アイデアの捨て方 〜アナログ編〜

Topic1:
知的生産のスタートは、思いついたことをメモすることである。できる限り選別せず、思いついたことをそのまま書き留めるのが望ましい。

Topic2:
人間は、さまざまなことを思いつく。知的に活発な生活をしているほどその傾向は強まる。

Topic3:
現代はデジタルツールが安価に使えて、情報を保存するのが簡単である。

さて、Topic1〜Topic3を合わせて言えることはなんだろうか。

「思いついたことを書き留めたメモは、際限なく増えていく」

ということだ。我々の生命活動及び、知的活動が継続している限りにおいて、そのようなメモは発生し続ける。苗床のキノコのように、道ばたの雑草のように。

しかし、アイデアには手をかけなければいけない。思いついたことを書き留めても、そのまま放置してしまえば、やがては腐っていく。保存状態の悪いワインと同じだ。ときに見返し、関連づけ、記述を補強することで、アイデアはアウトプットへと成長していく。手間が必要なのだ。

片方では、際限なく増え続けるメモがあり、もう片方では、そのメモにかけなければならない手間と人間の時間の有限性がある。

つまり、アイデアの捨て方が重要、ということだ。

メタ・ノート

『思考の整理学』で紹介されている「メタ・ノート」という手法がある。

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まず思いついたことを何でも書き留めるノートがある。着想のアーカイブだ。

そのノートを、時間を置いて読み返す。すると、「まだ面白いアイデア」が見つかる。それを別のノートに書き写す。そのノートが、「メタ・ノート」と呼ばれる。第一着想アーカイブからのセレクションであり、面白いアイデアが集まったノートである。

この手法は、アイデアの「集め方」でありながら、アイデアの「捨て方」でもある。第一着想アーカイブのノートに残されたアイデアは、情報の保存という点では捨てられてはいないものの、手間をかける対象からは除外されている。情報は捨てられているのだ。

PoIC

洗練されたカードによる情報管理システム「PoIC」をご存じだろうか。5×3サイズのカードを使った、着想・資料を含めた総合的な情報管理システムである。

PoICにおいても、まず思いついたことは1着想1カードの形で書き留められる。そして、そのカードはDockというカードストッカーに時系列に保存される。

もちろん、これだけであれば、いずれカードが溢れかえって収拾がつかなくなるのだが、PoICではそこにワンアクションの要請がある。「タスクフォースの編成」である。

PoIC の最終的な目標は、このシステムを使って、新しい知恵・知識・成果を再生産することです。あるテーマに関するカードが十分に蓄積したところで、ドックの中から、そのテーマに関連するカードをすべて抜き出します。渡部(1976) の言葉を借りて、これを「タスクフォース(機動部隊)を編成する」と表現します(p. 132)。このタスクフォースを編成する時に、ドックの中のカードを検索・分類することになります。
時系列スタック法 – PoICより

文中にあるように、タスクフォースとは渡部昇一氏の『知的生活の方法』で紹介されている手法である。PoICのドックに、あるテーマに関して一定量のカードが集まったら、それらのカードをすべて抜き出し、それらを使ってアウトプットを生成する。自ら生産したカードを使って、より大きなアウトプットを再生産する、というわけだ。

タスクフォースに選ばれ、最終目標である再生産を果たしたあとのカードは「お役御免」となります(渡部、1976、p. 133)。お役御免となったカードは、元の時系列に戻す必要はありません。カードの内容を参照したい時は、再生産したものを参照すれば良いのです。
※同上

話自体はわかりやすい。集まったカードを使って、何かしらの成果物(コラム、論文、書籍などなど)を作成する。一度それができたら、参照したカードの役割は急激に減少する。情報が必要になれば、成果物の方を参照すればいいからだ。

これは、一面から見れば「集めた情報を使って、アウトプットしましょう」という話なのだが、別の面から見れば、「Dockのエントロピーを維持したければ、アウトプットしましょう」という話になる。今までの文脈を引き継ぐなら、アイデアを捨てたければ(整理したければ)、何かを書きましょう、とも言える。

さいごに

上記はノートにしろ、カードにしろアナログツールでの話だ。

ノートにはページ数があるし、代替わりがある。カードにはページ数はない代わりに、Dockに入れられるカードに上限がある。

しかし、Evernoteは10万という気の遠くなる数のノートが作成できるし、WorkFlowyも(詳しい話はわからないが)万単位のトピックは作成可能だろう。

では、我々はそのような超アイデア環境において、どのようにアイデアを捨てればいいのだろうか。それは次回考えよう。

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Rashita
物書きをやっております。実用書から小説までなんでもござれのハイブリッド物書きです。 ライフハックや仕事術、知的生産などに興味があります。

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