メディアマーカーの新機能と新しい「本棚」について

1月9日に愛用のウェブサービス「メディアマーカー」に新しい機能が追加されました。今回はちょこっとこの機能を紹介しながら、メディアマーカー全体についておさらい的に振り返ってみます。

アプリBookもOKのiTunes対応

まずは新機能の「iTunes商品」対応。

【バインダー機能】 iPhoneアプリなどのiTunes商品を登録できるようになりました。

iPhoneアプリやMacアプリ、音楽シングル、アルバムなど、
iTunes商品を登録できるようになりました。

この機能で、iPhoneのアプリ形式で販売されていた「本」も自分の「本棚」に並べられるようになりました。当然CD形式で発売されていないiTunesオンリーの音楽ファイルなども登録できます。

登録自体は簡単で、メディアマーカーのサイトから検索して登録したり、対象のiTunesAppStoreのページをブックマークレットで登録といった方法があります。
※ブックマークレットは「ブックマークレット・ツール類」で取得可能

登録すると、こんな感じになります。

メディアマーカーアプリの登録
メディアマーカーアプリの登録

全てがずらーっと並ぶ感覚

似たサービスのブクログでもiTunes商品は登録できますが、「i本棚」として別の本棚になっています。個人的にはこういう分け方はあんまり好みではありません。時系列でばーっと並べていき、あとは検索によるフィルターで探すというのが「デジタル的」です。

そういう意味で、ブクログはアナログ式本棚をクラウド上に作る方向性であり、クラウド上にデジタル式本棚を作るという方向性はメディアマーカーと言えるかもしれません。この辺は完全に好みですが、家に本棚がある以上クラウド上の「本棚」はデジタル式で行きたいところです。

この機能をいかに使うか

購入したアプリBookを管理するために使うというのがストレートな使い方でしょう。アプリBookならば二度買いの心配はないので「書籍管理」のメリットは少々さがりますが、MedhiMarkerに登録しておく事で、将来振り返ったとき、「あぁこの時こんなものを読んでいたんだな」と媒体を超えて見返すことができます。

自分の使っているアプリの履歴も管理できます。検索によるフィルタとブログパーツを併用すれば、お気に入りのアプリリストも簡単に作れます。単に愛用のツールだけではなく、応援したいアプリの宣伝などにも使えるでしょう。Blog記事やTwitterでの紹介はどうしても流れてしまいがちですが、プログパーツであれば固定して表示させることができます。

メディアマーカーの機能チェック

さて、新機能の追加ということで、じゃあ今メディアマーカーではどんなものが登録できるのかを一度おさらいしておきます。

  • アマゾンの商品
  • 独自メディア
  • Webサイト
  • iTunes

アマゾンの商品は当然「書籍」以外にも「CD」や「ガジェット」といったものもあります。また独自メディアという形でアマゾンに登録されていない本(同人誌など)も管理可能です。

Webサイトは、お気に入りのページだけでなく、愛読しているBlogやメルマガの登録もできますし、あるいは「マンガでわかる!スピード仕事術」のような電子書籍の販売ページを登録することもできます。

今回追加されたiTunes商品で、アプリBookおよび、使っているアプリも自分のバインダーに並べることができるようになりました。

これが意味することは一体なんでしょうか。まだ漠然とした答えではありますが、デジタル式、あるいは新しい形の「本棚」が構築できる、というのが一つの方向性だと思います。では新しい形の「本棚」とは一体なんでしょうか。
※注:以上が前振りで、以下長いので興味のない方はスルーで

新しい「本棚」の形

自宅に本棚を所有し、好き勝手に自分の本を並べている人はご存じでしょうが「本棚」の機能には複数の側面があります。「本棚」を本を保管しておくだけの場所と考えていると、「本棚」の本質には近づけません。

我が家の本棚には、本以外にもいくつかの「物」がならんでいます。例えば辞書や雑誌であったり、自分のアイデアノートといった「読み物」以外にも小さい置き時計とか、空のiPhoneの箱なんかも置かれています。

本にしても、未読の本をまとめて置いておくスペースがあったり、あるいは特定の企画用にサイズやジャンルを問わず本を集めておくスペースもあります。これら企画用のスペースは椅子から一番近い場所にセッティングされており、席を立つことなくそこから本を取り出すことができます。

自分自身の家系図

こういった「機能」以外のものもあります。例えば「歴史と未来が共存する」という機能です。

今まで読んできた本と、これから読みたい本が並ぶのが本棚です。つまり読書の歴史と未来が一つの「本棚」というスペースの中に詰め込まれているわけです。ある時点での「こういう本を読みたいと思った」という興味と、「実際にその本を読んだ」という実績が時間を超えて残されていくスペース、それが本棚です。

『街場のメディア論』の中で内田樹氏が、本棚は「理想我」であると書かれています。
本棚に本を捨てないで並べ続けていくというのは、「理想我」の足跡と言い換えることができるかもしれません。

私の本棚では一番奥(椅子から遠い)場所には、「C#.NETプログラミングマニュアル」とか「Photoshop6.0テクニックバイブル」(6.0!)とか「DTM MAGAZINE」とか「シューティングゲームアルゴリズム」とか「アラーラの断片 公式ハンドブック」とか「哲学の練習問題」とか「世界一わかりやすい株の本」とか「Webカラーコーディネート」とか「知識ゼロからのワイン入門」といった本が無秩序に並んでいます。

読み返す可能性としては限りなくゼロに近いわけですが、こういう本たちの背表紙を見ると、まるで自分という人間の家系図を眺めているような印象を受けます。「過去こういう知識を欲していた」という遍歴を眺めているのは、それほど悪い気分ではありません。どうしたって「今」の自分は過去の自分の上に成り立っているのですから。

しかしながら、一般的に言って背負い込んでおける「過去」の量にも限界があります。特にそれほど裕福でもない限りいくらでも本を置いておける書棚を持つことは現実的に「かなり難しい」の部類に入るでしょう。

それを受け止めてくれるのがクラウドです。Evernoteやメディアマーカーというサービスは「自分」の家系図をいくらでもいつまでも保存し続けてくれます(すくなくともそれが前提となったサービスです)。

現代では、「書籍」以外にも知識や情報をインプットする媒体が増えてきました。であれば、その足跡もまたそれに見合った保存の仕方が必要になってくるでしょう。先に挙げた二つのサービスはそういった必要性に見事にマッチしています。

ブランディングとしての「本棚」

先ほどの使い方は、自分の足跡を自分で辿るという機能でした。これを別の側面から考える事もできます。同じく『街場のメディア論』には、次のように書いてあります。

その書棚に並んだ本の背表紙を見た人が「ああ、この人はこういう本を読む人なんだな。こういう本を読むような趣味と見識を備えた人なんだな」と思われたいという欲望が書物の選択と配架のしかたに強いバイアスをかけているということです。

本好きの人は他人の本棚に興味があるのではないかと思います。そこに並べてある本を見ることで、その人自身の内側を探れるような感覚を覚えるのかもしれません。そういう気持ちを理解しているからこそ、自分の本棚に並べる本にはそれなりに「気を遣う」というわけです。この「こんな風に思われたい」という欲望は、ある意味でブランディングに通じるものがあります。本棚を見せることで、ある種の印象が抱かれるならばそれは一つの「ブランド」効果と呼べるでしょう。

では極端な例を考えてみましょう。一人の男性の家の本棚があります。そこには1000冊程度の本が並べられているとします。そしてその男性は引きこもっていて、誰一人来客もなく、他の人の本棚を見ることもない。

そういう人が、先ほど上げた選書に気を遣うという事が発生するでしょうか。おそらくないでしょう。誰かから見られるかもしれないという可能性があるからこそ、内田氏が指摘するようなバイアスが生まれるだと思います。実際に誰かを家に招くという事は無いにしても、自分が誰かの本棚を見てある種の印象を抱いたとすれば、自分の本棚にも気を遣うようになるはずです。

でもって、現代です。現代においてそこそこソーシャル活動をしている人にとっては、自宅の本棚とクラウド上の本棚ツール(メディアマーカーやブクログ)ではどちらの方が「見られる可能性」が高いでしょうか。

そう考えると、本を買ってメディアマーカーに登録し、それをTwitterに流している人にとっては、似たようなバイアスがかかっているかもしれません。その機能に関しては「本棚」は物理的な本棚の形をしている必要はありません。

そして物理的な本棚の形から解放されることで、より深くその人自身にコミットした「本棚」が作り出される可能性が生まれます。

趣味と見識を並べる「本棚」

内田氏の引用から持ってくれば、本棚が他の人に提示していたのは「こういう本を読むような趣味と見識を備えた人」という情報の提示です。「趣味と見識」。

先ほども書きましたが、現代でのインプットは多種にわたっています。多様な本の形だけでなく、質の高いメルマガやブログといった媒体もあります。それらもその人の「見識」を提示することになるでしょう。「趣味」に関しても同様で、本以外のもの__音楽やゲームなどが提示しえます。

iPhoneのアプリなんかも考えてみると非常に面白い物です。過去のガジェット__ポケベルや携帯電話といったものは、どのメーカー・機種を選ぶかはあっても、その中の機能は選べません。「選択」に関する情報が薄いため、パナソニックの携帯を愛用しているから○○な人間である、という断定は星占い程度のものでしかありません。

しかし、iPhoneを見せて貰って、その中のアプリを見ていけば、ちょっとだけその人の内側が分かります。アプリの種類(仕事効率化、金融、レファレンス、ゲーム、etc…)、無料・有料アプリの割合、アプリの数、Dockに何を置いているのか、といったものはその人自身の内面を推察する手がかりになり得ます。つまり「本棚」的側面を持っているという事です。

こういった「情報」つまり何を好んでいるのか、選んできたのかという情報を管理するというのが、これからの時代の「本棚」になっていくのではないかと感じます。それは旧来の本棚を否定するものではなくて、新しい情報環境に適応した本棚のバリエーションの一つ、という事です。

さいごに

ぐぐっとまとめると、その人の「趣味や見識」を示すのが「本」以外にも増えてきている、という点。そして誰かに見られる可能性がソーシャルによって拡がってきているという点、これが新しい「本棚」を考える上でのポイントだと思います。

自分が接してきた情報(趣味や見識)を保管し、それを他人に見せることができるツール。そういう意味でメディアマーカーというサービスは、新しい時代の「本棚」になり得る可能性を秘めています。

結局の所、何が言いたいのかというと、みんなメディアマーカー使おうよ、という宣伝です。
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Rashita
物書きをやっております。実用書から小説までなんでもござれのハイブリッド物書きです。 ライフハックや仕事術、知的生産などに興味があります。

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