでは、そろそろ有用性に限界が生じてきているというのが、以前から危惧していたEvernoteのアキレスの踵です。

集めた情報を有用に使えなくてはいけないのです。それは、機能の高いエディタを実装するといったことではなくて、情報を扱えるようにしなければいけないのです。

たしかにそうかもしれません。

この「なんでもEvernoteに集めちゃうよ」運動を推進中の私ですら、ある種の作業にはWorkFlowyや紙のカードを持ち出します。つまり、そこには欠落した何かがあるということです。

それを埋めようというのが、「Milanote」の野望です。

Milanote: The notes app for creative work.

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今回からしばらくこの「Milanote」について書いていきますが、まずはこのツールの志向を(ないしは思想を)チェックしてみましょう。

Evernoteにできないこと

「Milanote」のCEOは、Mediumで挑発的な記事を書いています。

Why using Evernote is making you less creative

要約すればこうでしょう。

  • Evernoteには、さまざまな「情報」が一カ所に集まっている
  • 撮影した写真であったり、気になった記事であったり、思いついたアイデアであったり
  • それらは大きな構造物を作る部品(パーツ)のようなものだ
  • そのさまざまなパーツがEverntoeという大きな箱に収まっている
  • Evernoteはそのパーツを検索で見つけ出せる
  • たとえば、「思いついたアイデア」だけを一覧する、というように
  • しかしそれはレゴブロックで「赤い部品だけを見つけ出す」のと変わりない
  • 何かを作る出すためには、さまざまな部品を一つの構造に向けて集合させなければいけない
  • 言い換えれば、部品同士にコネクションを形成させなければいけない
  • そんなことEvernoteにできる? ねえ、できる?

走者一掃の満塁ホームラン並に、ただただ唖然とするくらい見事な理屈です。でもって、実体験としてもその通りなのです。現在のEvernoteは、極めて優れた保存場所ではあるものの、それ以上のことを行う作業場所ではありません。もちろん作業を行うことは可能ですが、快適にそれが行えるとはとても言えません。

言っておきますが、だからといってEvernoteの価値が欠損されることは皆無です。これほど優れた記録ツール、保存ツールは他にはありません。ただ、現在のEvernoteには、それ以上のことができない(あるいは極めてやりにくい)という状況があるのです。

情報を保存し、後から参照することはできる。
でも、集めた情報から新しいクリエイティブを起こすことは厳しい。

だからこそ、多くのユーザーがEvernote+その他のツール、という形でクリエイティブを進めているのでしょう。私だってその一人です。

チラっとMilanote

では、その「Milanote」では何ができるのでしょうか。

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細かい機能については後の記事で改めて紹介しますが、画面はこのように構成されています。勘の良い方ならば、私が以前作った「Barrett Idea」を思い出されるかもしれません。

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「Barrett Idea」はWebブラウザを付箋ツールとして使うものでした。短いテキストを入力してそれを貼り付け、ドラッグで移動させて、アイデアを整理する。そういう使い方です。このツールは非常に便利なのですが、素人仕事なので、機能はまったく足りていません。テキストしか貼り付けられませんし、保存も書き出しもできませんし、階層も一つだけです。

「Milanote」は、それらすべてができます。つまり、テキスト・URL・画像の貼り付けが可能で、保存・書き出しにも対応しており、なんと階層も潜っていけるのです。加えて、簡易なリッチテキストも扱えます。つまりチェックボックスなどもあるのです。

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「Milanote」はアイデアを展開し、位置づけ、関連づけ、階層化できます。それこそまさにEvernoteにはできなかったことです。初期のトップボードには「○○’s workspace」の名前が与えられますが、その名は伊達ではありません。たしかにこのツールは作業場所として機能します。

部品をコレクトするだけではなく、それらをコネクトするための思想が織り込まれているのです。

とは言え

「Milanote」がクリエイティブ作業向きツールであることは同意するにしても、じゃあEvernoteなんて捨てちまえと言ってしまうのは早計でしょう。もともとツールの方向性が異なるのです。

Evernoteは、縦を重視します。時間的蓄積に重きを置き、そこに地層を築いていきます。それによりもたらされる豊かさは、人類が手にしたGoogleと相似ではあるでしょう。どちらかと言えば、脳の長期記憶補佐にフィットしたツールです。

Milanoteは、横を重視します。空間的展開に重きを置き、そこにアイデアを広げていきます。それによりもたらされる広さは、せせこましく混乱しがちな私たちの思考を受け止め、整理するための余白をもたらしてくれるでしょう。どちらかと言えば、脳の短期記憶補佐にフィットしたツールです。

このように考えると、二つのツールは連携するのが望ましいことになります。あるいは競争が働いて、それぞれの良さを内側に取り込むような動きが出てくればいいのかもしれません。

「Milanote」は、Evernoteに世代交代をもたらすのか?

答えはおそらくNoでしょう。なにせ別の志向のツールです。ただ、「Milanote」は細かい点にいろいろ気が利いているので、新しいツールの選択肢として今後存在感を示していくことはありそうです。

というわけで、ざっと紹介してみたので、次回は機能のお話をお送りします。

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