GTDのよいとこ、わるいとこ [タスク管理概論]

タスク管理概論なるものを書いているのは、ようは不満があるからだ。

これまでのタスク管理話は、基本的に「オレ流タスク管理術」であり、それぞれがバラバラに散らばっている。「お互いの知見を持ち寄り、互いに批判的議論を繰り返して……」みたいなものは一切存在しない。

これほど重要な分野であるにも関わらず、そうした営為が積み重ねられていないのは、いかがなものだろうか。

ようは、私は読みたいのである。「『〜〜』ではこの点が論じられているが、しかし○○の視点において不備がある。それを『××』の△△の考え方を援用することで補強しようというのが、本書の試みである」みたいな本を。『アイデア大全』的でありながら、それよりもう少し体系化に向けて一歩踏み込んだような本があれば、きっと楽しいに違いない。

誰が書くのか?

……

非常に残念ながら、風が吹き、雨が降り、太陽が燦々と輝いていれば、すくすく本が育つ、ということは想定できない。一兆個の宇宙が存在しても、そのように本が生まれることはない。誰かが、手を動かさなければいけないのだ。

まあ、そういうことである。

GTDの欠点

GTDの悪い点については、以前の記事で触れた。実行に関する要素の不足と、決定に含まれる誤謬性への配慮不足だ。このあたりは、別の考え方を用いて補強する必要があるだろう。

『七つの習慣』 VS 『仕事は楽しいかね?』
『ストレスフリーの整理術』 VS 『マニャーナの法則』

おそらく上記の構図となるだろうし__前者は『「目標」の研究』で少し踏み込んである__、この対立軸を止揚していければ、何かがあるはずである。

GTDの長所

では、GTDの良いところはどうだろうか。大きく三つあると思う。どれも大切な要素だ。

まず一つ目。頭の中の「気になること」を放置せず、それを「可視化」しようとするルールを持つこと。その際、「気になること」の重要度に区別をつけないことが大切だ。そうでないと、メモの真なる力は発揮できない。ストレスフリーにも至れない__ただし、メモをしたからと言ってストレスフリーに至れるわけではないのは言うまでもない__。とは言え、「可視化」という表現はまだまだ甘い。単に見えるようになればそれで良いわけではなく、そこにある「書き出す」というプロセスが重要だと考えているわけだが、そこはまだ言語化できる段階ではない。それは後々処理することにして、まずは「気になること」を頭の外に追いやるという姿勢がGTDにおける重要な要素である。

二つ目はなんだろうか。そうして書き出した「気になること」に、「これは何か?」を問い、出てきた答えに合わせてそれを処理する、という点だ。何度も書いているが、「これは何か?」という問いは非常に重要である。これを無視して、タスクマネジメントを行うことはできない。一見すると当たり前すぎて意味がないように思えるが、たいてい「当たり前」が機能していないときに問題が生じるという点は覚えておいた方がいい。「これは何か?」という問いは、曖昧さをそぎ落とす自問であり、それと共に、少し上に視点をずらすための問いでもある。

上記二つの要素に含まれているのは、ようするに「自己対話」だ。自分の頭の中身をあらわして、それに疑問をぶつける。自分で自分を眺めるような行為がそこにはある。そうでなければ、どうやってセルフをマネジメントできると言うのか。

最後、三つ目の要素は、レビューによるシステム化である。GTDを他の管理手法から区別するのがこのレビューの存在と言っても過言ではない。中長期的に運用するためには、「振り返りとそれに基づく行動修正」は欠かせない。あらゆるシステムにはメンテナンスが伴うのだ。しかし、まさにこのレビューこそがGTDのネックともなる。ある程度忙しくなると途端に面倒になり、放置され、システムが形骸化して、嫌になってくる。この問題は、後ろでアシストしてくれる人間がいればカバーできるかもしれないが、別のアプローチも必要だろう。

ともかく、システムの内部に、そのシステムの要素に影響を与えるもの__ようはフィードバックだ__が含まれていないと、どうしても要素同士が硬直してしまい、やがては使い物にならなくなる。

さいごに

上記のように、まずGTDの長所を確認した上で、その弱点をフォローするような別の思想を入れてみれば、「タスク管理に必要な考え方」の道具箱ができあがるのではないか、と思う。もちろん、本当にそうなるかどうかはわからないわけだが。

ちなみに、そういう難しい話はぜんぜん興味ない場合は、以下の本に簡潔にまとめてある。本当に基礎的過ぎてタスク管理マニアには物足りないだろうが、社会人一年目にはこれくらいが始めやすいようにも思う。

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Rashita
物書きをやっております。実用書から小説までなんでもござれのハイブリッド物書きです。 ライフハックや仕事術、知的生産などに興味があります。

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