アイデアの捨て方 〜アウトライナー編〜

前回:アイデアの捨て方 〜Evernote編〜 – R-style

前回、Evernoteは〈じわじわ型〉は不得意だと書いた。その点について遠回りしておこう。

アウトライナーで〈じわじわ型〉

『アウトライナー実践入門』(Tak.著)に「複数の書きかけの文章を管理する」方法が紹介されている。未完成の文章を「ひとつの巨大なアウトライン」に入れてしまうという方法だ。紹介してみよう。

  • 単純な2階層のアウトラインを作る
  • 第1階層にタイトルを、第2階層以下に内容を入れる
  • このアウトラインに、内容も順番も関係なく書きかけのものはすべて放り込む

これが基本的な運用の第一則となる。内容に関しては、完成に近いものも断片的なフレーズも気にしない。また、タイトルがつかないような断片なら、それを第一階層にそのまま書き込んでしまう。運用としては、PoICのドックに非常に近い。サンプルを作れば、こんな感じになるだろうか。

※二階層だけのシンプルなアウトライン

もちろん、このアウトラインは放置されるわけではない。じわじわと手を加えられる。

  • 時間があるときに、タイトルだけを表示させて、アウトラインをブラウズする
  • そして、
    • 互いに関係のありそうなものが見つかったら、近くにまとめておく
    • 続きを書けそうなものが見つかったら、下の階層を開いて加筆する
    • まとまりそうな項目が見つかったら、その項目を集中して仕上げていく
  • さらに、
    • 現在進行形で加筆しているHOTな項目は、埋没しないようにアウトライン上部に移動させる
    • 完成して公開や送信が終わったら、その項目は削除する

これが運用の第二則である。Tak.氏はこれを「複数の書きかけの断片をまたいで〈シェイク〉する」と述べている。

PoICのタスクフォースの編成が、中長期的なスパンを念頭に置いた一気のエントロピーの減少だったのに対して、上記の手法は、継続的かつ微量なエントロピーの減少だと言えるだろう(※)。まさしく〈じわじわ型〉だ。
※実際は株価のチャートのように上下を繰り返しながら進んでいくはずだが。

Evernoteとアウトライナー

Evernoteに比べてアウトライナーがこの〈じわじわ型〉に適しているのは、項目の移動が簡便であることは当然として、ビュースタイルの違いにも起因する。

項目の移動については、Evernoteは基本的には不可能である。Evernoteはsortが基本であり、作成日時順や更新日時順やアルファベット順などから選べるにしても、項目を任意の順番に並べるようにはできていない。アルファベット順にしてノートタイトルを変更することで「任意の順番」を実現することは、とても簡便とは言えないし、全ノートにリマインダーを設定して、リマインダー上で並び替えるにしても、不満は残る。

以上はよく知られた話だが、もう一つ注目することがある。たとえば、WorkFlowyでは、階層表示の切り替えが簡単にできる。

※「▶️incubator」をダブルクリックしたところ

見出しにあたる項目をダブルクリックするだけで、全階層を閉じたり、開いたりできる。「タイトルだけを表示させて、アウトラインをブラウズする」ことが簡単にできるわけだ。

では、Evernoteではどうだろうか。

タイトルだけを表示するとなると、サイドリストビュー(Mac版)だろうか。これはブラウジングには最適である。

※サイドリストビュー

では、中身を表示させる場合はどうだろうか。サマリービュー(Mac版)がその用途に向いているように思える。

※サマリービュー

が、やはりあくまで「サマリー」(概要)であり、中身の全体が俯瞰できるわけではない。上記の運用では、断片的なフレーズから、完成間近の文章を入れるわけで、粒度はバラバラとなる。となると、サマリーが役立つときもあれば、そうでないときもあるわけである(実際、上の例では中身とノートタイトルが一致しているものはうっとうしい感じがするだけだろう)。

他のビュースタイルであっても、アウトライナーのように、「項目を全展開した状態でブラウズする」ことができない。これがよくEvernoteのそれぞれのノートが断絶されている、と言われる由縁である。断片をまたぎづらいのだ。

私がもしEvernoteの開発者なら「フルノートビュー」というのを作り、スクロールだけでノートブック内(あるいは検索結果)のノートすべてを閲覧できるようにするだろう。それだけでも、ノートの断絶感はぐっと減るはずである。

アウトライナーで〈祭り型〉

では、アウトライナーでの〈祭り型〉はどうだろうか。2000近い項目を未分類のまま貯め込んでおき、それを一定期間後に一気に抽出・分類して、再生産を行う方法だ。

ここで一つ問題が生じる。Evernoteは端末ごとの違いはあるにせよ、基本的に同じツールである。しかし、アウトライナーはある種の機能を持ったツールの総称であり、別の言い方をすればツールのカテゴリ名でしかない。よって、「アウトライナーとは」と一括りで言いにくい部分がある。

そこで、話があまり拡散しないように、ここでは一般ユーザー(つまりコアではないユーザー)に多く支持されているWorkFlowyについてのみ言及しよう。

話の結論だけ先回りしておくと、WorkFlowyは〈祭り型〉の運用はあまり得意ではない。不可能とまでは言わないが、それを快適に行えるUIにはなっていない。なぜかと言えば、ここでも「取り出す」についての問題が生じるからだ。

さいごに

というわけで、EvernoteとWorkFlowyについて見てきたので、次回はまとめて「取り出す」について書いてみたい。

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Rashita
物書きをやっております。実用書から小説までなんでもござれのハイブリッド物書きです。 ライフハックや仕事術、知的生産などに興味があります。

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