Posts tagged: 行動経済学

【書評】ヤバい経営学(フリーク・ヴァーミューレン)

流行の経営手法に興味があるなら、以下の本はとてもオススメである。

ヤバい経営学: 世界のビジネスで行われている不都合な真実
ヤバい経営学: 世界のビジネスで行われている不都合な真実 フリーク ヴァーミューレン Freek Vermeulen

東洋経済新報社 2013-03-01
売り上げランキング : 1833

Amazonで詳しく見る by G-Tools

きっと、そんなものには見向きもしなくなるだろうから。

ヤバいシリーズ

東洋経済新聞社から発売されている「ヤバいシリーズ」の第四弾。といっても本当にシリーズものというわけではない。著者も違うし、翻訳者も違う。ただ、「視点の持ち方」については一定の共通項がある。

「これまでの常識に疑問符を投げつける」

そんなスタイルだ。

著者のフリーク・ヴァーミューレンはロンドン・ビジネススクールの准教授。教鞭をとるだけでなく、経営のアドバイスや原稿書きにも忙しいようだ。本書はその著者の処女作である。

原題は「Business Exposed」。日本語版のカバーでは、バナナの皮がむかれ、高層ビルらしき「中身」が露わになっている。上っ面の皮をはぎとって、ビジネス業界の真なる姿をさらけだした一冊。そんなイメージだろうか。

本書の言葉を借りれば「企業の非合理的な側面」が中心的なテーマである。これは、行動経済学に通じるところがある。

というか、人間存在が非合理的な行動(これをどう定義するかは別として)をとる以上、その人間によって組織された存在が完全合理的であると考える方がどうかしている。

しかし我々は、人間に対してと同様に、企業も「合理的に振る舞っている」ように期待するのだ。その期待が、ときに大きな損害をもたらすとしても。

概要


章題は以下の通り。

Introduction モンキーストーリー
1 今、経営で起きていること
2 成功の罠(とそこからの脱出方法)
3 登りつめたい衝動
4 英雄と悪党
5 仲間意識と影響力
6 経営にまつわる神話
7 暗闇の中での歩き方
8 目に見えるものと目に見えないもの
Epilogue 裸の王様

章題だけでは、中身が少しわかりにくいかもしれない。

イントロダクションの「モンキーストーリー」は、この界隈では有名なお話だ。最初に機能していたルールが、世代を超えて受け継がれ、やがて誰一人としてその目的を知らないまま、ルールだけが残存してしまう。企業でも、きっとよく見られる光景なのだろう。クリス・ギレボーの『常識からはみ出す生き方』でも「5匹のサルの教訓」として紹介されている。

目的が喪失され、形骸化した習慣は、非合理的な行動を導いてしまう。あるいは「みんながやっているからといって、正しいわけではない」。そんな含蓄を含んだお話である。そこから教訓的に導かれる「それって本当に正しいの?」という視点が、本書の土台であると言ってよいだろう。

それに続く各章では、流行の経営手法のまずさ、ストックオプションがもたらす弊害、企業買収の難しさ、社外取締役の機能不全、投資銀行の利益相反の可能性、アナリストの(予想以上の)影響力、といったトピックスが扱われていく。

アナリストの限界が定める企業価値

行動経済学の本と同じように、本書では面白いエピソードがたくさん紹介されている。たとえば、とある証券会社が出したモンサントという企業についてのアナリストレポートの一節が以下だ。

(前略)しかし、このような手のかかる分析手法は、ウォールストリートでは一般的にならないだろう。この点を考慮すると、投資銀行から正しい分析と正しい株価評価を行ってもらうためには、モンサントは企業形態を変える必要があるだろう。

モンサントは手のかかる分析手法でないと正しく評価されない企業形態になっている。ウォールストリートは、そんな手のかかることはしない。だから、分析されやすいように企業形態を変えた方がいい。

はたして、こんなアドバイスがありうるだろうか。企業の価値が正しく分析できないから、分析しやすいように変われ、なんて。まるで__あなたの書きたいことは別として__、アクセス数を集める記事を書きなさいというブロガーへのアドバイスのようだ。

しかし、実際企業というのは株価に影響を受けるものだし、その株価に影響を与えるのはアナリストたちである。まっとうに論法を進めれば、企業価値に影響を与えるのはアナリストと、その能力の限界ということになる。やれやれだ。

この話は人間の能力の限界と、そこから生まれる非合理的な活動を露わにすると共に、「評価」が重要な指標であることも物語っている。「評価」とその仕組みが、長期的な行動の指針と成果に強い影響を与えるのだ。これは企業活動だけに限った話ではない。

アンチビジネス書的ビジネス書

もう一つ、別の方向の面白さもある。

本書では『エクセレント・カンバニー』『ビジョナリー・カンパニー』『本業再強化の戦略』といったビジネス書の名前をあげて、軽めに批判を加えている。簡単に言えば「相関と因果関係の混乱」への指摘だ。コアビジネスへの集中、強い企業文化、といった施策が成功の原因ではなく、成功したからそういう施策がとれたのではないかと著者は言っている。確かにそういう側面は大いにあるだろう。

しかし、

(前略)自動車工場を視察に行ったアメリカで、むしろスーパーマーケットにヒントを得てカンバン方式を作り上げたトヨタ自動車──彼らの成功は、合理的な経営分析や戦略というよりも、運そのものと、偶然から幸運をつかみ取る力から生まれているのではないだろうか。

という指摘は『ビジョナリー・カンパニー4』で「運の利益率」として説明されている。さらに、

穏やかなペースで着実に成長したほうが、爆発的に成長したときよりも結果的に儲かるのだ。

という指摘も『ビジョナリー・カンパニー4』で「20マイル進行」として紹介されている。重なる部分が多いのだ。
※ちなみに、原書では『Business Exposed』が2010年、『Great by choice』(ビジョナリー・カンパニー4)が2011年の発売。

その他ドラッカーが指摘する「経営」の話と合致するところも多い。

ある部分では、これまでの「ビジネス書」を蹴散らすと共に、別のある部分では、厚みを加えてもいる。

最終的に何を信じるのかは、もちろん読者次第なわけだが、本書において「これまでのビジネス書」への懐疑を得ることは、何かしらの役には立つだろう。

さいごに

以下はイントロダクションよりの引用だ。

(前略)ある企業や人々はXを正しく実行して成功した。それに関する一二四ページの事例を読んだ後に、Xをすればよい、と教えてくれる。私はXについて話すこともしないし、何をしたらよいかを教えるつもりもない。私がやりたいのは、ビジネスにおけるおかしな点について、何が起きているのかを伝えることである。

著者のこの試みは成功していると言ってよいだろう。ビジネス界のおかしな「常識」に疑問を投げかけ、学術的に問題点を指摘するというコンセプトは実に楽しく読めるし、示唆も多い。

では、日本語版に付けられた「日本の読者の皆さんへ」に書かれたテーマはどうだろうか。

世界は非合理的だということを見ていくだけではなく、実際はどうすればビジネスがうまくいくのかを明らかにすることが、本書の重要なテーマだ。

このテーマについてはやや心許ない部分がある。実際に有益な指摘もあるが、アナリストの問題は対処しようがないし、組織再編についての実行権を持っている人など、一握りである。では、そういう「経営者」しか、本書は役に立たないのだろうか。

いやいや、そんなことはない。本書に登場するエピソードは、個人やチームでの仕事にも役立つことが多い。

それについて、次回以降連載で紹介していこう。

▼その他リンク:
freekvermeulen.com
FREEKY BUSINESS
@Freek Vermeulen

▼こんな一冊も:

ヤバい経済学 [増補改訂版]
ヤバい経済学 [増補改訂版] スティーヴン・D・レヴィット/スティーヴン・J・ダブナー 望月衛

東洋経済新報社 2007-04-27
売り上げランキング : 4521

Amazonで詳しく見る by G-Tools

ヤバい社会学
ヤバい社会学 スディール・ヴェンカテッシュ 望月 衛

東洋経済新報社 2009-01-16
売り上げランキング : 81461

Amazonで詳しく見る by G-Tools

超ヤバい経済学
超ヤバい経済学 スティーヴン・D・レヴィット スティーヴン・J・ダブナー 望月 衛

東洋経済新報社 2010-09-23
売り上げランキング : 12181

Amazonで詳しく見る by G-Tools

ビジョナリー・カンパニー 4 自分の意志で偉大になる
ビジョナリー・カンパニー 4 自分の意志で偉大になる ジム・コリンズ モートン・ハンセン共著

日経BP社 2012-09-20
売り上げランキング : 4310

Amazonで詳しく見る by G-Tools

マネジメント[エッセンシャル版] – 基本と原則
マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則 ピーター・F・ドラッカー 上田 惇生

ダイヤモンド社 2001-12-14
売り上げランキング : 357

Amazonで詳しく見る by G-Tools

常識からはみ出す生き方 ノマドワーカーが贈る「仕事と人生のルール」
常識からはみ出す生き方 ノマドワーカーが贈る「仕事と人生のルール」 クリス・ギレボー 中西 真雄美

講談社 2012-07-11
売り上げランキング : 29044

Amazonで詳しく見る by G-Tools

Send to Kindle

苦労話の聞き方

集団に関する、とある心理学の実験があります。

二つの集団がある。害も大義もない平凡な集団。
この二つの集団はまったく同じものとする。違いは集団に入るための方法。
Aの集団は、簡単に入れる。もう片方のBは、面倒で苦痛で屈辱的な労力を支払う必要がある。

この集団に入った後に、その集団を評価してもらいます。どれほどその集団に価値を認めるのか、ということですね。

結果は、Bの方がより高い心理的評価を得ました。

認知的不協和の解消

これは認知的不協和を説明する際に用いられるお話です。

つまり、「あんな苦労をして入ったのだから、この集団はすばらしいに違いない」と思うわけですね。この心のセリフには隠された続きがあります。「(でなければ、あの屈辱的な集団儀式をやった意味がないじゃないか)」。

片方に苦労した体験があり、もう片方にごく普通の集団がある。このアンバランスさを脳は嫌います。脳は無意味を嫌う、と言い換えてもよいでしょう。

苦労した体験についての記憶を「それほど苦労していなかった」と修正することもできますが、苦労した記憶ほど脳に刻まれやすいことを考えれば、それが大仕事になることは間違いありません。

むしろ、現時点での集団への評価を修正したほうがつじつま合わせは簡単です。なんといっても心理的評価は簡単に動くものです。

この話を土台にすると、「成功者の苦労話」をどう聞けばいいのかが見えてきます。

成功者の視線

ある程度経験を経た「成功者」がいるとしましょう。彼(とりあえず男性で)が「成功」している──何かの地位についている、何かを生み出した、何かの評価を得ている、何かの資産を持っている──というのは一つの事実です。つまり、動かしにくい要素です。

さてその彼が、過去の経験を振り返るとどのような風景が広がるでしょうか。先ほどとは逆向きの効果が発生します。

おそらく彼の目には、過去の体験の大半は「有用だった」ものに見えてくるでしょう。だってそうでないとつじつまが合いません。認知的不協和が発生してしまいます。

彼が「成功」している事実は動きませんが、彼が過去に体験してきたことの心理的評価は簡単に動かせます。つまり、本当に有用だったかどうかは別として、有用に感じられるのです。

これはさらに、苦労が大きかった体験ほど想起されやすいことも合わせて考える必要があります。

脳が持つバイアス

人間の脳は、因果やストーリーをこしらえずにはいられない性質を持っています。

全然なんの関係もない要素が並んでいても、「これこれこうだったから、こうなったんだ」という考えが出てきやすいのです。

さらに「保有効果」というものもあります。自分が持っているものは、そうでないものよりも高い価値を置いてしまうのです(売り家が希望価格でなかなか売れない理由)。自分の人生の体験だって、この保有効果に引っかかってしまうことはあるでしょう。

さらにさらに「利用可能性バイアス」というものもあります。簡単に言えば、思い出しやすいものほど、もっともらしいく感じたり、頻繁にありそうだと感じる傾向です。

自分が一番思い出しやすい経験は、もちろん自分の経験です。というか、なかなか他人の人生の経験を知ることはできません(だから読書は面白い)。

さいごに

これらを合わせて考えると、「成功」した人の

「こんな苦労をしてきたら、今の成功がある」

的な話は言葉通り話半分に聞いておくのがよいでしょう。

前者の部分(こういう体験があった)は真実でしょうが、後者(だからここまでこれた)の因果関係はかなり眉唾です。少なくとも一定の留保は必要でしょう。

最後に、ダニエル・カーネマンの『ファスト&スロー』に出てくる文章を一つ。

逆説的に聞こえるが、知っていることが少なく、パズルにはめ込むピースが少ないときほど、つじつまの合ったストーリーをこしらえやすい。

実はその人が思いも付かないような何かが因果の引き金になっている可能性は十分にあり得ます。

▼こんな一冊も:

ファスト&スロー (上): あなたの意思はどのように決まるか?
ファスト&スロー (上): あなたの意思はどのように決まるか? ダニエル・カーネマン 友野典男(解説)

早川書房 2012-11-22
売り上げランキング : 631

Amazonで詳しく見る by G-Tools

ファスト&スロー (下): あなたの意思はどのように決まるか?
ファスト&スロー (下): あなたの意思はどのように決まるか? ダニエル・カーネマン 友野典男(解説)

早川書房 2012-11-22
売り上げランキング : 782

Amazonで詳しく見る by G-Tools

Send to Kindle

行動経済学に興味を持った人におくる7冊プラス2のリスト

@ttachiさんのメディアマーカーバインダーで、『予想どおりに不合理』が登録されているのを見て、「おっ、お仲間発見!」という感じです。

「行動経済学」という分野を恥ずかしながら知らなかったのだが、この本で猛烈に興味を持った。

※ちなみに書評エントリーも書かれています:世の中も人間も「予想どおりに不合理」だと知ろう!(No Second Life)

私も3年ほど前から、行動経済学にはまっています。このブログでも関係する書籍の書評をいくつか上げました。My本棚のコーナーだとこんな感じ。


※この裏側にもいっぱいあって、そろそろ増段の検討が審議されているところ。

今回は、『予想どおりに不合理』を読んで、この分野に興味を持った人向けのリストを書いてみましょう。

「次に何読もうかな〜」と思った時に、選択肢にしてくだされば幸いです。

続編

不合理だからすべてがうまくいく―行動経済学で「人を動かす」
不合理だからすべてがうまくいく―行動経済学で「人を動かす」 ダン アリエリー Dan Ariely 櫻井 祐子

早川書房 2010-11-25
売り上げランキング : 14808

Amazonで詳しく見る by G-Tools

同じ著者の続編。脳が持つ「不合理」のメリットにも注目した一冊。『予想どおりに不合理』の文章運びが気に入ったのなら、こちらも文句なしに面白く読めます。ちなみに、私はこっちから先に読みました。

類似書籍

経済は感情で動く―― はじめての行動経済学
経済は感情で動く―― はじめての行動経済学 マッテオ モッテルリーニ 泉 典子

紀伊國屋書店 2008-04-17
売り上げランキング : 8526

Amazonで詳しく見る by G-Tools

世界は感情で動く (行動経済学からみる脳のトラップ)
世界は感情で動く (行動経済学からみる脳のトラップ) マッテオ・モッテルリーニ 泉 典子

紀伊國屋書店 2009-01-21
売り上げランキング : 12071

Amazonで詳しく見る by G-Tools

「行動経済学」についての知見が簡潔にまとまっていて、非常に読みやすい本です。少しだけ「専門的」な雰囲気が漂っているので、『予想どおりに不合理』ほどの親しみやすさはないかもしれません。

しかし、「問」という形で実験的なシチュエーションが提示されており、実際にどういう選択をその場面でするだろうかのイメージが刺激される点はなかなか良いと思います。

この分野の知識をもう少し固めたい場合は、こうした類似書籍も押さえておきたいところです。

お金との関係性

プライスレス 必ず得する行動経済学の法則
プライスレス 必ず得する行動経済学の法則 ウィリアム・パウンドストーン 松浦俊輔

青土社 2009-12-24
売り上げランキング : 173473

Amazonで詳しく見る by G-Tools

副題に「必ず得する」と書いてありますが、本書を読めばその理由も理解できるでしょう。

行動経済学の知見で「お金」に関係あるものがまとめられています。商売をしている人は、「肌感覚」で知っていることも多いでしょう。値段の付け方など、「実践」に応用できる知見が多いと思い真s。

行動経済学の成り立ち

ダニエル・カーネマン心理と経済を語る
ダニエル・カーネマン心理と経済を語る ダニエル カーネマン Daniel Kahneman

楽工社 2011-03
売り上げランキング : 4027

Amazonで詳しく見る by G-Tools

こちらは、ダニエル・カーネマンの講演と論文の一部が紹介された本。それに本人による自伝が付いています。

「行動経済学」がどのように成り立ったのか、という歴史を面白く読むことができます。論文等で紹介されているものは、これまで紹介した本の中でだいたい使われているので、その辺はするすると読むことができるでしょう。

現実適用

実践 行動経済学 健康、富、幸福への聡明な選択
実践 行動経済学 健康、富、幸福への聡明な選択 リチャード・セイラー キャス・サンスティーン 遠藤 真美

日経BP社 2009-07-02
売り上げランキング : 193663

Amazonで詳しく見る by G-Tools

「ナッジ」という考え方が紹介されている本。

人は「予想どおり」に不合理なことをする。選択肢の提示のされ方によって、選択そのものが変わってしまう。だったら、それを積極的に利用することで、利用者が「利益」を得やすいようにシステムを設計すればよいのでは、というのが「ナッジ」です。

一見、非常に合理的な考え方のようにも思えますが、大前提として「その利用者にとっての利益」を誰が決めるのか、という問題が出てきます。

考え方そのものに賛否両論はあるでしょうが、提示されている政策やシステムの形は一考に値するものだと思います。

発展版?

アイデンティティ経済学
アイデンティティ経済学 ジョージ・A・アカロフ、レイチェル・E・クラントン 山形浩生、守岡桜

東洋経済新報社 2011-07-21
売り上げランキング : 32229

Amazonで詳しく見る by G-Tools

「社会的文脈」(アイデンティティ)によって、人の嗜好あるいはそれによる決定が変わる、というのを体系化しようという試みが「アイデンティティ経済学」です。

経済合理性だけで人の行動が決まらない、という点で行動経済学と共通している部分は多くあります。むしろ行動経済学を一つの出発点にした考え方、と言えるかも知れません。やや冗長な感じの本ですが、面白い事例がたくさんでてきます。

さいごに

というわけで、いくつかの本を紹介しました。

他にもいろいろ関連する本があります。それに行動経済学に興味を持つと、必然的な流れとして「脳の機能」にも興味が広がります。が、そこまでリストを広げると収集が付かなくなるので、今回はパスしておきましょう。

最後に一つ付け加えると、『予想どおりに不合理』が好みなら『ヤバい経済学』もきっと気に入ります。きっと。

▼こんな一冊も:

予想どおりに不合理[増補版]
予想どおりに不合理[増補版] ダン アリエリー Dan Ariely 熊谷 淳子

早川書房 2010-10-22
売り上げランキング : 5637

Amazonで詳しく見る by G-Tools

ヤバい経済学 [増補改訂版]
ヤバい経済学 [増補改訂版] スティーヴン・D・レヴィット/スティーヴン・J・ダブナー 望月衛

東洋経済新報社 2007-04-27
売り上げランキング : 3238

Amazonで詳しく見る by G-Tools

Send to Kindle

書評 「ダニエル・カーネマン 心理と経済を語る」(監訳 友野典男)

「ダニエル・カーネマン」と聞くと、行動経済学あるいは、プロスペクト理論がすぐに出てくる人にとって、本書はあまり効用が高い本ではないかもしれない。2002年にノーベル経済学賞したカーネマンの実績、あるいは人となりについて知りたい人ならば、well-beingな一冊だろう。

ダニエル・カーネマン心理と経済を語る
ダニエル・カーネマン心理と経済を語る ダニエル カーネマン Daniel Kahneman

楽工社 2011-03
売り上げランキング : 15492

Amazonで詳しく見る by G-Tools

行動経済学に関しては、特徴ある本がすでにいくつも出版されているわけだが、この学問がどのような成り立ちをしてきたのか、そしてその中心的な存在であった学者が何を思っていたのか、という点が含まれているのが本書の特徴になる。

論文がメインの構成になっているので、実践的応用という部分についてはあまり期待しない方が良い。あくまで理論の基本的な理解というのが、目的になるだろう。

「実践的」という部分に興味があるならば、リチャード・セイラーの「実践行動経済学」やダン・アリエリーの「不合理だからすべてがうまくいく」あたりが面白く読めるので、そちらをおすすめする。

概要

おおまかな構成は次の通り。

第1章 ノーベル賞記念講演 限定合理性の地図
第2章 自伝
第3章 効用最大化と経験効用
第4章 主観的な満足の測定に関する進展

第1章はノーベル賞記念講演の内容である。ここを読めば「プロスペクト理論」の概要は掴まえられるだろう。第2章ではカーネマンがどのような経緯で成果を積み重ねてきたのかが分かる。この二つの章はずいぶんと読みやすい。

それに対して第三章と第四章は論文になっていて、読み慣れていないととっつきにくい印象を受けるかもしれない。しかし、難しい語句が多様されていたり、数式が飛び交うようなものではないので、じっくり読めば問題はないだろう。

第3章の「人は経験効用を最大化することによく失敗する」という指摘、第4章で提案されているU指数(経済不快指数)は、面白いだけではなく、現実の私たちの生活を考える上でも重要な要素になってくるはずだ。

プロスペクト理論と直感

第一章の表題に出てくる「限定合理性」、これが行動経済学のキーワードの一つといってよいだろう。

旧来の純「経済学」が想定する経済人__情報をくまなく収集し、経済合理性をひたすら追求する__はあくまで仮説的な存在であって、人間は「合理的」な存在ではない。だからといって「非合理的」な存在でもない、というのが「限定合理性」という言葉が持つ意味である。

人は合理性を働かせようとするわけだが、それが限定的なものでしかない、という認識が一つの出発点になっている。

そして意思決定の中で重量な役割を担うのが、「直感」である。これがあまりにも強力すぎるので、人はやすやすと直感に身を委ねてしまう。しかし、それは万能兵器ではない。ネコ型ロボットに近いかもしれない。

直感の功罪については、マルコム・グラッドウェルの本が面白く読めるが、ようはこういうことだ。

直感はこんなふうにたいへん高度なことをするのですが、にもかかわらず直感はまた系統だったバイアスやエラーを犯してしまう傾向があります。

直感は強力、でも限界はある。でもって、直感は「系統だった」バイアスやエラーを犯す。つまり、無秩序ではないのだ。

起きそうなバイアスはあらかじめ予想しうるということだ。これが「行動経済学」の学問たるゆえんである。その中核を成す「プロスペクト理論」はすでに、行動経済学の名前を超えて、さまざまな分野で見いだされている。そのあたりは「プライスレス」という本に詳しい。

プロスペクト理論を簡単にまとめれば

つまり、効用の担い手は変化であり得失であって、富の絶対量ではない、というのがプロスペクト理論

ということになる。ここに「損失回避性」や「確実性効果」などが加わると、人の心の動きを誘導することも不可能なことではなくなる。特に直感だけで意思決定をするような場合は、特にだ。

さいごに

あまり実用的なアドバイスが詰め込まれた本ではないが、「監訳者解説」の中に、カーネマンのインタビューの答えが紹介されている。そのインタビューの質問は「人生の満足を高めるためにはどうしたらよいか」というものだ。

カーネマンは次のように答えている。

  1. 時間の使い方を変えなさい。時間は究極の稀少資源だから、そうであるように使うべき。
  2. 人生を悪くするようなことではなく、人生を豊かにするようなことがらに注意を向けるべき。
  3. 注意を払い続けるような活動に時間を投資すべき。新車を買って運転しても、車には注意を払わなくなる。しかし友人と社交しているときには、その活動に注意を払っている。そのような活動に従事すべきだ。

行動経済学の専門家が述べるアドバイスが、いかにも自己啓発書に出てきそうなものと一致している点が興味深い。「その科学が成功を決める」ではないが、古典として語り継がれているような事柄には、それを裏付けるような理由があるということなのだろう。

ちなみに、この解説の中でwell-beingとhappinessの違いに触れられていたのが興味深かった。

happinessは「幸福」の訳で問題無いが、well-beingにはぴたりと来る言葉が見つからない__とりあえず本書内では「満足」となっている__らしい。

言葉がないというのは、その言語を使う文化に相当する概念が存在しないとするならば、今までの日本はひたすらhappinessばかりを追求して、well-beingをどこかに置き忘れてきたのかもしれない。そんなことをちょっと考えてしまう。

▼こんな一冊も:

実践 行動経済学 健康、富、幸福への聡明な選択
実践 行動経済学 健康、富、幸福への聡明な選択 リチャード・セイラー キャス・サンスティーン 遠藤 真美

日経BP社 2009-07-02
売り上げランキング : 97939

Amazonで詳しく見る by G-Tools

不合理だからすべてがうまくいく―行動経済学で「人を動かす」
不合理だからすべてがうまくいく―行動経済学で「人を動かす」 ダン アリエリー Dan Ariely 櫻井 祐子

早川書房 2010-11-25
売り上げランキング : 10917

Amazonで詳しく見る by G-Tools

マルコム・グラッドウェル THE NEW YORKER 傑作選3 採用は2秒で決まる! 直感はどこまでアテになるか? (マルコム・グラッドウェルTHE NEW YORKER傑作選)
マルコム・グラッドウェル THE NEW YORKER 傑作選3 採用は2秒で決まる! 直感はどこまでアテになるか? (マルコム・グラッドウェルTHE NEW YORKER傑作選) マルコム・グラッドウェル 勝間 和代

講談社 2010-09-10
売り上げランキング : 152441

Amazonで詳しく見る by G-Tools

第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい (翻訳)
第1感  「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい (翻訳) マルコム・グラッドウェル 沢田 博

光文社 2006-02-23
売り上げランキング : 4455

Amazonで詳しく見る by G-Tools

プライスレス 必ず得する行動経済学の法則
プライスレス 必ず得する行動経済学の法則 ウィリアム・パウンドストーン 松浦俊輔

青土社 2009-12-24
売り上げランキング : 160660

Amazonで詳しく見る by G-Tools

その科学が成功を決める
その科学が成功を決める リチャード・ワイズマン 木村 博江

文藝春秋 2010-01-26
売り上げランキング : 11341

Amazonで詳しく見る by G-Tools

ドラえもん 1 (藤子・F・不二雄大全集)
ドラえもん 1 (藤子・F・不二雄大全集) 藤子・F・不二雄

小学館 2009-07-24
売り上げランキング :

Amazonで詳しく見る by G-Tools

Send to Kindle

モレスキンが高く感じられる理由とその対策

@mehoriさんのちょっとした”問題提起”があったので、それについて考えてみる。

私はモレスキン手帳もノートも「今のところ」は使っていません。手帳に関しては長年「ほぼ日手帳」を使っていますし、持ち歩きのメモ帳としては「re-collection poket」を愛用しています。

例えば、ノートやメモ帳としてモレスキンを見た場合、私の中ではそれは「高い買い物」になってしまいます。この高い、というのは質に対して割高、ということではありません。だいたい使った事のない物に対して「質に対して割高」とか「割安」などと判断するのは滑稽です。

しかも、その判断には個人的な価値観が入ってきます。「書く」という行為が好きでない人は書き心地などの要素は質の判断材料に入れる事はないでしょう。

私自身の考えは、2000円近く支払うならば、普通のノートやメモ帳を買ってその差額で本を一冊でも多く買いたい、ということです。これはモレスキンだけが特別ではなくて、私は衣類などにも同様の考えでアプローチしています。

値段は比較

多分ですが、一般的に言われている「モレスキンが高い」というイメージは「手帳」としてのモレスキンではなく「ノートやメモ帳」としてのモレスキンが高い、というイメージなのではないでしょうか。

一年間使える手帳として見た場合、モレスキンの値段は高すぎるということはありません。同じような手帳で遥かに高価なものも存在します。しかし、小型のノートやメモ帳ならばどうでしょうか。コクヨ製品と比べてみれば、モレスキンはかなり高価な存在です。

人間は「価格」を絶対的に評価する能力はありません。基本的にはそれは「比較」の枠組みで検討されるものなのです。

ビール販売の実験

「プライスレス」という行動経済学の本の中で紹介されている実験を紹介しましょう。

テーマは「ビール」です。

まず2種類のビールを準備します。1ドル80セントの特価ビール(A)と2ドル60セントの高級ビール(B)の二種類のビールを棚に並べておきます。仮に最高の品質を100とすると、Aは50、Bは70という判定がされています。

この場合、二対一の割合でBのビールの方が売れました.

次に、もう一種類ビールの数を増やします。Cは1ドル60セントで品質は40です。このCを加えてもCが売れるということは無かったのですが、先ほどの二つの選択に変化がでます。Aのビールの売上が上がったのです。

多分選択肢が二つの場合は、見栄的な要素で「良い物を買わなくちゃ」という心理が働いてBの高級ビールが売れたのでしょうが、Cという激安品が出た事でAのビールでも「そこそこの選択をした」という心理的な結果を得る事(選択の正当化)ができるようになったからではないと書かれています。

さらに選択肢を加えます。Dは3ドル40セントと他に比べて非常に高く、品質はBをやや上回る75という評価です。さて、この場合どのような売れ行きを見せるでしょうか。

最高級であるDは購入者の10%に選択され、残り90%がBの高価なビールを選択した、という結果が書かれています。この場合はAもCもまったく売れなかったようです。

これは非常に面白い人間の性質を指し示しています。人間の価格と価値の考え方は、こうした比較によって変わるだけでなく、購入行動にまで差が生まれてしまう、ということです。

実際の経済ではこのように単純にモデル化はできないかもしれません。しかし、物の価値と価格の設定は非常に曖昧なもの、ということは知っておいた方がよいでしょう。

モレスキンをさらに売るためには

さて、モレスキンをノートのジャンルとして考えた場合、どのような状況でしょうか。一般的にモレスキンの存在を知っている人であれば、多分A,B,Cの三つの選択肢がある状況に近いのではないかと思います。

100円均一で販売されているノート、国内有名メーカー(コクヨなど)のノート、そしてモレスキン。

この比較の場合、多くの売上を獲得するのは、真ん中のノートです。そして多く売れるが故に一般的な消費者の価格の目安がこのラインになります。「ノートというのは200円ぐらいで買えるものだ」という認識ができれば、相対的にモレスキンは高い(高級)という認識も付随して生まれる事になります。

このような状況でモレスキンの販売を促進させるにはどうすればよいのか、をまったく部外者なりに考えてみます。

販売戦略 ストレート編

ストレートに考えた場合、先ほどの実験結果を応用すれば簡単な施策が思いつきます。

質はさほど変わらないけども、すごく高い商品を発売する

という戦略です。これはまずほとんど売れないので大量生産する必要はありません。しかし、その物と値段が人々の目に触れる必要があります。それらの値段が目に触れる事によって、人々の「値段」の目安を揺さぶるわけです(この場合は高い方に)。

一冊1万円のノートというものが売り場にあれば、2000円を割り込むノートは「まだ現実的なノート」として認識されます。

販売戦略 河岸を変える

もう一つが、「ノートの枠組み」とは別の場所に移動するという方法。多くの人が「ノート」として認識してしまえば、先ほどの「価格認識競争」に巻き込まれてします。であれば、その土俵からおりて別のところで戦うことも方向性としてはありでしょう。もちろん、これは先ほどの戦略に比べると大変難しいものです。

名前は思いつきませんが「高級ノート」という市場を開拓してもよいでしょう。あるいは別の道具の市場に入り込むような事もできるはずです。

前者の場合は、モレスキン以外の同じような価格帯の「高級ノート」ブランドがある程度日本市場に並ぶ必要があります。自助努力だけではたどり着けないかもしれません。

経営的には問題がありますが、もう少し商品の幅を広げて「モレスキン専門店」がいくつか生まれるようになれば、ジャンルとしてモレスキンが認知され、その価格に比較される可能性は低くなります。

後者の場合は、文房具店などには展開しない、という方法です。例えば高級アクセサリー専門店に置いてもらう、というようなアプローチが考えられると思います。要するにノートの位置づけから「身につける」アクセサリー的転換をする、というもの。そういった枠組みの中では「モレスキンって安いね」というような言葉が飛び交うかもしれません。

まとめ

人の値段感覚のお話から、モレスキンの販売展開のアイデアまで、まとまりもなく書いてみました。何かを高い/安いと考える人間の心理というのは複雑で興味深いものです。

皆さんも自分が好きな物、気に入っている物をどうやったらもっと売れるようになるのか考えてみてはいかがでしょうか。

▼参考文献など

プライスレス 必ず得する行動経済学の法則
プライスレス 必ず得する行動経済学の法則 ウィリアム・パウンドストーン 松浦俊輔

青土社 2009-12-24
売り上げランキング : 14899

おすすめ平均 star
star行動経済学の基本書に割って入る本。詳しい、よくわかる、おもしろい。
star一部要約
starトヴァルスキーやカーネマンの人となりについてがよかった

Amazonで詳しく見る by G-Tools

Moleskine Squared Notebook Large
Moleskine Squared Notebook Large Moleskine

Moleskine 2008-01-01
売り上げランキング : 48

おすすめ平均 star
starMeleskine Squared Notebook 購入
star質のばらつきは確かにあります。
star同じく

Amazonで詳しく見る by G-Tools

文房具を楽しく使う ノート・手帳篇 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
文房具を楽しく使う ノート・手帳篇 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫) 和田 哲哉

早川書房 2010-01-30
売り上げランキング : 124784

おすすめ平均 star
star文房具が好きやーっ!
star手帳・ノートに関する名著が文庫化されてパワーアップ

Amazonで詳しく見る by G-Tools

Send to Kindle

サンクコストと時間の使い方

「覆水盆に返らず」

さて、今回は「サンクコスト」について考えてみましょう。
テキストは

出社が楽しい経済学
出社が楽しい経済学 吉本 佳生

日本放送出版協会 2009-01
売り上げランキング : 7274

おすすめ平均 star
star解りやすい経済用語解説本
star経済学を学ぶ前でも表面だけを学んだ後でも有用
starサラリーマンのための経済学入門

Amazonで詳しく見る by G-Tools

です。
※以下引用は全て上記の本からです。

回収できないコスト

まず、言葉の定義からみてみましょう。

「サンクコスト」(埋没費用)とは

p13
「何らかのプロジェクトに投資したコストのうち、プロジェクトから撤収しても回収できないコスト」

のことです。

例えば私が最新のゲーム機を5万円で買ったとしましょう。たくさんソフトを揃えて1年遊んでいたらまるでタイマーが働いたかのように保証期間が切れた瞬間に故障しました。その頃にはすでに大量生産ができており、ちょっとした機能が付加された新品が2万5千円で買えます。故障したゲーム機はすでに古くなっており部品の調達などの手間のせいで修理に2万7千円かかるとします。

この時私の目の前には二つの選択肢があります。
・使い続けていたゲーム機を2万7千円支払って修理する
・新品のしかも+αの機能がついたものを2万5千円で買って、古い物は捨てる

単純かつ経済合理的な判断では当然後者を選択するのが正解です。この場合「以前5万円だした買った」という事実はまったく判断には入りません。逆に5万円も出したものだし、捨てるのももったいないな、と考えてしまえば経済合理的な判断はできません。

保証期間が過ぎてゲーム機が壊れてしまった時点でそれを買うときに支払った費用はすでに埋没してしまっています。
※つまりゲーム機の代金は基本的に保証期間の間にゲームを遊ぶためお金と考えるのが「経済合理的」な考え方ということです。

この場合、ゲーム機購入代金の5万円がサンクコスト、になります。この金額がいくらであっても、次の行動の判断にはその要素はまったく入れないというのが経済合理的な判断になります。

企業の場合

個人の例では非常にわかりやすいものですが、企業の大きなプロジェクトの場合は金額の規模も大きくなり、期間も長くなるのでどうしてもこの「サンクコスト」に縛られてしまいがちです。

テキストの中では新商品開発のプロジェクトについて30億円の投資の例があがっています。30億円も使っておいて、そのプロジェクトの先行きがないと分かったときに、はたして先ほどのゲーム機と同じように合理的な判断ができるかどうか、そこがポイントです。

冷静な経営者かどうかはこういった失敗が見えたプロジェクトに対するリアクションではっきりと見えてきます。

すくなくとも、経済合理性において、「サンクコストについて考えること」よりも重要なことは

p17
「サンクコストは忘れることが重要だ」

です。自分が過去に使った投資について考えてしまい、本来するべきでない投資をすることは「サンクコストの呪縛」に陥っているといえるでしょう。

お金以外のサンクコスト

実は、個人においてはサンクコストの考え方はお金よりももっと重要な対象があります。

それは何でしょうか。

・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・

答えは時間です。

お金は何とかやりくりしたり、新しく仕事をしたり、宝くじに当たったりすれば「生み出す」ことができます。しかしながら、一度使ってしまった時間は二度と戻ってきません。

以下はテキストより

p21
そして、時間は一度投じてしまえば、絶対に回収できません。個人が何かに時間を投資してしまうと、必ずサンクコストになるということです。

以上の文章に納得できない方がおられるかも知れません。有益な事に時間を使えば利益をもたらす事例はたくさんあるのではないだろうか、という疑問を持たれるのは当然です。

しかしながら、時間を投資して時間を回収することはできません。有益な勉強法をいくら学んだところで過去の時間に戻れるというわけではありません。

効率の良さは可処分時間を増やしてはくれますが、一日の時間を25時間にもしてくれませんし、30歳の3月3日という時間を再体験させてくれるわけでもありません。

これはどういう事でしょうか。
私が(あるいはあなたが)体験する1秒1秒というのがとても価値のあるものだ、ということです。
一度使ってしまえば回収できないほど「貴重」なものだ、ということです。

全ての時間は「未来」という市場においてまったく等価の価値を持ちます。過去の「成功」や「失敗」に縛られずに常に厳しい目で時間の使い方を考えていく必要があるのではないでしょうか。

Send to Kindle

WordPress Themes