こういう時に、Evernoteをどう使うのか

Evernote社からの二つの連絡です。

日本で地震や津波の被害に遭われた方々へ(日本語版ブログ)

日本の皆様がこの大規模災害から一日も早く復旧されるためになにかお手伝いできないかと考えた結果、我々は、日本語でEvernoteをお使いの全てのユーザーの皆さんを一ヶ月無料でプレミアムにアップグレードすることを決定しました。これは、我々が海の向こうからできるささやかな貢献ではありますが、 Evernoteのフル機能をより多くの人にお使いいただくことで、被害の記録を残し、生の声を録音し、救援に役立つ情報のノートブックを共同で作り共有し、そしてそういう叡智を後世より多くの人に役立ててもらえるよう、活用していただければと考えています。

また、既にEveroteのプレミアム会員としてお支払いいただいている日本の皆様の今月分のプレミアム料金を、100%日本の災害援助活動に寄付させていただくことも決定しました。

後者は本当にありがたい対応で、Evernoteを使っているだけで何かしらの役にはたっていると実感できます。「何かをやらなければ」という気持ちは重要かもしれませんが、それが罪悪感につながるのもちょっとしんどいものがあります。とりあえずプレミアムユーザーの方は、自分の支払った料金の一部が募金に回ったと考えておけば、そういった罪悪感に追い立てられることもないでしょう。

プレミアムの利点

今までプレミアムを使っていなかった方は、どんな機能があるのかを把握されていないかもしれません。関係ありそうな機能だけ紹介しておきます。

プレミアムの特典として一番に思い浮かぶのが容量の増加です。一ヶ月あたりの上限が60MBから1024MBにアップします。これぐらいの容量があれば相当数の画像ノート、あるいは音声ファイルを保存することが可能になるでしょう。

さらに、「共有ノートブック」を共同で編集することも可能になります。自分の持っている情報をシェアするだけではなく、いろいろな人の情報を共有ノートブックに集める事も可能になります。

また、iPhoneでオフラインノートブック機能を使えるようにもなります。必要な情報をiPhone上のオフラインノートブックに入れておけば、電波がつながらない場合にでも必要な情報にアクセスできるようになります。

「共有ノートブック」を使って情報をシェア

今のような状況で「Evernoteをどのように活用できるでしょうか。いくつか事例を考えてみます。

Evernoteの共有ノートブックは「世界中に共有」と「特定のユーザーと共有」の二つがあります。この「世界中に共有」を選べばウェブページとしてEvernoteの情報をシェアすることができます。

例えば、

  • 交通情報
  • 避難場所
  • 食料品を提供しているお店
  • ガソリンなどを販売しているお店
  • 自動販売機の場所
  • 自分の専門分野で役に立ちそうなトピックス

このあたりはいくらでも考えられます。ウェブ上の情報は散らばっていて検索するのがなかなか手間だし、ツイッターだと流れていってしまうので、一定の目的に合わせて情報をストックしておく場所としてEvernoteの共有ノートブックは活用できます。
※随時情報を更新する労力が必要ですが。

あるいは不謹慎かもしれませんが、心温まる話や笑い話なども共有してもよいかもしれません。ボイスメモを応援メッセージを集めることもできるでしょうし、応援の手紙を届けられなくても、写真で撮影してシェアすることもできます。千羽鶴を折って、それをカメラで撮影してもよいでしょう。物として送れないものでも、データとしておくることで、気持ちを送ることはできます。

「共有ノートブック」を使って情報をシェア2

共有ノートブックは被災者の方向けだけではなく、私のような直接被災していない人々の間での情報共有にも使えます。

例えば、

  • 献血を行っている場所・日時・献血に関する注意事項
  • 義援金を受け付けている場所・ウェブサイト・募金に対する注意事項
  • 支援物資の送り先あるいは送った方がよい物・送らない方がよい物のリスト
  • ボランティアに関する情報・あるいはその知識
  • 節電時に気をつけたいこと

こういった事が考えられます。自分が何か行動を起こすときに検索した情報をEvernoteに蓄積しておけば、その他の人の役に立つことでしょう。

記録を残す

それがどのようなものであれ、記録を残しておくことは後世に何らかの影響を与えます。

実際にどのような事態になったのか、現場の写真を保存しておく。これはもしかしたら後で災害認定を受ける際に活用できるかもしれません。また、再建時に何に気をつければいいのかの手がかりになるかも知れません。

あるいは被災で失われてしまった大切なものの写真などを他の方が持っていれば、それをEvernoteで保存あるいは共有することもできます。

あるいは手に入るデータを残らず保存しておくこともできます。気象データから政府の動き、火災の広がり方、あるいは静まり方、諸外国の救援の動きなど、何に使えるかはわからなくても、後世に意味を見いだす人が出てくるかも知れないデータを保存しておくわけです。そういったストックにEvernoteは非常に向いています。

情報を「備蓄」しておく

チェックリストを作っておくこともできそうです。

例えば、常備しておくべきもののリストを作ってもよいでしょう。あるいは何か起きた際に避難する場所のリスト・地図、連絡先をまとめて保存しておくこともできます。

今回の地震後から今に至るまでツイッターではさまざまなトピックスが流れていました。緊急の連絡先について(#7119や海上保安庁118など)、エコノミー症候群への対策、寒さの防ぎ方、余震に備えるためのポイント、・・・ツイッターを使っていて「知の共有」という言葉を真の意味で実感したような気がします。

こういった情報や、後から出てくる教訓もフローで流していくのではして、ストックとして活用していくためにEvernoteを使う事ができます。もちろん自分用として使っても良いでしょうし、共有ノートブックでシェアすることもできます。
※Evernoteじゃなくて、Blogでというのももちろんありでしょう。

思いを留めておく

私は、新聞社のサイトで上がっている自分の現実感をひっくり返しそうな数々の写真をEvernoteに一枚一枚クリップしておきました。押し流されている家屋、ひっくり返った車、真ん中で完全に割れている道路・・・、まさにそういうことが、この日本で起きたという現実的な証拠です。

しかし、ほぼ100%断言できますが、今私がこの瞬間に感じている気持ちは時間がたつごとに薄れていきます。それは人間として、ほとんどどうしようもない性質です。繰り返される日常は強烈な印象の出来事を少しずつ、少しずつ薄めていってしまいます。それは「脳」が持つ機能の一つでもあります。しかし、単にさじを投げることはできません。それに抗するのがテクノロジーでありツールの存在理由だと思います。

どれだけ、記憶がぼんやりと薄れていっても、現場のその瞬間を切り取った写真を見返せばその時の気持ちが想起されるでしょう。そこで失われた人々を思い、被った被害の大きさを思い出し、さしのべられた手の温かさを想起する。

保存するのは現場の写真である必要はありません。今自分が感じている事を文章にして残して置いてもよいでしょう。うまく文章が書けないならばボイスメモでもよいでしょう。

私は、自分がとても忘れっぽい人間であるという自覚があります。だからこそ、今感じている事をこうして文章に残しているわけです。将来の自分がきっと忘れてしまっているであろう感情を想起させるために、文章や写真を保存し、それをトリガーに使うわけです。

Evernote単体はリマインドの機能はないので、私はGoogleカレンダーに「2011年3月11日東日本大震災」という「予定」を作成しました。これを「毎年繰り返し」に指定してあります。Googleのサービスが生きているかぎり、私は毎年3月にこの出来事を必ず思い出すでしょう。Evernoteの日付を指定すればその時の画像や文章が全て検索できます。これまたEvernoteのサービスが生きているかぎりは、ずっと。

さいごに

自分の持っている情報をシェアする。あるいは他の人が出した情報をストックする。さらには、自分の記憶や思いを留めておく。

いろいろな方法があると思います。しかし、これは「〜〜なければならない」という強制力を働かせてやるものではありません。

一番に必要なのは、何ができるだろうかと考えてみることだと思います。もし、それで何も思いつかないならばそれはそれで仕方ありません。それは悪いことでもなんでもありません。

ただ、被災していない地域の人が「自分に何ができるだろうか」ということを一度は真摯に問い掛けてみることが重要だと思います。「何ができるだろうか」の対象は今被災されている方に対してかもしれませんし、将来の自分や人々のためかもしれません。

私も少額の募金や献血以外に出来ることと言えば、こうして文章を書き、何かしらのアイデアをシェアすることしかありません。でも、そうやってそれぞれの人が自分にできることを少しずつでも積み上げていくのが一番良い形なのではないかと思います。

無理しても続かないばかりか他にも悪影響がでるかもしれません。それに、地震が収まったからと言って終わりではないのです。むしろ、そこからがはじまりなわけで、そういう時に「続けること」「忘れないでいること」はとても大切なことだと思います。

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Rashita
物書きをやっております。実用書から小説までなんでもござれのハイブリッド物書きです。 ライフハックや仕事術、知的生産などに興味があります。

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