Posts tagged: でんでんコンバーター

『セルパブ戦略』のScrivenerのプロファイル

先日発売した以下の本ですが、

これまで通り、Scrivener+でんでんコンバーターの体制で作っております。

今回は、そのScrivenerの設定をご紹介。実際の中身と合わせてご覧いただくと、より一層理解が深まるかと思います(遠回しな宣伝)。

では、いきましょう。

Scrivener
カテゴリ: 仕事効率化, 教育

Binder

ファイルの構成は次のようになっています。

screenshot

「章」を担当するフォルダが上位で、その下に本文を担当するファイルがあり、さらにその下にコラムを担当するファイルがあります。本文とコラムを別の階層に割り当てることでコンパイル時の処理を変えるのが狙いです。

Separators

screenshot

「===」は、でんでんコンバーターにおける改ページ処理。

章の扉ページ、本文、コラムでそれぞれ改ページが発生するようになっています。

Formatting

章の扉ページ担当。
screenshot

本文担当(コラムあり)。
screenshot

本文担当(コラムなし)。
screenshot

コラム担当
screenshot

章のタイトルは、h2のタグを指定。本文、コラムはそれぞれh3の指定です。今回は、本文のコラムあり・なしで指定は変えていませんが、やろうと思えば変えられるのがScrivenerのすごいところです。

また、本文とコラムは同じh3ですが、それぞれ別のclassをあてています。フォントサイズやalignの処理を分けるためです。でも、同じH3なので、本における目次上は同じように扱われます。

直CSS

あまりスマートではありませんが、本文中にもCSSの記述があります。

screenshot

まずコラムは、全体をdivで括っています。で、cssでフォントサイズを小さくし、右寄せにした上で、左側にマージンを取るようにしました。本をお読み頂ければ、「これはコラムです!」とはっきりわかるようになっているかと思います。

いくつか実装のパターンを考えたんですが、これが一番手軽でした。でも、あまりスマートではありません。

screenshot

章の扉ページにあるエピグラフの処理。Scrivenerではフォルダにもテキストを埋め込むことができるので、それを使っています。フォンサイズを小さくし、著名・著者名に関しては右寄せのデザインを指定してあります。

screenshot

また、「おわりに」に含められている「おわりにのおわりに 謝辞にかえて」と「おわりのおまけ」は、改ページがない方が良いだろうと判断して、ページ分けの処理を行わず、こうして直に###(でんでんコンバーターにおけるh3)を書いています。

さいごに

以上が『セルパブ戦略』のプロファイルでした。

CSSファイルに関しては、でんでんコンバーターのデフォルトファイルに少し手を加えたものを使いました。上記で出てきたような、オリジナルのclassに関するスタイルを追加したものです。それ以外は、基本的に何もいじっていません。

というわけで、ご自分でScrivenerファイルを構成する場合の参考になれば幸いです。

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『ブログを10年続けて、僕が考えたこと』のScrivenerのファイル構成およびcompileの設定と使用したCSSファイルについて

先日発売した以下の新刊ですが、

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あいかわらず作成に使ったツールは同じです。

Scrivenerでテキストを構成し、.txtに出力。それをでんでんコンバーター変換して、KDPにアップロードという流れ。

でんでんコンバーターで少し凝ったデザイン(組版的な意味で)を行う場合は、作成後のepubファイルをzipにして開くことが必要だったりするわけですが、今回の本はでんでんコンバーターからの出力一発となっております。

それはあらかじめ「仕込んである」からなんですが、その辺も含めて今回は中身の方を紹介してみましょう。

Scrivener
カテゴリ: 仕事効率化, 教育

ファイル・フォルダ構成

まずはScrivenerの中身から。

ファイル&フォルダ構成はこのようになっています。

screenshot

まず「原稿」という大きなフォルダがあり、その下に本の素材となるファイルとフォルダが並んでいます。フォルダは章ごとに1つあり、その下にそれぞれの章の本文となるファイルが並んでいます。ただし、「扉」というファイルは「原稿」フォルダの直下に置いてある点に注意してください。後ほどのcompileでこの配置が効いてきます。

続いて、本文の中身。

screenshot

上の画像は、第一章のフォルダの中身です。第一章のテキストを収めたファイルがここにすべて含まれているわけですが、冒頭の数行に関しては、フォルダの中にあるファイルではなく、フォルダに直接書き込んである内容です。いちおう書いておきますと、Scrivenerのフォルダは、直下にファイルやフォルダを配置するだけのものではなく、そこに直接テキストを書き込むこともできます。
※テキストを入力すると、アイコンの表示が変わります。

こちらは「扉」のテキスト。

screenshot

ご覧の通り、マークダウンではなくがっつりHTMLが使われています。ここが組版的デザインのポイントで、でんでんマークダウンだけだとclassの指定ができないので、「じゃあ、もう直接HTML入れとくか」のノリで、それが記入されています。もちろん、対応するCSSもCSSファイル内に書き込んであるわけですが、それはまた後ほど。

separateの設定

separateの設定は次のようになっています。

screenshot

ほかはすべてシングルリターンですが、ファイル→フォルダの境界だけカスタム設定として「===」が入ります。「===」は、でんでんマークダウンで「(ファイル分割によって)改ページせよ」として機能します。先ほどのファイル構成をもう一度ご覧ください。

screenshot

ファイル→フォルダの境界となるのは(ファイルの次にフォルダが出てくるのは)、

「扉ファイル」→「第一章のフォルダ」
「第一章のラストファイル」→「第二章のフォルダ」
「第二章のラストファイル」→「第三章のフォルダ」
「第三章のラストファイル」→「第四章のフォルダ」
「第四章のラストファイル」→「第五章のフォルダ」
「第五章のラストファイル」→「おわりにのフォルダ」

の6つです。これはつまり、章と章の境目です。ここに改ページが入るようになっています。

このseparateの設定を使わず、本文に直接「===」を記入していっても、できあがるepubは同じです。ただし、こうした設定をしておくと、「記入し忘れる」というミスを防ぐことができます。また、校正作業でファイルの順番を入れ換えても、いちいち「===」の場所を移動させる必要がありません。

formattingの設定

formattingは、3つのパターンを使用しています。「第二階層のフォルダ」「第二階層のファイル」「第三階層のファイル」の3つです。
※第一階層のフォルダは、「原稿」という一番上のフォルダなので使用しません。またその階層にはファイルはありません。

一番簡単なのは、「第三階層のファイル」です。

screenshot

ここには本文が入っています。そこで、titleとtextを選択し、titleの接頭辞として、「### 」を指定します。

ここでのtitleはファイルやフォルダの名前ですので、たとえば「ブログの流れは絶えずして」というファイルならば、

### ブログの流れは絶えずして

ここから本文

といった感じでcompileされるわけです。
※###はでんでんコンバーターにおけるH3の指定。

screenshot

続いて「第二階層のファイル」。

ここに位置するのは、「扉」というファイルだけです。で、名前の通りこのページは扉ページなのですが、一行だけの言葉が置いてあります。このページを「第三階層のファイル」と同じにしてしまうと、少し問題が発生します。

### 扉

あなたのブログが、良き読者と共にあらんことを。

このように、でかでかと(h3で)「扉」と表示されることになるのです。さすがにそれはダサいです(あと、表示上の問題もあるのですが、それは後ほど)。

そこで、第二階層のファイルは、textは選択するものの、titleは選択していません。

というか話はまったく逆で、このファイルだけtitleを選択したくないので階層を分けているのです。

章の扉ページ

screenshot

一番ややこしいのが「第二階層のフォルダ」です。章のトップページに位置する要素です。

ここで使用するのはtitleとtext。そこまでは普通なのですが、接頭辞と接尾辞が込み入っています。

接頭辞と接尾辞は、簡単に言えば、

[○○ title △△]

の○○(接頭辞)と△△(接尾辞)を指定するものです。「第三階層のファイル」ではこの接頭辞を使用しました。で、この○○と△△にはなんでも入力できます。たとえば、○○に<h2>を、△△に</h2>を指定すれば、compile時には、

<h2>title</h2>

となるわけです。そして、接頭語・接尾語には複数行を入力することも可能です。ということは、

<section class=”titlepage”>

<div class=”titlepage-container”>

<div class=”titlepage-collectiontitle-placeholder”></div>
<h2 class=”titlepage-maintitle”>

を接頭辞に、

</h2>
<div class=”titlepage-subtitle-placeholder”></div>
<hr style=”border-top: 2px solid #bbb;” />
<p class=”titlepage-creator”></p>
</div>
</section>

を接尾辞に指定することも可能ということです。

そしてこれは、でんでんコンバーターが自動的に作成してくれる扉ページHTML(titlepage.xhtml)のほぼそのままのパクリでもあります(ある程度はカスタマイズしてあります)。

スタイルシート

が、単にこうしたコードを埋め込んでも、CSSが指定されていなければデザイン上の意味はありません。でんでんコンバーターが作成するtitlepage.xhtmlは、template.cssという特別のスタイルシートが当たっており、本文中に適用されるstyle.cssとは隔離されているのです。

だったら、混ぜてしまいましょう。

でんでんコンバーターの標準のスタイルシートに、epubをzip解体して中身を覗いたtemplate.cssを上乗せしてあります。これで、titlepage.xhtmlで使われているclass指定がそのまま使えます。

その他、標準のスタイルシートから変更を加えている点は、

  • blockquote,ulのフォントサイズをやや小さく
  • h3のmargin-bottomを少し広く
  • エピグラフ用のCSSを追加(フォント小さく、右寄せ)
  • h3のpage-break-beforeを常に

あたりです。

最後の「h3のpage-break-before」はページ制御で、h3の手前で改ページが入るようになっています。見出しごとにページの区切りがあるわけです。

しかし、この指定では、本の一番最初のページがh3で始まっていると、特に意味のない空白ページが生まれてしまいます。本の一番最初の要素がh3→その手間に改ページを入れなければならない→しかし、その手間には何の要素もない→空白のページが誕生、こういう流れです。

そこで、扉ページだけ第一階層に切り分けてtitleを入れないようにしているわけです。こうしておけばh3が入ることはありません。つまり、ここだけ手間に改ページを入れることを避けられるわけです。

この切り分けの強力さは、たぶん実際にcompileを体験してみないと理解しにくいかと思いますが、相当に便利な手法であることをここに宣言しておきます。

さいごに

以上のような、一見ややこしく、その実やっぱりややこしいことをいろいろやっております。

ただ、仕組みを理解するとすごく楽であることは間違いありません。構成を整えていると、文章の順番は結構な頻度で変わります。そのたびごとに、ページ構造を意識してコードを書き換えるのはわりと面倒なのです。

というわけで、上記の設定を確認しながら、実際に本の中身もチェックしてみるとより一層理解が進むかもしれません。宣伝です。

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でんでんコンバーターにアップできるファイル(アルテさんと僕)

「今日は、でんでんコンバーターにアップできるファイルについて説明するわ」
思わず僕は「えっ」と聞き返す。
「たしか、でんでんコンバーターって、テキストファイルからEPUBファイルを生成してくれるんですよね」
「そうね」
「だったら、アップロードするファイルはテキストファイルだけじゃないんですか」
「ばかね。だったら表紙画像はどうするのよ? アスキーアートで描写する?」
「そうか、表紙は画像ファイルなんですね……」
「えらくテンションが落ち込んだわね。どうしたの?」と小首をかしげるアルテさん。
「いや、昔から美術の成績だけが悪くて。表紙の画像なんてうまく作れる気がしません」
「まあ、一応はテキストファイルだけでもEPUBファイルは作れるわ。販売目的じゃない場合は、それで十分かもしれないわね」
「販売目的なら?」
僕が尋ねると、びしっと指を突きつけてからアルテさんは言った。
「そりゃちゃんと表紙は作らないと。でないと、まったく売れないわよ。表紙は本と読者のファースト・コンタクト。お見合いに行くなら、きちんと服装を整えるでしょ。それと同じことよ」
「だったら、僕は諦めた方がいいですね……」
「あのね、そのやる前から匙を投げる性格はなんとかならないの? 今なら表紙に使える無料画像もたくさんみつかるし、そもそも自分で作らなくたって、他の人に頼むこともできる」
「でも、僕、絵の上手い知り合いとかいませんし……」
「あ〜〜も〜〜、イライラする。だったら、知り合いを作ればいいでしょ。美術部とかに潜り込んで、イラストに興味がある人と仲良くなればいいでしょ。男なんだから、長年鍛え上げたナンパテクニックを駆使しないでどうするわけ?」
いったい、どんな偏見だよ。そんなテクニック鍛えたこともないよ……。
「ともかく、表紙画像作りも視野に入れておきなさい。表紙だけじゃなくて、挿絵なんかも一緒だからね」
「なるほど」
「じゃあ、さっさと説明に戻るわ。でんでんコンバーターにはテキストファイル以外にも、いくつかの種類のファイルがアップロードできます」
「ふむふむ」
「まずはテキストファイル。これは当然ね。本文にあたるファイルです。ちなみに複数のファイルもアップ可能よ」
「複数アップするとどうなるんですか?」
「GQ! その場合は、ファイル名の順番で処理されるわ。main01.txt、main02.txt、main03.txtという三つのファイルをアップしたらこの順で表示されることになります」
ジーキュー? Good Question? まあ、いいや。
「画像ファイルも複数アップロードできます。フォーマットは、PNG、JPEG、GIFに対応しているわ。基本的なものはALL OKね。画像の使用箇所は、本文内で指定するからファイル名はなんでも構いません。でも、表紙画像に使うファイルは「cover」をにすること。つまり、≪cover.jpg≫≪cover.png≫≪cover.gif≫のどれかになります」
「なるほど」
「あとファイルの大きさは3MBまで。これは画像ファイル以外にでも言えることだけど、まあ、テキストで3MBを越えることは、ちょっと考えにくいわね。とりあえず画像ファイルの大きさには注意しましょう。解像度を大きくすると、3MBなんてあっという間に越えちゃうから」
「3MBを越えなければ何でも良いんですか?」
「GQ!」
また出た。
「一度にアップできるファイルの数は50個まで。画像をこれでもか!っと使う場合はちょっとしんどいかもしれないわね。そうでなければ、50個もあれば十分でしょう」
「ということは、詳細な解説書なんかは難しい?」
そうね、とアルテさんは頷く。どんなツールにも得手不得手があるものだ。でんでんコンバーターの説明にも<文字を中心としたコンテンツの制作に幅広く利用できます>とあるらしい。つまり、その逆は苦手ということだ。でも、当面僕の作りたい本では問題ないだろう。
「この二種類のファイル、テキストファイルと画像ファイルで基本的なEPUBは作れます。ただし、でんでんコンバーターではもう二種類ファイルのアップロードを受け付けてくれています」
「もう二つ?」
「そう。一つはCSSファイル。前に説明したわね」
「はい。脳に刻み込まれています」
「よろしい。デザインを変えるときに使えるので覚えておきましょう。ただし、アップロードできるCSSファイルは1つだけなので注意して。HTMLだと複数のCSSを当てる場合があるけれども、でんでんコンバーターではそのやり方は使えません」
「わかりました」
「最後の一つが、設定ファイル」
「設定ファイル?」
「そう。ddconv.ymlという形式のファイル」
「そんな拡張子、はじめて見ましたよ」
「まあ、そうでしょね。でも、気にしなくても平気よ。サンプルファイルが準備されているから、それにちょこちょこ手を入れるだけで使えるわ。あと、普通のテキストエディタで編集できます」
「そのファイルをアップロードするとどうなるんですか?」
「普通ではできない細かい設定が可能になるわ。逆に言うと、はじめのうちは使わなくてもいいし、デフォルトの設定で満足している場合も使わなくて大丈夫。たとえば、書誌情報として著者以外の作成者名を入れたい場合なんかに活躍してくれるわ」
「編集とか、そういうのですか」
「もちろんそれもあるし、他にも監修とか翻訳とか解説とかイラストとか、いろいろあるわね。そういう人たちの名前を本の情報に入れたい場合は、設定ファイルを使うといいわ。設定ファイルにも解説が載っているから、必要になったら読んでみること」
「わかりました。……これで全部ですか?」
「う〜んと、そうね。だいたいはこれくらいかしら。あとは、一つだけおまじないを覚えておいて」
「おまじない?」
「ええ。簡単よ。『文字コードはUTF-8』。意味はわからなくていいから、これをぶつぶつと念仏みたいに唱えておいて」
「『文字コードはUTF-8』ですね。わかりました」
「じゃあ、今日のところはこれまでとします」
「ありがとうございます」


<アルテさんと僕シリーズ>

でんでんコンバーターでスタイルを変更する方法(アルテさんと僕)
でんでんコンバーターでスタイルを変更する方法2(アルテさんと僕)
でんでんコンバーターでスタイルを変更する方法3(アルテさんと僕)

でんでんコンバーターで改ページする方法(アルテさんと僕)

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でんでんコンバーターでスタイルを変更する方法3(アルテさんと僕)

その1:でんでんコンバーターでスタイルを変更する方法(アルテさんと僕)
その2:でんでんコンバーターでスタイルを変更する方法2(アルテさんと僕)


「さて、前回のお話は覚えているかしら?」
「アルテさんの寝相がすごく悪い、という所まででしたね」
「どうやら脳がハッキングされているみたいね。はやく電源を落とさないと!」
「ちょっ、それで殴られた重傷じゃすみませんよ」
いったいどこから出てきたのか人の身長ほどある万年筆を振りかぶるアルテさん。「君がしょーもないこと言うからじゃないの」
「ジョークですよ。ジョーク。アイスブレイクとしてのジョーク」
はははっと乾いた笑い声をあげる僕。アルテさんの視線は、空気中の窒素すら凍てつかせる直前だ。
「とにかく本題に戻りましょう。前回紹介したように、スタイルの変更は全体に影響を与えます。でも、特定の部分だけ変えたいときもありますね」
「はい」
「そういう場合には、2つ方法があります。1つは、classかidをあてること。もう1つは、直にスタイルを書くこと」
「……なんか一気に難しそうになりましたね」
「そうでもないんだけど、CSSを知らないと難しく聞こえるかもしれないわね。じゃあ、classとidについては後回しにしましょう。今回は直にスタイルを書く方法に限定するわ」
「それだと簡単なんですか?」
「簡単というか、シンプルね。たとえば一箇所だけ見出しの文字を大きくしたい場所があったとしましょう。でんでんマークダウンだと、次のように書けば三段階目の見出しになるわね」

screenshot

「はい。そうなります」
「これは実際の所、次のように書くHTMLと同値なの」

screenshot

「というか、###で囲った部分がこのように変換されるということね。だから、変換後の形をそのまま書いても問題ないわけ。ここまではOK?」
「なんとか、大丈夫です」
「よろしい。この形で記述すると、タグの中に直接スタイルを書くことができます」
「タグというのは<h3>ですね」
「そう。つまり、こうなります」

screenshot

「こうすると、他の見出しのスタイルはそのままに、この箇所だけ表示を変更できます。この場合だと、文字サイズの変更ね」
「ふむふむ。つまり、CSSファイルの中に書くことを、ここに直接書いちゃうわけですね」
「そうです。そして、CSSファイルに同じ要素に関する指定があっても、直に書いた方が優先されます」
「優先?」
「たとえば、CSSファイルでh3にfont-size:1.1em;のスタイルが設定されていても、直にfont-size:1.3em;と書けば、そうして書いた部分だけは1.3emになる、ということ」
「指定が上書きされる、ということですね」
「まあ、そんなところね」
「でも、CSSファイルだと複数のスタイル指定ができましたよね。直に書く場合はどうなるんですか」
「改行を入れずに、そのまま連続して書けばOK。可読性はあまりよくないけど、ちょっとぐらいの変更なら気にならないと思うわ」

screenshot

「なるほど。把握しました。なんとか、これで細かい変更もできそうです」
「まあ、これはあまりスマートな方法じゃないんだけど、小さい問題ならいけるでしょう。後は、どんなスタイル指定ができるかをマスターするだけね。それは<練習問題>でやってみましょう」
「わかりました」
「じゃあ、今回の講義はこれまでです」
「ありがとうございます」

(でんでんコンバーターでスタイルを変更する方法編 終)

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[Scrivener+でんでんコンバーター]で各章の扉ページに画像を配置する

絶賛好評発売中の『Fount of Word -α-』には、珍しく画像が多用されています。

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Fount of Word -α- 倉下忠憲

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各章の扉ページに、こういった画像が配置されているのです。

20141102120616
※本書は、ぜひ画面を縦にしてお読みください。

で、でんでんコンバーターにおいて画像の配置は以下のような記入を必要とします。

![代替テキスト](img.jpg)

こういう記入をしておくと、でんでんコンバーターが次のようなタグに変換してくれるわけです。

<img src=”img.jpg” alt=”代替テキスト” />

※代替テキストは省略することも可能です。

さて、『Fount of Word -α-』は全部で40の章があります。ということは、章の扉ページも40個あります。そのそれぞれに、上のタグを書いていく……。悪夢ですね。

でも、Scrivenerなら大丈夫!(テレビの通信販売風)

Formatting Hack

使うのはCompileのFormatting。

screenshot

この「Section Layout」を使うと、その文章のタイトル部分に細工ができます。先に結論を書いてしまうと、

![](word<$n>.png)

screenshot

という風に書きます。ポイントは<$n>の部分。

これは一種の変数で、一回呼び出されるたびに数が一つ増えます。n++なわけです。

つまり、上のように書いておくと、第一章の扉ページの部分では、

![](word1.png)

となり、第二章・第三章では、

![](word2.png)
![](word3.png)

となるわけです。もちろんこれが40個続いてきます。

これでいちいち画像タグを書いていく必要はなくなりました。あとは、この連番に合わせて画像ファイルを作成すればOKです。

階層ズラし

が、このまま普通にやってしまうと、「おわりに」とか「著者プロフィール」のページにもこの画像タグが挿入されることになります。それはちょっと嫌ですね。

というわけで、階層を分けます。本文にあたる文章はフォルダの中に格納し、「おわりに」などは第一階層に置いておきます。もちろん、逆でも構いません。ともかく階層をズラすのがポイントです。

そうすると、

screenshot

screenshot

というように、当てられるFormattingが変えられます。こうしてめでたく、本文の中だけに扉ページの画像タグを自動的に挿入することができました。

さいごに

もちろん画像ファイルを連番で作成する、という作業が若干面倒なわけですが、それはなんとかなるでしょう(大ざっぱ)。

ともかく、

  • Formattingでタイトルに細工
  • 変数を活用
  • 階層をズラす

という3つのテクニックを知っておくと、Scrivenerは界王拳3倍ぐらいすごくなりますのでぜひ覚えておいてください。

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Scrivenerの「Separators」と「Formatting」で「でんでんコンバーター」に改ページを入れる

先週のエントリーで、Scrivenerにおける改ページを紹介しました。

Scrivenerへの散歩道#011 ページを制御する

が、最終的な着地点をEPUB3と想定する場合、Scrivenerさんはやや非力です。コンパイルとして書き出せるEPUBのフォーマットがEPUB2なのです。

というわけで、Scrivenerからプレーンテキストで書き出し、それをわれらが「でんでんコンバーター」で変換する、というのが最近の私のお気に入りの手順なわけですが(※)、その場合、改ページの手法が変わってきます。
※詳しくはこちらのエントリーを

今回は、その手法について紹介しましょう。

Scrivener
カテゴリ: 仕事効率化, 教育

でんでんコンバーターにおける改ページ

基本的なところから確認します。

「でんでんコンバーター」における改ページは、ファイル分割によって行われます。

screenshot

シンプルに言えば、イコール記号「=」を3つ以上入れれば、そこで改ページが行われるよ、ということです。まずは、それを覚えておいてください。

実際は、その部分でファイル分割が行われます。通常であれば、EPUBファイルを構成するxhtmlファイルは、

bodymatter_0_0.xhtml

の一つなのですが、イコール記号「=」を3つ以上入れた行があれば、

bodymatter_0_0.xhtml
bodymatter_0_1.xhtml

となります。一つのファイルが二つに分割されたわけです。

電子書籍リーダーは、これらのファイルを連続で表示しますが、ファイルとファイルの境目に「改ページ」が生まれます。

一般的には、たとえば章ごとに、改ページ(ファイル分割)を入れておくのがスマートでしょう。大きすぎるファイルは、表示も遅くなるそうで、宗教的制約がないかぎりは、改ページ(ファイル分割)を使うのが吉です。

あたまとおしりに自動的に追加

Scrivenerを使う場合は、いちいちイコール記号を入れて回る必要はありません。コンパイル時のオプションで指定可能です。

方法は二つ。「Separators」あるいは「Formatting」。どちらも、境目に自動的に文字列を挿入する方法ですが、前者はおしりに、後者はあたまに挿入することになります。

「Separators」

まずは、「Separators」から。こちらは、ファイルとファイルの境目の制御です。たとえば、改行を入れるのか、入れないのか、といった制御になります。

オプションでは、以下のように表示されているでしょう。

screenshot

  • テキストとテキストの間
  • フォルダとフォルダの間
  • フォルダとテキストの間
  • テキストとフォルダの間

この4つの指定箇所があり、それぞれ、

  • Single return
  • Empty line
  • Page break
  • Custom

の4つが選べます。

ここで「Page break」を選択すれば、前回のページビューにおける改ページが入るのですが、今回注目したいのはCustomで、これを選択すると任意の文字列を間に挿入できます。

任意の文字列?

そう、イコール記号三つ以上ですね。

具体例を挙げてみましょう。

まず、「テキストとフォルダの間」に「===」を指定します。

f006b5a4bef184c9608357376220a8a9

ファイルの構成は次のような感じ。

screenshot

コンパイルで出力されるテキストファイルは、こうなります。無事、改ページ記号が自動挿入されました。

screenshot

Scrivenerでは、フォルダを使って章立てを分ける構成がよく行われますが、たとえば、以下のようなファイル構成ならば、

screenshot

「テキスト→フォルダ」のセパレーターに改ページ記号を指定しておくと、でんでんコンバーターでの変換時に、ばっちり改ページ(ファイル分割)が行われます。

0046af8727f0608b16069cf7c5cdd34f
※注意:フォルダのtitleが出力されないと、セパレーターも挿入されません。

ちなみに、「テキスト→フォルダ」のテキスト部分に直接改ページ記号を書き込んだとしても、コンパイル時のテキストファイルの見た目は同じになります。

しかし、この場合、構成をいじり、テキストの配置が変わってしまった場合、改ページ記号の場所も変更する必要があります。「Separators」で指定しておけば、どれだけ中身が変わっても、「テキスト→フォルダ」の間には改ページ記号が入ることになるので、手間が少ないと言えるでしょう。

「Formatting」

もう一つが、「Formatting」ですが、これについては以前ブログで書きました。

二冊目の電子書籍の製作手順(2) 〜Scrivener→「でんでんコンバーター」のちょっとしたコツ〜

上の記事の中頃に出てきます。

こちらはテキストあるいはフォルダの頭の部分に指定した文字列を入れる方法ですが、階層ごとに指定を分けられるので、フォルダの中にフォルダがあって「Separators」ではうまくいかない……、みたいな場合には便利でしょう。

「Separators」と「Formatting」のどちらが正しいということはありません。機能の特徴を踏まえながら、パズルを解くように手間少なく改ページを入れる方法を編み出してください。

CSSによる強制的な改ページ

改ページはしたいけど、ファイル分割はちょっと……という場合もありますね。

たとえば私のエッセイ集は30とか50とかのエッセイが入っていて、それぞれ改ページしてあります。もし、すべてをファイル分割すると、30とか50のxhtmlファイルができあがるわけです。まあ、読む人には関係無いのでそれでも良いと言えば良いのですが、ファイル分割を行わない、改ページの方法もあります。

それは、CSSの「page-break」を使う方法です。

page-break-before(HTMLクイックリファレンス)
page-break-after(HTMLクイックリファレンス)

たとえば、H2がエッセイのタイトルになっているならば、H2タグに”page-break-before:always”を指定しておけば、H2が登場する度に、その前に改ページが入ります。ちなみに、ラフに指定すると、どこに登場するH2にも効果が発生してしまうので、改ページしたくないところで改ページになってしまう可能性がある点には注意。

が、どうやって指定したらいいのか、という話は本稿の手に余りますので、適当にググってみてください。

さいごに

ふつうに作っている分には、章と章の間で改ページを入れる方法で問題ないでしょう。

数が少なければ、上記の話は一切無視して手で入力していくのもありです。が、構成が大きければ、Scrivenerのコンパイルオプションは非常に便利ですので、覚えておいてください。

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二冊目の電子書籍の製作手順(4) 〜zipとEPUBの行き来の注意点〜

前回まで:
二冊目の電子書籍の製作手順(1) 〜EPUBファイル作りの大きな流れ〜
二冊目の電子書籍の製作手順(2) 〜Scrivener→「でんでんコンバーター」のちょっとしたコツ〜
二冊目の電子書籍の製作手順(3) 〜でんでんコンバーターを使う〜

epubnised.003

前回はでんでんコンバーターを利用したEPUBファイルの作成法を紹介し、その中身を覗く方法も合わせて紹介しました。

今回は、そうして覗いたEPUBファイルの中身をいじるときの注意点です。

リライトは簡単

以下のページをご覧ください。

20140605131130

第一章の最初のページです。でんでんコンバーターは、本の扉ページを作ってはくれますが、こうした章ごとの扉ページまでは対応していません。

というわけで、私はEPUBファイルを解凍し、該当するxhtmlのページを書き換えることで上のような章扉ページを作成しました。ちなみに、デザインについてはでんでんコンバーターの扉ページのまるパクリです。

こういう対応を行うだけなら、解凍したEPUBをいじることにややこしい問題はありません。ただし、ファイルを追加した場合は、話は変わってきます。

ファイルの追加はややこしい

たとえば、デザインを変えるだけではなく、新規で章題ページを作ったとしましょう。既存のファイルをコピーして、hogehoge010.xhtmlみたいなファイルを作ったわけです。

それをそのまま放置しても、残念ながら「本」のページには組み込まれません。いくつかのファイルを更新する必要があります。

screenshot

上記のようなファイル構成であれば、

content.opf
nav.xhtml
toc.ncx

の3つがその対象です。

どのようにこれらのファイルを書き換えればよいのかの説明は長くなりますので、今回は割愛します。実際に上のファイルをテキストエディタで開ければ、おおよその当たりはつけられるでしょう。

もしこの辺の手順がまったくわからないなら、一度テキストファイルを作り直し、それをでんでんコンバーターに再アップすることをお勧めします。

圧縮時の注意点

さて、解凍したEPUBファイル(正確にはzipファイル)をいじり終えたとしましょう。あとは、これを圧縮して再びEPUBファイルに戻すだけです。

が、普通にフォルダを圧縮してもうまくはいきません。mimetypeが先頭かつ無圧縮な状態になっていないとEPUBファイルとしては機能しないのです__と書いても意味がわかりませんね。大丈夫、心配しないでください。EPUB用にファイルを圧縮してくれるツールがあります。

ePub Zip/Unzip

が、これを使わなくても、Macのターミナルからこの特殊な圧縮は可能です。

ターミナルを起動し、圧縮をかけたいフォルダにCDコマンドで移動した後、

zip -0 ../newbook.epub mimetype

を実行してから、

zip -r ../newbook.epub * -x mimetype

を実行すれば、「newbook.epub」というファイルが出来ているはずです。

簡単に解説すると、一行目に、無圧縮でmimetypeをnewbook.epubに置き、二行目でmimetypeを除くすべてのファイルを圧縮してnewbook.epubに置くコマンドです。他にも書き方はありますが、とりあえずこれで問題ないでしょう。

さいごに

以上のことが理解できていれば、何かしらのツールで作成したEPUBファイルを、自分なりにカスタマイズすることが可能になります。

もう一度、注意事項を振り返りましょう。

・ファイルを追加したらcontent.opf(nav.xhtml,toc.ncx)といったファイルを書き換える
・圧縮は、特別な方法で行う

この二つを押さえておけば大丈夫です。

次回は、作成した電子書籍のチェック方法を紹介してみます。

次:二冊目の電子書籍の製作手順(5) 〜mobiとazwのプレビュー方法〜

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二冊目の電子書籍の製作手順(3) 〜でんでんコンバーターを使う〜

前回まで:
二冊目の電子書籍の製作手順(1) 〜EPUBファイル作りの大きな流れ〜
二冊目の電子書籍の製作手順(2) 〜Scrivener→「でんでんコンバーター」のちょっとしたコツ〜

epubnised.003

前回は、Scrivenerからでんでんコンバーターへのつなぎを紹介しました。

そうして作成したテキストファイルを、でんでんコンバーターにアップロードしてみましょう。

EPUBファイルを作成

でんでんコンバーター

screenshot

1)ファイルを選択する

まずアップロードするファイルを選択します。基本的にはテキストファイル(.txt)を選べばよいのですが、実は他にもアップロードできるファイルがあります。対応しているファイルは以下の4種類。

  1. テキスト(.txt)
  2. 画像(.png、.jpeg、.gif)
  3. CSSファイル(.css)
  4. およびでんでんコンバーターの設定ファイル (ddconv.yml)

ふつうに使う分には最初の3つを理解しておけばよいでしょう。あるいは、上位2つだけでもよいかもしれません。つまり、

  • 原稿データ (~~.txt)
  • 表紙画像(cover.jpg)

この2つです。

原稿データのファイル名は何でもよいのですが、半角英語にしておくのが賢明です。仮に日本語名をつけているなら、とりあえずこのときだけファイル名を変更しておきましょう。

表紙画像は3つの拡張子(.png、.jpeg、.gif)のどれかを選んで、coverとします。

とりあえず、この2つを準備すればOKです。私もこの2つだけをアップロードしました。

2)メタ情報

本のタイトルと、作成者を入力します。

作成者は、一応任意の入力(入力しても、しなくてもOK)になっていますが、出版物を作るのですからできる限り入力しておきましょう。ペンネームやら団体名でもOKです。

3)ページ送り方向

縦書きか横書きかを選んでください。

私は横書きでしたので、「左から右」を選びました。

4)ページ自動生成

チェックできる項目が二つあります。

  • 扉ページ
  • 目次ページ

ここにチェックを付けると、自動的にこれらページを作成してくれます。

扉ページとは、以下のようなページです。本の冒頭に配置されます。

20140604092658

目次ページは、目次のページです。実は、手作りのEPUB作成において、一番面倒なのがこの目次なのです。というわけで、扉ページはともかく目次ページはチェックを入れておきましょう。

5)その他

公式の「ヒント」をお読みください。ここでは割愛します。

EPUBの中身を覗く

これらを設定したあと、「変換」ボタンをポチッと押せば、しばらくのちにEPUBファイルがダウンロードできます。

一応このファイルがあればKDPに登録可能なのですが、電書ちゃん、もとい「でんでんコンバーター」にもっと肉薄するために、その中身を覗いてみましょう。

まずダウンロードしたEPUBファイルの拡張子を.epubから.zipに変更します。つまり

538a92e2377d2.epub → 538a92e2377d2.zip

のようにするわけです。おそらく「ねえねえ、本当にzipにしてもいいの?」とOSから尋ねられるでしょうが気にせずGOサインを出してください。

そうしてzipにしたファイルを解凍します。かなりの確率で、Macでは直接解凍できませんので、Stuffit Expanderなどを使ってみてください。

解凍してみると、このようなファイル構成が見えるはずです。

screenshot

1)本文ファイル(.xhtml) → 本のページを構成するファイル
2)content.opf →「これはこんな本です」を説明したファイル
3)cover.jpg → 表紙画像
4)cover.xhtml → 表紙ページ(表紙画像が載せられるページ)
5)nav.xhtml → 目次ページ
6)style.css,template.css → スタイルシート
7)toc.ncx → 目次情報

作成時「扉ページ」にチェックを入れると、ここに「titilepage.xhtml」というファイルが追加されます。ちなみに、「目次ページ」にチェックを入れなくても、nav.xhtmlは作成されますが(※)、本のページとしては使われません。
※論理目次の構成に必要なためでしょう。詳しいことは割愛。

こうして解凍しておくと、本文ファイルをいじるなどしてEPUBファイル作成後に原稿に手を入れることも可能になるのですが、xhtmlファイルを追加したりなんかしちゃうと、話がややこしくなります。それについては回を改めましょう。

ちなみに、原稿ファイルと同時にスタイルシート(.css)をアップロードすると、style.cssの内容がデフォルトのものからアップロードしたファイルの内容に書き換えられます。その場合でも、template.cssの内容は変わりません。
※template.cssはcover.xhtmlやtitilepage.xhtmlにあてられています。

さいごに

今回はでんでんコンバーターによるEPUBファイルの作成と、その中身について紹介しました。

次回はこうして解凍した中身を、自分でカスタマイズする話に突入します。若干マニアックになってきましたね。

次:二冊目の電子書籍の製作手順(4) 〜zipとEPUBの行き来の注意点〜

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二冊目の電子書籍の製作手順(2) 〜Scrivener→「でんでんコンバーター」のちょっとしたコツ〜

前回まで:

二冊目の電子書籍の製作手順(1) 〜EPUBファイル作りの大きな流れ〜

epubnised.003

今回は、Scrivenerからでんでんコンバーターへの流れを紹介します。

テキストファイルの準備

まずは、送り先の「でんでんコンバーター」から確認してみましょう。

ちなみに、ここからのお話は公式ページでも紹介されているので、そちらも参考にしてみてください。

Tutorial チュートリアル(でんでんコンバーター)

さて、でんでんコンバーターでEPUBファイルを作る場合、必要になってくるのがテキストファイル(.txt)です。ごくごく普通のプレーンなテキストファイル。
※文字コードは「UTF-8」推奨。

つまり、特別なツールを使わなくてもテキストエディタで原稿を書けば問題ありません。でも、Scrivenerを使っているのにもそれなりに理由があります。それは後ほど紹介するとして、まずはどのようなテキストファイルにすればよいのかを確認していきましょう。

でんでんコンバーターは、でんでんマークダウンに対応しています。マークダウンってなんじゃらほい? という方もいらっしゃるでしょうが、原稿にかけるちょっとしたおまじない程度に認識してください。そのおまじないによって電子書籍になったときの見え方が変わってくるのです。

でんでんマークダウンの書き方については以下のページをご覧ください。

マークダウンの記法(でんでんマークダウン)

上のページを丹念に読み込めればベストですが、さすがに厳しいでしょう。自分の原稿に必要そうなものだけをピックアップしてみてください。

私の場合であれば、「段落」「見出し」「ハイパーリンク」「改ページ」の4つを押さえればなんとかなりました。

特に重要なのが「見出し」です。

エッセイ集であれば、そのエッセイのタイトルが「見出し」にあたります。また章題なども「見出し」です。これが他の文章と同じスタイルだと、少々見づらいですね。あと目次上の問題もあるわけですが、ここではスルーしておきましょう。

ともかく普通に原稿を書いた後、見出しにあたる部分にマークダウンを当てていく作業が必要になります。

具体的には、

エッセイのタイトル

## エッセイのタイトル

に書き換えていくわけです。

こうすることによって、

20140603103928

上記のようにタイトル部分がタイトル部分らしく表示されるようになります。たんに「表示される」以上の意味もあるのですが、それはまた回を改めて書きましょう。

Scrivenerのコンパイル機能

エッセイ集には全部で32編のエッセイが収められていたので、上のような書き換え作業を32回は行わなければいけません。32回ぐらいならなんとかなりますが、もし巨大エッセイ集で100編になるなら、この作業だけでもなかなか大変です。

そこで活躍するのがScrivenerのコンパイル機能。

Scrivenerは、ファイルをtxtなりpdfなりdocなりに出力できるのですが、その際、ちょっとした「付け足し」を自動的に行わせることができます。

具体例から入りましょう。

screenshot

これがエッセイ集の原稿プロジェクトです。ご覧のように全体が一つのフォルダに入っており、その下に各章のフォルダがあり、その中にそれぞれのエッセイデータが入っています。

各エッセイのデータはこんな感じ。

screenshot

ここには普通のテキストが入っています。さらにいうと、本文内にエッセイのタイトルは入っていません。しかし、完成品のエッセイ集にはエッセイの中にタイトルが入っています(少し上にある画像を確認ください)。

つまり、Scrivenerでコンパイルするときに、自動的にそのエッセイのタイトルを埋め込んだわけです。しかも「## 」付きで。

Formatting

これはコンパイルのFormattingを使用しました。対象としたいファイルレベルを指定し、「tittle」にチェックを付けて、「selection Layout」から「## 」(※)を追記します。これで完了。
※##の後には半角空白が入っていますので、ご注意ください。

screenshot
※こう入力すると

screenshot
※こうなる

あとはコンパイルを完了させれば、各エッセイにそのタイトルが「## 」付きで入ったtxtファイルが完成というわけです。

同じように、改ページを入れたい箇所__たとえば新しい章のはじまり__には「=======================================」(※)といった記号を入れておきます。
※やたら長いのは視認性をあげるため。

screenshot

これも同様にFormattingから指定できます。実にイージーですね。

さいごに

今回は、ScrivenerのFormattingを使った、「でんでんコンバーター」への対応を紹介しました。

この方法の良いところは、たとえば「## 」を後から「### 」に変えたくなっても、まったく手間がかからないことです。「selection Layout」に#を一つ打ち込めば、それで完了。

また、以前書きましたが、この「## 」を「(見出し)」に変えれば、かんたんEPUBにも対応させられます。グレイトですね。
Scrivener→「EPUB3::かんたん電子書籍作成」のちょっとしたコツ

もちろん、そんなことは一切無視して、普通のテキストエディタでコツコツ##を追記していく方法でも可能です。手間さえ惜しまなければ、Scrivenerを使う必要はありません。そのあたりは、自分の環境を考えて判断してください。

次回は、実際にでんでんコンバーターでファイル変換するときのお話を紹介します。

次回:二冊目の電子書籍の製作手順(3) 〜でんでんコンバーターを使う〜

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二冊目の電子書籍の製作手順(1) 〜EPUBファイル作りの大きな流れ〜

先日発売した以下の電子書籍。

遠くて近い場所、近くて遠い場所 (WRM エッセイ集)
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AmazonのKDPによるセルフパブリッシングです。

KDPはさまざまなファイルのアップロードに対応しているのですが、今回はEPUBファイルを選択しました。なんだかんだで定番ですし、多ストアへの展開(予定は未定)を考えるとやはりEPUBの選択が一番でしょう。

「でも、EPUBファイルの作成って難しいんじゃないですか?」

という方のために、上記の本を作った手順を記しておきます。一通りお読みいただいて「これならできるかも」と思われるか「やっぱ無理」と思われるかはわかりませんが、何かしらの参考にはなるでしょう。

話が長くなりそうなので、何回かの連載にわけます。最初に概要を説明し、その後細かい話へと移っていきます。とりあえず本稿だけでも読んでいただければ、EPUB作りの雰囲気は掴めるでしょう。

では、はじめます。

全体像

次の画像をご覧ください。全体の大まかな流れを示しています。

epubnised.003

原稿ファイル

まず、原稿ファイルはScrivenerで管理しました。

Scrivener
カテゴリ: 仕事効率化, 教育

今回の本は、過去のエッセイをまとめたものでしたので、Evernoteから過去原稿を探索し、必要なものをScrivenerに移しました。誤字脱字の修正などは、このScrivener上で行っています。

そうしてまとめあげた原稿を、Scrivenerのコンパイル機能からtxtファイルとして出力。これで、原稿データに関する部分はOKです。

表紙画像

表紙画像はPixelmator で作成。cover.jpgで出力しました。

Pixelmator
カテゴリ: グラフィック&デザイン, 写真

EPUB化

そうして完成した二つのデータを、「でんでんコンバーター」にアップロードして、EPUBファイルに変換してもらいます。

一応この段階でEPUBファイルはゲットできるのですが、細かい部分に手を入れるために、もう少し手順を加えます。

でんでんコンバーターからダウンロードしたEPUBファイルをzip形式に変更し、一度解凍。そこで中に含まれているxhtmlファイルや、cssファイルをちょこちょこいじります。この辺りはHTMLやらなんやらの知識がないと若干お手上げです。そうして修正が完成したら、ふたたび圧縮をかけます。

EPUBファイルとして機能させるためには、少々特殊な圧縮が必要なのですが、それほど難しい作業ではありません。EPUB用の圧縮のツールも存在しています。が、私はMacのターミナルから2行ほどのコマンドを走らせて作業を終わらせました。

こうして完成したEPUBファイルを、KDPのサイトにアップロードすれば完成です。

細かい部分はかなり省略しましたが、おおよそこのような流れで電子書籍(EPUBファイル)を作成しました。

前作は?

ちなみに、エッセイ集シリーズ第一弾にあたる『赤魔導師の白魔法レベルぐらいまでは』もKDPであり、EPUBファイルを提出しました。

赤魔導師の白魔法レベルぐらいまでは (WRM エッセイ集)
赤魔導師の白魔法レベルぐらいまでは (WRM エッセイ集) 倉下忠憲

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その際は、Scrivenerから(txtではなく)EPUB出力し、sigilというツールを使ってそのファイルを編集しました。上で紹介した手順に比べると、かなり工程が減っています。が、この方法はあまりオススメできません。

Scrivenerやsigilで扱えるのが少し古いタイプの形式であるから、というのがその理由なのですが、テクニカルな話なのでそこは割愛します。とりあえず、作ったエッセイ集が横書きであり、ルビなどもまったく使わなかったので、「一応は問題なかった方法」と認知しておいてください。

もし、作りたい電子書籍が同じような形式であるならば、上記のツール(Scrivenerやsigil)を使ってEPUBファイルを作ることも「一応」できますし、まだ今のところはそのEPUBファイルでも「とりあえず」KDPにアップロードして電子書籍として販売できます。

さいごに

今回は、制作の大きな流れを紹介しました。

次回はScrivenerからでんでんコンバーターへの流れについて書いてみます。

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