Evernote企画:第四回:ノートブックとタグについて

さて、今回は再びEvernoteに戻って「ノートブック」と「タグ」について考えたい。この二つの分類軸がEvernoteの一つの肝でもある。ノートブックとタグを使いこなすことは日本語検索能力が不十分な現環境下においては必須といってもよい。また知的生産における分類という行為の意味についても合わせて考えてみたい。

1:Evernoteとは何なのか?
2:Evernoteの機能、プラスαの機能
3:知的生産におけるメモの重要性 
4:ノートブックとタグについて →イマココ
5:現状の私の運用方法について
6:まとめ
※前回まで「4:ノートとタグについて」となっていたが”ノートブック”の誤りである。

ノートブックとタグの機能

「ノートブック」は階層構造を持たない。全てのノートブックは同じ層に並べられる。
一つのノートは一つのノートブックに入る。複数のノートブックに入れることはできない。一枚のルーズリーフとルーズリーフフォルダをイメージしてもらえればよい。
※まったく同じノート(厳密には作成日時だけが異なる)を作って二つ以上のノートの入れることはできる。

「タグ」は階層構造を持つことができる。いわゆる入れ子を作ることが可能だ。試してみたが6層までは作れた。際限があるのかどうかは不明だが、ここまで作れればおそらく十分と言えるだろう。
一つのノートに対して複数のタグを割り振る事が可能である。入れ子構造の全ての階層を割り振る事も出来る。

例えば、場所→関西→京都という階層構造のタグがあったとして、一つのノートにそれぞれのタグを割り当てる事ができる。もちろん「関西」だけ、あるいは「場所」と「京都」、という風に割り振ることもできる。

また、ある入れ子構造になっているタグを別のタグの下に入れ直すといったことも簡単にできる。

Evernoteの複数の条件による検索において、そのタグが何階層目にあるか、ということは全く意味を持たない。ということは、あくまで使う人間においての感覚的な分類ということになる。
※例えば、先ほどの場所の例において、場所、関西、関東、京都、大阪、東京、埼玉・・・などが並列に並んでいると特定のタグを探し出すのに恐ろしく時間がかかる。しかしEvernoteはこのように並んでいてもまったく気にしない。

そういった観点から見ると、ノートブックはEvernoteの上での分類、タグは使用者の都合の上での分類という意味合いが強い。もちろんノートブックも使用者の都合に合わせて使うわけだが、感覚的にそういう差がある、ということをつかんでおいてもらえればよいだろう。

あと、参考までにだが、ノートブック、タグともにアルファベット順で勝手に並べられる。作成後に順番を入れ替えたりはできない。
さらに付け加えると「ノートブック」も「タグ」も同じ名前のものは作ることができない。ノートブックの場合は気にならないが、タグだとたまに引っかかる時があるかもしれない。
※ノートブックの名前と同じタグを作ることはできる。

ノートブックの使い方の例

使い方の例を説明する前に、書いておきたいことがある。

「ノートブックの使い方も、タグの使い方も、完璧で一生使える方法などない」

何か白旗宣言かのようにも見えるが、あるタイミングで完璧に見えるシステムを作ってもそれが長続きするわけではない、ということだ。
常に、改善点は無いか、という視点を持って当たる必要がある。

さて、それを踏まえての「例」を考えてみよう。

ノートブックはどのくらいの数が最適だろうか。よくありそうなパターンを4つ挙げてみる。

・a_1つ
・b_3つ
・c_5~10
・d_∞

・a_1つ(ノートブックはいらない)
タグを上手く使いこなせば、ノートブックの数はあまり多くはならない。ノートブックで実現することは大抵タグでこなせるからだ。タグさえあればノートブックはいらないという方もおられるだろう。そういう場合は唯一のノートブックで管理することになる。
ジャンル分けなどは全てタグで行う。これでもきちんと機能するというのがEvernoteのすごいところでもある。

ただ、これだと使いにくいと感じる人の方が多いかもしれない。

・b_3つ(役割ごとのノートブック)
3つと書いたが厳密に3個のノートブックというわけではない。例えば「仕事」「プライベート」「その他」といった具合に、役割(ペルソナ)ごとにノートを作る方法である。
役割の数が多い人は必然的にノートブックも増えていくがノートブックの数自体はある程度固定になる。

これも、タグで出来ることだが、ノートブックの方が多少スッキリした感じがでる。

・c_5~10個(性質ごとのノートブック)
これも数は大体である。これは先ほどの「自分の役割」ではなく、「ノートの性質」に合わせてノートブックを作る方法。例えば「資料」「自分メモ」「ウェブクリップ」といった分類要素になる。なんとなくだが、一番最初に思いつくノートブックの分類はこれではないだろうか。
PC上のフォルダ分けに一番近いのがこの分け方であり。PCを使っている人は一番なじみがあるだろう。

Evernoteに取り込むノートの性質に合わせるわけだから、それが増えていけばノートブックも増えていく。といってもそれほど大きな数にはならないはずだ。大体が10まで多く見積もって15個ほどだろうか。増える可能性は常にあるが、かなり緩やかな線である。

これで分類するとノートブックのスッキリ感はさらに増す。

・d_∞(プロジェクトごとのノートブック)
無限といっても、もちろんリストに収まりきらない、というわけではない。
自分がそのとき持っている「プロジェクト」ごとにノートブックを作るという方法だ。
そのとき持っているプロジェクトの数自体も一定ではない。終わるプロジェクトも当然ある。増えて、消えてを繰り返すのであえて∞という表記をした。

上の2つの方法だと整理のためにノートブックが消えることはあるが、日常的に消えることはない。しかしプロジェクトの場合は基本的に終わりがあることが前提になる。ここに大きな違いが生まれる。

一つのノートブックにさまざまな性質のノートが入り込むわけだからすっきり感は多少減るが、アウトプットにおける使い勝手ではこれが一番だろう。

結局どれ?

これが一番の使い方、というものは当然ない。仕事のやり方や進行速度、取り込むノートの数や種類によって変わってくる。
ただ、知的生産に置いては、c、あるいはdのパターンがよいだろう。dが万能のようにも考えられるが、明確なプロジェクトが無いものの扱いに関してすこし考える必要がある。

もちろん、上に挙げたパターンを組み合わせる事もできる。その組み合わせ方でオリジナルな使い方が作り出せると思う。

タグの使い方の例

さて、タグだ。これはノートブック以上に一般化しにくい。取り込むノートの性質に著しく依存するからだ。

ここでは、一般的に考えられるタグについて列挙するにとどめる。

・重要度(重要、さほどでもない、暇つぶし・・・)
・緊急度(大変急ぎ、普通、後でもOK・・・)
・日付(2009年タグの下に1月~12月のタグを作る。あるいは年タグの下に2009、月タグの下に1月~12月タグ。これはGTDの備忘録フォルダと同じ運用方法)
・場所(大雑把な場所、具体的な場所、GPS情報・・・)
・人(人物名)
・自分の感想(面白かった、面白くなかった、不快、快適・・・)
・プロジェクト名(日付_プロジェクト名)
・タイミング(今日、明日、一週間・・・)
・ジャンル(政治、経済、科学、物理・・・)
・性質(一次資料、引用、ウェブクリップ・・・)
・キーワード(iPhone、Evernote、アプリ、フリーソフト・・・)

ノートブックに依存しないタグの作り方もあるし、ノートブックに連動したタグの作り方もある。
例えば、「引用」というノートブックを作り、タグは「人生」「仕事」「芸術」「克己心」・・・などのジャンルと「ゲーテ」「キルケゴール」「チューホフ」といった人物のタグを作る、という方法だ。

もちろん、ノートブックに依存しないタグと、依存するタグの両方を使うこともできる。

分類という行為の知的生産上の意味合い

分類という行為は、単に見やすくする、見返しやすくするという消極的(あるいは非直接生産的)行為ではない。少なくとも意識的に取り組めば知的生産行為と呼びうる意味合いを帯びてくる。

まず、分類作業においての重要な指摘を立花隆氏の「『知』のソフトフェア」より引用しておく。

p40
分類は、自分に最も都合のよい、独自の分類法を考案するのがいちばんよい。といっても、はじめから分類を考える必要はない。正しい分類は事後的に生まれるものなのだ。

そう、「正しい分類は事後的に生まれる」。はじめに分類を作って、その分類の通りに情報を流し込んでいくだけでは、整理のための整理になってしまう。むしろ、自分が取り込む情報を眺めて分類を考え出していくことで、最適な分類が生まれてくる。

そうして、事後的に分類を生み出す上での注意点を再び引用する。

p43
分類を目的とするなら、うまく分類できないアイテム(項目)の出現は、厄介もの以外の何ものでもない。しかし、分類はあくまで手段である。目的は知的アウトプットにある。そして、よりよき知的アウトプットのためには、そういうアイテムの出現に触発されて、嗜好の枠組そのものを考え直してみるほうがはるかに役に立つのである。

つまり、今までの分類軸に収まりきらないようなアイテムが出てきたときに、まあいいかと、既存の分類軸に押し込んでしまうのではなく、その異質なアイテムを中心に新しい分類軸が生まれないかと考えてみることが新しい発想を生み出す素になる、というわけだ。

p46
新しい分類を考えるということは、目の前の事象を既成の分類平面とは別の平面の上でとらえ直してみるということなのだ。そういう平面としてどういう平面が考えられるか。次々と新しい発想が湧いてくる人ほど、思考に柔軟性があり、そういう人ほど豊かな知的アウトプットができる。

新しいアイデアというのは既存のアイデアの組み合わせである、というのはよく言われることだ。では、なぜ今までそのアイデアが出てこなかったのか。誰もそのアイデアとアイデアの組み合わせを試したことが無かったからだ。新しい分類軸を見つけるとはまさに新しいアイデアを見つける作業である。

分類ありき、ではなくアウトプットありきの姿勢で情報を整理し、時に「ん、まてよ?」と立ち止まって新しい軸を探し出す行為は、整理の枠を飛び越えて知的生産と呼びうる行為になる。

Evernoteにおいて、情報をきちんとタグ付けすることも重要だが、タグそのものついて「新しいタグは何か無いか」と探していく気持ちもまた重要だろう。そしてノートブックやタグの移動・消去・作成が簡単に行えるEvernoteはこのような作業に非常に適している。

まとめ

今回は、ノートブックとタグ、それに分類について考えてみた。実際Evernoteを使う上で、いかにノートを取り込むかよりは、いかに分類するかの方が難しい問題となる。自由度が高く、デフォルトでは何の指針(例)も示されないので、どうすればよいのか戸惑ってしまう人も多いかも知れない。今回の記事で多少の参考にでもなれば幸いである。

次回は私が今現在どのようにEvernoteを運用しているか、について書いてみることにする。

参考文献および参考サイト
FriendFeed JP:Evernote userにコメントをいただいた皆様、ありがとうございます。

シゴトハッカーズ:
「不安だからとっておく」のはいけないのだ

メモのための“タグ付け”術 (1/3)

メモを死蔵しないための2つのステップ【チュートリアル編】 (1/3)

Evernoteの基本的な使い方【チュートリアル編】

Evernoteをさらに使いこなすのだ (1/4)

「知」のソフトウェア (講談社現代新書 (722))
「知」のソフトウェア (講談社現代新書 (722))
講談社 1984-01
売り上げランキング : 48751

おすすめ平均 star
star無手勝流を勇気付ける
star知的刺激に富む一冊
starブ◯◯◯で救われるのは芸人だけではない

Amazonで詳しく見る by G-Tools

Related Posts with Thumbnails
Send to Kindle
Rashita
物書きをやっております。実用書から小説までなんでもござれのハイブリッド物書きです。 ライフハックや仕事術、知的生産などに興味があります。

4件のコメント

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です