ワンアウトラインの思想 その2

前回:ワンアウトラインの思想 その1

idea-inboxの処理

ワンアウトラインでは、何かを思いついたら、一つのアウトラインにそれを放り込むことになる。場所はとりあえず、一番上などで良いだろう。

それで終わりだろうか。

Нет!

もちろん、そんなわけにはいかない。処理が必要である。では、処理とはどういう行為を指すだろうか。

配置

たとえば、次のようなアイデアを書き込んだとしよう。

すばらしい。すでに行き先が書き込まれている。ビズアーツ3(BizArts3)というのがそれだ。後は上からアウトラインを眺めていって、しかるべき項目を見つけ、そこにこれを移動すればいい。幸い画面の一番下に「タスク管理」という項目があり、その中にBizArts3があるので、そこに移動させる。それでとりあえずは一段落である。

仮配置

では、次のようはアイデアはどうだろうか。

アウトラインを眺めても「これ!」というものは見つからない。そもそもこれを書き込んだときに、行き先みたいなものはイメージされていなかったのだから、ある程度は仕方がない。それでも、「レイヤーマーケティング(ノンマーケータ−・マーケティング)」という項目が若干近しい感じはする。だったら、その近くに配置しておく。

最終的にこの項目に取り込まれるのかどうかは今の時点ではわからないが、もし取り込みたくなったときには、すぐさまそれが行えるし、また、こうして仮の関連づけをしておくことで、「そういえば、あの話をマーケティングの近くに置いておいたな」という思い出し方(探し方)もできる。検索できるキーワードがまったく思いつかない場合は、こういう想起も強力である。

放置

では、次のようなアイデアはどうだろうか。

残念ながら、上から下までアウトラインを眺めても、この項目を配置する場所は一つも見つからなかった。だったら、何もせずに放置しておく。面白そうであれば上の方に、そうでなければ、下の方に置いておけばよいだろう。

ボトムアップ

上記がいわゆるinbox処理的な項目の扱い方である。とは言え、これは最初の一歩に過ぎない。GTDならばこれで処理は終わり、あとはタスクの実行になるわけだが、アイデアの扱いでは、むしろここからが勝負だと言える。

たとえば、一番最初の項目は「タスク管理」の下に配置された。では、この「タスク管理」はあらかじめ存在していたのか。つまり、私がある日突然「タスク管理!」と思いついて、それをアウトラインに書き込んだ?

Нет!

もちろんそうではない。

アウトラインに並んだ項目を眺めてみて、そこに「タスク管理に関する話題だな」という共通項を私が見つけ出したから、それらの項目をまとめるために、私が新しく「タスク管理」という項目を立てたのだ。これを「設置」と呼ぼう。設置とは、フラッグ(あるいはポール)となる項目の新設のことである。これがあるからこそ、アウトラインに徐々に塊が生まれることになる。

そして、前回の話を参照すれば、その塊は「この項目については、このテーマについて考えるときだけ思い出せばいいですよ」と私が認識したものたちである、となる。つまり、形式ファーストではない。あくまで認知ファーストである。

拘置

一度フラッグ項目が生まれると、二種類の新しい動きが生まれる。一つは、新しくアウトラインに舞い込んだ思いつきが、そこに吸い寄せられるようになること。最初の例で紹介した思いつきも、すでに「宛先」が書き込まれていたが、それはフラッグ項目が設置されていたからに他ならない。そして、この効果によってフラッグ項目を代表とする一連の概念は少しずつ育っていく。

もう一つの動きは、既存の、つまりすでにアウトラインに存在している項目に及ぶ。それらもまた、「そういえば、これはBizArts3rd」に入れられるな、という感覚のもとに、フラッグ項目に取り込まれるようになっていく。実に不思議な感覚である。それらの項目はすでに存在していたのだ。しかし、そこに関連性は生まれていなかった。

たとえば、こうだ。A、B、C、Zという項目があったとしよう。それぞれはまったく関連性がないように思える。そこに、Dという項目が入ってくる。すると、AとCとDで、一つの項目が作れそうな気がする。それで、Kという項目を立てたとしよう。すると、不思議なことに、そのKにZも入りそうな気がしてくるのだ。

こういう感覚は「階層を一つあがる」と表現される。それはもしかしたら飛躍過ぎたり、風呂敷を広げすぎたりしているのかもしれない。しかし、そういう感覚がまったくなければ、新しいアイデアというものは生まれてこないだろう。

ともかく、既存の項目から共通的な要素を見出し、そこにフラッグ項目を設置することで、既存の要素、あるいは新規の要素がそれに取り込まれていく。拘置されていく。

今私はあえて外部的な出来事のように記述しているが、もちろんこれはアウトライナー所有者(操作者)の脳内で起きていることである。私たちはアウトライナーを通じて、自らの脳内を操作しているのだ。この世界のどこにも、「タスク管理」や「僕らの生存戦略」が実体として存在しているわけではない。それはすべて私の脳内のニューロンネットワークが生じさせる(あるいは保存している)何かである。それをツールを通じ表現し、操作しているにすぎない。

だから究極的に言えば、これらのツールを一切使うことなく、同様のことを完璧に実現できる人もどこかにはいるかもしれないし、そもそも低いレベルであれば、私たちは日常に同様のことを行っているだろう。それをよりシステマティックに(あるいはツールの補助を借りて)行っているだけに過ぎない。

もう一度書くが、アイデアを集めたワンアウトラインで項目を移動させているとき、私たちは自分の脳(にある情報体系)を操作している。単に項目を触っているだけではない。だから、形式ファーストにはほとんど意味がないのである。

次回:ワンアウトラインの思想 その3

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Rashita
物書きをやっております。実用書から小説までなんでもござれのハイブリッド物書きです。 ライフハックや仕事術、知的生産などに興味があります。

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