ワンアウトラインの思想 その3

前回:ワンアウトラインの思想 その2

形式ファーストの罠

アウトラインに新しい項目が入ってきたとする。

「ベストセラーコードと、みみずくはと、もう一冊 #巴読み」

解説しておくと、私は本を紹介するときに複数冊を絡めて紹介するということをしていて、それを「巴読み」と呼んでいる。で、『ベストセラーコード』と『みみずくは黄昏に飛びたつ』とあと一冊で、そのような記事が書けるのではないか、という思いつきが上記の項目である。

このような項目を目にしたとき、ついつい「設置」をやりたくなる。つまり、「巴読み」という項目を立てて、この要素を配置したくなる。

そうしたってぜんぜん構わないわけだが、一つ問題がある。現状タイトル項目だけで数百行あるこのアウトラインには、巴読みのアイデアがこの一項目しかない。つまり、一人ぼっちの王国ができあがってしまう。

心の一方では、それがどうしたという声が聞こえる。私はこれまで巴読みのコンテンツをたくさん書いてきたし、これから書くこともあるだろう。一週間もすればまた新しい巴読みのアイデアを思いつくかもしれない。だから、フラッグ項目を作ったっていいじゃないか、と。

心のもう一方では、疑念の声があがる。本当にそうだろうか、と。もしかしたら、これから私は巴読みのアイデアをまったく思い浮かばないかもしれない。あの思いつきが最後のアイデアかもしれない。ということは、私はこれから巴読みのコンテンツを書かなくなるかもしれない。

つまり、どういうことだろうか。この段階で「巴読み」というフラッグ項目を設置することの意義は、過去の経験からの推論に立脚している、ということだ。これが形式ファーストの罠である。あたかもそれが必要そうな、あるいは機能しそうな気がする。しかし、まったく機能しない可能性も十分にある。

その点、すでに複数の項目が集まっているものに関しては、そこにはリアルタイムの手応えというものがある。実際はそれ以上展開しないにしても、オッズとしては悪くないだろう。

しかし、アウトラインを作っていると、上記のように袋小路になる可能性が高いものまでフラッグ項目を立ててしまう。中途半端に「構造化」してしまう。あるいは、何の項目も存在していないのに、「必要になるだろう」という形式的主義を背景にした思い込みによって項目を立ててしまう。まるで、研究開発にかける予算なんてぜんぜんないのに他の企業がそうしているからというだけで「研究開発部」を作ってしまうようなものだ。

それでうまくいくとしたら、もはやそれは奇跡であろう。

ボトムアップ・ベース

上記はたった1つの項目についての話である。しかし、そのようなゆるゆるとした基準で項目をバンバン作っていけば、やがてアウトラインは身動きの取りにくい、非常に硬直したものになるだろう。中身のない縦割り行政。これはあまりよろしくない。

私は実際に「巴読み」のコンテンツを書いているからまだましだが、そうではないものであれば「巴読み」というフラッグ項目を見ても、中身についてはぜんぜん実感が湧かないだろう。形式に認識が追いついていないのだ。

だから、ワンアウトラインの思想に基づいたアウトライナーの運用では、ボトムアップによってフラッグ項目を立てるのがよい。それはまさに、「自発的に」新項目が立ち上がってくるような感覚である。決して、「上から押しつける」ように新項目を立ち上げるようなものではない。

とは言え、「じゃあ、何個集まったらフラッグ項目作ればいいんですか?」という問いには答えを返せない。アウトライナーは、自分の頭を映し出したものである。頭の中に塊ができつつあるならば、2個でも3個でも新項目を作ったっていい。なんなから1個でも構わない。が、単に形式的に、一般的に、「こうだろう」という要請に基づいたものであれば、10個でも20個でも新項目は作らない方がよいだろう。結局のところ、私の頭の中にある情報の塊に呼応する形で、アウトライナーでも情報の塊を作る、というのが一番なはずなのだ。

でもって、その情報の塊というのは、ある種のパターンの認識から生じると考えられる。だから、まずフラットなところに並べておいて、それらを何度も眺めるのがよい。パターンの認識というのはそういう行為から生まれてくるのだから。

次回:ワンアウトラインの思想 その4

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Rashita
物書きをやっております。実用書から小説までなんでもござれのハイブリッド物書きです。 ライフハックや仕事術、知的生産などに興味があります。

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