Rashita’s Christmas Story 8

 視界の端の時刻表示が23:59から00:00に切り替わる。セカンダリースペースに置いておいた動画サイトから、サービス名を高らかと宣言するPR音声が溢れてくるが、今は気にしている場合ではない。イベントの始まりだ。  僕は...

Rashita’s Christmas Story 7

ある存在があった。その存在は有史を眺めていた。 ちょっとした実験と同じだ。惑星の環境にちょっとだけ変化を与える。そして、その後のなりゆきを見守る。何が出てくるだろうか。 新しい生物種が誕生し、それが地表を覆い始めるのにそ...

Rashita’s Christmas Story 6

「やっぱり、イベントあるよな」  ケイタイの通知を確認してから、僕はブラウザを立ち上げた。季節が意識されているのか、iZenのサイトには雪が降り注いでいる。いささかウザい演出だ。トップにあるサンタの画像には「ポイント2倍...

Rashita’s Christmas Story 5

ピンポーン、とチャイムが鳴ったので玄関を開けると、サンタがそこにいた。 「メリークリスマス!今、新築マンションのご案内を──」 「興味ありません。結構です」 とドアを閉める。何が悲しくてイブにマンションを買わなければいけ...

Rashita’s Christmas Story 4

人の心が色で見えるなら、この街はどんな風に見えるだろうか。 白い息を吐きながら、健介はそんなことを考えた。 信号待ちの向こう側には大量の人がうごめいている。喜びで満ちあふれている人の心は赤色、暗く沈んだ人の心は緑色。さて...

「サンタな一日」___ Rashita’s Christmas Story 3

憂鬱は12月1日から続いていた。 玄関の郵便受けに挟まれていた赤紙を発見してからもう23日も憂鬱さを引きずっている。 「クリスマスは毎年面白くないけど、今年は憎悪の対象って気すらするな」 負け組の表明と自覚しながらも、達...

Rashita’s Christmas Story 2

inspired by finalvent’s Christmas Story 5  突然手持ちぶさたになったクリスマスイブほど潰しにくい日もないだろう。バイトの休みは取りづらく、倍率は高かったが、一年に一度...