今年もEvernote Deccupが開催されるようです。
2013年 Devcup 開催のお知らせ(Evernote日本語ブログ)
ヘビーなEvernoteユーザーとしては、便利なアプリの登場は誠に喜ばしいものです。
プログラマとしては3流以下で何のアドバイスもできませんが、アイデアを考えることならば得意ジャンルです。
※自称ナレッジマネジメントアンバサダーです。
今回は、自分で何か出品するとしたらどんなアプリにするだろうか、ということについて書いてみます。
まずは分析からスタートする
何かしらのアイデアを考え出す出発点はいろいろありますが、まずは手堅い「分析」から行ってみましょう。
確実性の高いアイデアが出てきますが、その分斬新度は低めになります。また人によっては、これを先にやってしまうと硬い先入観が生まれてしまう可能性があることにも注意です。
審査基準
公式サイトによるとアプリケーションの審査には以下にような指標が用いられるようです。
デザイン – アプリケーションは良く練られ、見栄えが良く、使い勝手が良いものか?
EVERNOTE APIの効果的な使用 – アプリケーションは、Evernoteプラットフォームが提供する、独自の機能を生かしているか?
実用性 – アプリケーションは説得力があり、不可欠なものであるか?
独創性 – アプリケーションは独自のものであるか、革新的なものであるか?
上の二つは横に置くとして、企画段階では「実用性」と「独創性」に注目する必要があるでしょう。役に立たないものを作ってもしょうがないし、二番煎じは認められない、ということです。
これはアイデア出しというよりも、出したアイデアの評価に使えるデータです。とりあえず頭の中の引き出し(or Evernote)に仕舞っておきましょう。
主要なカテゴリー
このDevcupは3つのラウンドに分かれています。で、第一ラウンドではカテゴリーごとに「最優秀作品」が決められるようです。
どんなアプリを考えるのかのヒントとして、このカテゴリーに注目することもできるでしょう。
Business
Design / Inspiration
Developer / Technical
Education / Research
Family / Parenting
Food / Cooking
Paperless
Photography
Productivity
Sports / Fitness
Travel
ラフに日本語に直すと、
「ビジネス」「デザイン/発想」「開発者/技術支援」「教育/研究」「家庭/育児」「食事/料理」「ペーパーレス」「写真」「仕事効率化」「スポーツ/フィットネス」「旅行」
といったところ。
この中で、自分が得意としている分野、あるいは日常的に関わっている分野に注目する、というのがよさそうです。私であれば「ビジネス」「デザイン/発想」「教育/研究」「食事/料理」「仕事効率化」あたりでしょうか。
また、発想の基本技として、「異なるものを組み合わせる」というものがあります。これらの軸を組み合わせてみると新しいアイデアが生まれてくるかもしれません。
ちなみに、「ビジネス」と「仕事効率化」って何が違うねん、というツッコミもあろうかと思いますが、気になる方はAppStoreでも覗いてその感触を確かめてください。
去年の作品
もう一つデータとして活用できるのは、去年の受賞作でしょう。以下のページで一覧できます。
これらのアプリの要素を分析し、先ほど上げた得意なカテゴリーで応用すればどうなるか、といったことを考えると新規のアイデアが出てくるかもしれません。
「要素の分析ってどうやるの?」を具体的に解説するとまた別エントリーが必要ですので、
- 何が便利なのか?
- 他のアプリとどう違うのか?
- アプリの特徴を支えている技術は何なのか?
あたりをチェックリストにすると良いかと思います(あくまで簡易式のチェックリストです)。
もちろん、単に過去の受賞作をパクるのはナンセンスですし、受賞からも遠のくこと間違いなしです。
実際に考えてみよう
じゃあ、実際に何か考えてみましょう。
先ほど上げた私のカテゴリーは以下の5つでした。
「ビジネス」「デザイン/発想」「教育/研究」「食事/料理」「仕事効率化」
これを素材にして発想を進めていきます。
※もし以下のアクションを実行される場合は、脳内だけでなく必ず紙かPCかタブレットを相方に進めてください。
付随する行動を洗い出す
それぞれのカテゴリーで、一体どんな行動を行っているのかをリストアップしてみます。
「ビジネス」では、執筆、営業活動、経費管理、名刺管理、セミナー参加などがあるでしょうか。
「デザイン/発想」ならば以下のような感じになります。
ここからもう少し細分化してもよいでしょう。
不満点を洗い出す
それぞれの行動に感じる不満点を思い出してみます。
私の場合だと、
「過去の手書きアイデアノートが閲覧しにくい」
「一人ブレストが途中で止まってしまう」
「アイデアの組み換えがテキストツールではやりにくい」
「集めた素材の関連検索が弱い」
というような不満があります。
で、これらを解決するためにEvernoteにどんな機能があればいいか、あるいはどんなアプリがあればいいのかを考えていきます。
このとき、技術的に可能かどうかについては考慮しないでください。その判断は後々に行うとして、最初はまず不満点とその解決に集中します。
おそらくこれだけも5や10のアプリアイデアは出てくるのではないでしょうか。
仮定発想法
上は不満を出発点にした発想法でしたが、逆に希望から逆算する発想法もあります。ようは「こんな機能があったらいいのにな」というもの。先ほどはマイナスをプラスに持っていくものでしたが、こちらはまったく新しいプラスを生み出すもの。
考え方はいろいろありますが、たとえば「〜〜のためのEvernote」という仮置きをしてみるとよいかもしれません。
「アイデア発想のためのEvernote」
「男料理のためのEvernote」
「イクメンのためのEvenrote」
「イケメンのためのEvernote」
「ダイエットのためのEvernote」
いくらでも上げられますが、この辺でやめておきます。こうして仮置きしたお題を元に、どんな機能があればいいかを考えていくわけです。ほとんど妄想に近いものも出てくるでしょうが、だいたいにして斬新なアイデアと妄想は近似です。
まったく新しいアプリを考えたいのならば、わりと有効かもしれません。
万人共通たる属性
さて、上にあげた11のカテゴリーは、Evernoteを使うユースケースによる分類として捉えることもできます。こうした分類があった方が、発想もしやすいし評価もしやすいことは間違いありません。
しかし、これらのひとつ上に存在するカテゴリーがあります。それは、「Evernoteユーザー」です。
みんないろいろな使い方をしているけども、何となく言葉には出来ないところで「Evernoteが好き」という気持ちを共有している、というと大げさかもしれませんが、ようはEvernoteを使っている人は、Evernoteを使っているということです。トートロジーこの上ないですが、わりと見過ごされがちな視点です。
たとえば、私だったら、一ヶ月毎のEvernoteのノートブックとタグの全リストを保存してくれて、それが時系列でどのように変化してきたのかをたどれるサービスがあればぜひ使ってみたいです。手帳好きだからかもしれませんが、そのデータは間違いなく楽しいものになると思います。
ようはEvernoteに関するメタ情報ですね。
この視点では他にもアイデアが出てきそうです。有用度、という点では評価されにくいかもしれませんが__だいたいEvernoteというサービス自体、使い始めは有用度が評価されにくい__メタ情報は後々効いてくるような気がします。
「MergeEver」のようにノート操作に関するツールなども、ひとつ上のカテゴリーに属すると言えるでしょう。新しい使い方を提案するものではないかもしれないが、利便性を間違いなく向上させてくれるもの。そういうのも(私個人としては)アリです。
一人ブレスト補助ツール
最後に、「じゃあ、おまえ何か考えてみろよ」と突っ込まれないためにひとつアイデアを出しておきましょう。
先ほど出てきた「一人ブレストが途中で止まってしまう」「アイデア発想のためのEvernote」あたりに絡むアプリです。
タイトルは未定ですが、「一人ブレスト補助ツール」というのがテーマになります。
- アプリを使うと、まず最初にEvernoteに思考を刺激するクエスチョン(Q)がいくつか保存されます。
※「逆から見るとどうなる?」「拡大するとどうなる?」など - Qはユーザーが新規に追加することも可能です(タグを使用)。
- ブレスト画面でテーマを入力すると、保存されているQがひとつ表示されます。
※テーマとは「次の本の企画案について」など - ユーザーはそのQに回答する形でアイデアを入力します(A)。
- するとまた次のQが表示されユーザーはそれに回答し、すべてのQが消化されるまでそれが繰り返されます。
- すべてのQが終了すると、Evernoteに「テーマ」「出てきたQ」「出したA」がずらっと並ぶノートが作成されます。
- またAだけをピックアップした「書き出し」も可能です。マインドマップやらアウトライナーに出力できます。
- 補足1:一人ブレストに使った時間が記録されるとよいかもしれません。
- 補足2:何かしらのBGMがあってもよいかも。
- 補足3:ユーザー同士がQをシェアできる機能があるとより良いです。
- 補足4:画像も表示できればVery Fine.
ユーザーは情報をインプットする中でで発見した、質の良い「問いかけ」をEvernoteに保存さえしておけば(そしてタグ付けしておけば)、自分のブレストにそれを活用できるようになる、ということです。
とりあえずたたき台としてはこんなところでしょうか。ここからブラッシュアップを進めていく必要はありますが、土台としては悪くなさそうです。
さいごに
というわけで、長々と書いてきましたが、開発者の皆さんの新しいアプリに期待しております。
アイデアの考え方や、アプリについての相談なども投げてくだされば__できる範囲でですが__対応してみたいかなと思わないではない今日この頃です(歯切れが悪い)。
▼こんなアプリも:
MergeEver – Evernoteのノートをマージ 1.2.7(¥170)
カテゴリ: 仕事効率化, ユーティリティ
販売元: Shamrock Records, Inc. – Shamrock Records, Inc.(サイズ: 4 MB)
▼こんな一冊も:
Evernoteとアナログノートによる ハイブリッド発想術 (デジタル仕事術) |
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倉下 忠憲
技術評論社 2012-06-30 |
▼Coming Soon…
ソーシャル時代のハイブリッド読書術 |
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![]() |
倉下 忠憲
シーアンドアール研究所 2013-03-26 |
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