ポモドーロテクニックについて3

続きものです。

ポモドーロテクニックについて1
ポモドーロテクニックについて2

1,2までで「ポモドーロテクニックって一体なんやねん」というのはご紹介できたように思います。詳しいことを知りたい方は、なんども紹介していますが、以下の本を。

アジャイルな時間管理術 ポモドーロテクニック入門
アジャイルな時間管理術 ポモドーロテクニック入門 Staffan Noeteberg 渋川よしき; 渋川あき

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今回は、このポモドーロテクニック(以下ポモテク)のどのへんに私がびびっと来たのかを書いてみます。

見えないテキとは闘えない

話がイルカのショーのように飛びますが、すこし「コンビニ店長」時代の話を。

小さいながらも一応「組織」の管理職的立ち位置だったので、様々な情報が簡単に手にはいりました。コンビニというのはPOSシステムという強力なデータ管理システムがあるので、ピコピコとパソコンを操作すればたちどころに情報は集まります。提供されていたソフトウェアが「貧弱ゥ貧弱ゥ」だったので、自分でExcelシート作り、そこにデータを突っ込んで分析していました。

単純なところでは、曜日ごとの売り上げデータとか、時間帯ごとの強い商品群とか、まあそういう情報から、実際の営業活動の改善を生みだしていくわけです。作った売り場や商品展開が悪ければ、当然売り上げは落ちます。この「売り上げ」や「客数」というデータの変化を見れば、やるべきこと、やるべきでないことの判断ができるわけです。

また、これ以外にも自分の勤務時間含め、スタッフの勤務状況も手に取るようにわかります。働いた時間に対する対価や、どうすれば「割り込み」(誰かが休んでその代わりに出勤する)を減らせるのか、という方針を考えることもできます。

ようするに「仕事の進め方」に関するフィードバックを簡単に得られたわけです。

しかしながら現状では、これと同じように進めることはできません。そもそもそんな「データ」が存在しないからです。

もちろん、本が売れた数字や、ブログのアクセス数というフィードバックがあります。しかしながら、これは「内容」に関するフィードバックです。どんなコンテンツがウケるのか、どんなタイトルだとリツイートされやすいのか、というフィードバックは大変重要なものですが、そこから「いかに仕事を進めればいいのか」という情報は出てきません。

普通にタスクリストにタスクを書いて、それを消していくだけだと「自分の仕事の進め方」に関するデータがほとんど得られないわけです。仕事を変えてからしばらくして、ずっとこの問題に頭を悩ませてきました。何かを改善するためには、フィードバックは必要です。姿の見えないテキとは闘えないのです。

どのようなデータか

そこで、考えるのが「どのようなデータを取ればよいのか」ということです。

例えば、

朝9時に「仕事」を始めました。夜10時に「仕事」を終えました。労働時間は13時間です。

というデータには何一つ意味がありません。現状の仕事では「労働」という概念が欠落しているので、「労働時間」のデータを収集しても意味がありません。別に「自分の時給」など知りたくもないのです。同様に、PCの前に何時間座っていたのかを測定しても意味はありません。もしかしたら、そのうち1時間ぐらいはニコニコ動画を見てるかもしれません。

目に見える数

では視点を変えて、「書いた文字数」というのはどうでしょうか。物書きは文字を書いてナンボです。それを測定すれば「生産性」がわかるのではないか。しかし、これもうまくいきません。

10分考えてひねり出す一文もあれば、適当に思いつくまま書き付ける10行もあります。単純に文字数だけで考えると前者が劣っていて、後者が優れているということになります。

この考えで「カイゼン」を進めて行けば、どんな内容でも文字を書き散らかせばOKという方向に進むことになります。これは私の価値観には合っていません。また、文章を書く作業には、かならず文章を消す作業も入ってきます。単純に書き出した文字数だけで「生産性」を測定することはできません。

単純な成果

であれば、単純に「こなしたタスク数」だとどうでしょうか。一日あたりに進めたタスクの数を数えていけばどれだけ「生産的」だったのかわかるはず。

でも、よく考えてみると、これもうまくいきません。タスクの中には、生産に貢献するタスクもあるでしょうが、そうでないタスクもあります。「机の上の片付け」「ゴミ箱の処理」「デスクトップの整理」・・・・・・実行すべきことかもしれないが、A.S.A.Pである必要は無い、そういうタスクも沢山あります。そして本来やるべき事があるのに、そういうタスクを「つい」実行してしまうという事態も多くあります。

単純に処理したタスクだけを計測しても、「生産性」を計ることはできません。言い換えれば、そのタスクが本当に実行されるべきかどうかなどの「重み付け」がなされていない「タスク数」の測定は、「スマートに仕事をして定時で帰るヤツより、非効率に残業しているヤツのほうが頑張っている」的価値観と同列です。

こういう感じで、一体何を「基準」にしてデータを残していけばいいのか、について模索を続けていました。

新しい測定単位

こういう状況で「データ」について考えていたところに遭遇したのがポモテクでした。タイマーうんぬんはそれほど珍しくなくても、1ポモドーロという定量的な単位を作るという発想が私には斬新に感じられました。

この1ポモドーロ(標準は25分)が何を意味するのかというと、それは25分という時間そのものではありません。

これは、「今から自分は作業するぞ」と決めて実際に作業に使った25分です。つまり、集中して(あるいはそうしようとして)作業に立ち向かった時間単位が1ポモドーロです。

作業の中身は問いません。一日の間にどんな作業をするかも関係ありません。仕事の進め方や順番も不問です。ただ、自分がコミットメントを持った作業に、どの程度時間を使ったのかだけを記録します。そして、自由に仕事できる立場の人間はこの「時間」がどれだけたくさんあったのかが重要です。

コミットメントに対する集中時間

ポモテクでは、朝一に自分の「一日分のコミットメント」を選択します。それは以前に書き出した、「当面やるべきことリスト」の中から選択するので、「衝動的タスク」ではなく「理性的タスク」が選ばれることでしょう。「今日のToDoシート」に並ぶものは、全体を見通して今日中にやった方がいいなと考え、「今日やろう」と選択したものです。

ポモドーロはそれらのコミットメントに対して使った時間の単位です。ToDoシートに5個チェックマークが付いていれば、25x4、つまり100分の時間を「やるべきこと」を前に進めるために使った、ということがわかります。

この、自分がコミットメントしたことに対して使った時間を定量的な時間単位で測定する、というのがポモテクが他とは違うところです。その時間は「集中時間」と呼んでもよいかもしれません。
※実際に25分間すべて集中できているかどうかは別として

『ポモドーロテクニック入門』には次のような文章があります。

あなたが行うことは、基本的に、この25分間の間は最善を尽くすという誓約を立てることだけです。そのアクティビティが、そのイテレーションの中で完了するかは問題ではありません。その時間で唯一気にしなければならないことは、最善を尽くしているかどうかということだけです。

フレキシブル&自分の裁量で仕事を進められ、仕事そのものを定量的に計れない場合は、この「自分がやろうと思ったことに対して最善を尽くそうとした時間」を単位に持ってくるというのは一つの考え方だと思います。

このデータがあれば、「一日にどれぐらいの時間集中して作業できるのか」という平均も見えてきます。また、「作業に着手していないのか、作業に着手しているけど進んでいないのか」という差も見えてきます。前者と後者ではカイゼンする内容が大きく違うはずです。

さいごに

仕事の種類によって「生産性」あるいは「効果性」の測定基準は違ってきます。

どれだけ数をこなしたのかという数量で測定できるものもあるでしょう。どれだけ集中した時間を持てたのかという時間の量で測定することができるものもあるはずです。あるいはこの中間に位置するものもあるはずです。これはドラッカーの「知識労働者の3つの区分」に近いものがあります。

何かを改善していくためには、適切なフィードバックは欠かせません。そして、私の場合それが単純な労働時間ではないことは確かです。ポモドーロテクニックが完璧なものであるとは思いませんが、この考え方からある種の示唆を得ることはできそうです。

ながながとポモドーロテクニックについて書いてきました。要点は、

・自主的に選んだ一日分のクローズド・リストを作り、迷いを発生させない
・時間的制約を作って集中力を発揮させる
・仕事を進めながら、定量的なデータを残していく
・定量的なデータから、自分の仕事の進め方に関するカイゼンを行う

の4つです。

このように仕事の進め方と、仕事そのもののやり方に関するフィードバックがセットになっているのが特徴と言えるでしょう。


▼こんな一冊も:

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Rashita
物書きをやっております。実用書から小説までなんでもござれのハイブリッド物書きです。 ライフハックや仕事術、知的生産などに興味があります。

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