7-本の紹介

【書評】習慣の力(チャールズ・デュヒッグ)

「人間は習慣の束である」

と、スコットランドの哲学者デイヴィッド・ヒュームは述べたそうだ。これをアレンジすると次のようになる。

「人生は習慣の積み重ねである」

だから、人生を変えたいのならば、習慣を変えてしまえばいい。実に簡単な話だ。

あるいは、組織に目を向けてみよう。

組織はそこに所属する人々の行動の総体で成り立っている。これは社会についても同様だ。だから、個々の人々の習慣を変えれば、結果として組織や社会にも変革が訪れる。これまた簡単なお話である。

もちろん問題がないわけではない。

「それ(習慣)をどうやって変えるのか?」

これは難しい問題だ。しかし、次の一冊はその問題に、解法の道筋を与えてくれるだろう。

習慣の力 The Power of Habit
習慣の力 The Power of Habit チャールズ・デュヒッグ 渡会 圭子

講談社 2013-04-26
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※献本ありがとうございます。

原題は「The Power of Habit」。実にストレートなタイトルだ。それに合わせてか、日本語訳も「習慣の力」といかにもな直訳になっている。私はわりと、こういうひねりのないタイトルが好みである。

概要


さて、「習慣の力」とは何だろうか。

本書では、まず日常生活における習慣の重要性が確認されている。

ちなみに、ビジネス書の本棚でも「習慣」をタイトルに冠した本を多く見かける。『七つの習慣』というビッグタイトルを聞いたことをある人も多いだろう。それぐらい、習慣は大きな力を持っているということだ。

しかし、第一章で紹介されているユージン氏のエピソードに触れれば、その認識はもう一段階深いところまでたどり着くだろう。記憶能力に欠損があるユージンが、どのように新しい行動のパターンを生み出しているのか。それこそが「習慣の力」の重要性を示している。

本書は「個人の習慣」から始め、それがどのようなメカニズムを持っているのか、いかにしてそれに変化を加えるのかが紹介される。それを土台にして、「企業の習慣」「社会の習慣」とターゲットが大きくなっていく。

これは、「階段を上っていく」と捉えることもできるだろう。その意味では、本書は三階建てのビルのようなものだ。個人から始まり、複数の人が集まる企業や社会へと理解を広げていく。

その文脈において、第九章「習慣の功罪」は地下室のような存在だ。ギャンブル依存症になった主婦と、夜驚症(夢遊病の亜種)の影響下で妻を殺害してしまった夫。この二者の対比の中で、意志と習慣についての考察が深められている。

これまで読んだ「習慣」を扱った本の中では、一番視野が広く、懐も深い印象を覚えた。セルフコントロールに興味がある人だけではなく、ビジネスを組織する人や社会運動に関係している人でも何かしら得るものがあるだろう。

また、読み物としても楽しめる一冊だ。分断されたエピソードが小気味よく挟み込まれており、適度な緊張感と期待感が維持される。まるでアメリカの連続ドラマを観ているような印象を受けた。

Continue・・・


概要をさらっと紹介して終えるにはもったいない本なので、本書については何回かの連載に分けて紹介してみることにしよう。
※おそらく当ブログでは初の試みである。

まず次回は、「個人の習慣」にフォーカスしてみる。いかに個人の習慣を変えるのか。なかなか興味深いテーマである。

▼関連リンク:
夜驚症

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