デイリータスクリストが有効な4つのワケ

先日、『意志力の科学』を読了しました。

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いろいろ想起したことがあるわけですが、読んでいて「なるほどな」と腑に落ちたことがいくつかありました。

そのうちの一つが「デイリータスクリスト」の有効性です。今回はそれについて書いてみましょう。

デイリータスクリストとは?

これまでも「デイリータスクリスト」については、いくつか記事を書いています。

デイリータスクリストについて(1)
デイリータスクリストについて(2)
デイリータスクリストを作る意味合い
デイリータスクリスターはゴリラに気がつくのか

あるいは、次の本(拙著)が参考になるかもしれません。

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話をさくっと進めたい人のために解説しておくと、

  • 一日の仕事を始める前に、「その日行うこと」のリストを作り
  • 日中はそれを参照・修正しながらタスクを遂行し
  • 終わったものは消去し、残ったものは明日以降に引き継ぐ

といった手順で仕事を進めるのが「デイリータスクリスト」を使った仕事術です。

この方式を、グツグツと煮詰めて、ツールの形に実装したものが「TaskChute2」と言えるかもしれません。このツールは、理想的なデイリータスクリストの要件をほぼ満たしていると言えます。
※Excelベース(&Windows環境限定)なのが個人的には「ほぼ」の部分です。

どんなツールで実行するのかは別として、「デイリータスクリスト」を使って作業を行うのは、そうでない環境で作業を行うことに比べて、「仕事を前に進めやすい」感覚があります。

この感覚は、もちろん私の体感的なものでしかありませんが、ある程度バイアスを差し引いてみても、その「効果」には有意なものがあるように思います。

とりまな4つの効果

おそらく、その効果はざっくりと次の4つにまとめられるかもしれません。

  • 現実的な「計画」を立てる
  • 直線的に処理を進めていく
  • 記録作業による監視効果
  • ログが残ること

現実的な計画を立てる

現実は、その内に残酷さを秘めているものですが、「現実的な計画」にも似た要素があります。

(ありがちな)破綻するタスクリストは「こんなこと、できたらいいな」という想像を紙の上に記したものです。想像、というか妄想のレベルかもしれません。

そこには「手持ちの時間」と「作業に必要な時間」の概念がまったく欠如しています。その妄想リストはどんどんふくれあがり、「結局、このリストどうやって処理するの?」という困惑を引き起こします。現実との齟齬が露呈するわけです。

「デイリータスクリスト」は「一日にできる分だけの作業」をリストアップするものです。

もちろん、計画は計画であり、それが100%実行できるとは限りません。

しかし、8時間の手持ち時間に36時間分の作業を詰め込んで困惑する、ということは起きないでしょう。デイリータスクリストを始めたばかりのころは、それに近い状態になるかもしれませんが、作りづけていくうちに「現実的な線」というのが見えてきます。

ごく簡単に表現すれば、「現実的な計画」とは、可能性が絞り込まれた計画、ということです。頭の中にだけ存在する、自由気ままな一日に比べれば、非常に残酷な行動余地が示されることになりますが。これが意志力に及ぼす影響はバカにはできません。
※詳しくは『意志力の科学』を参照ください。

直線的に処理を進めていく

リストは、リニアな処理体系です。

つまり、リストの一番上にある項目から始めて、その下、さらにその下へと処理を進めていくわけです。

ここには「判断」が入り込む余地はありません。あるいは、あるとしてもごく少ないものです。

ということは、認知資源を温存できる、ということです。

上から下に、「機械的」に作業を進めていけば、作業の中身で必要な意志力が温存できることになります。

記録作業による監視効果

『意志力の科学』では、計画と共に「監視」のプロセスの重要性が説かれています。

「デイリータスクリスト」を使っていると、

  1. リストから次の作業を確認
  2. 作業に取りかかる
  3. リストのタスクにチェックマーク
  4. 1に戻る

を繰り返すことになります。

明らかに、この行為には「監視」の要素が含まれています。

作業にかかった時間の記録を取っていれば、なおのこと監視意識は強くなります。

ログが残ること

「デイリータスクリスト」を使いながら仕事を進めていると、「一日分の作業ログ」が残ることになります。

一週間経てば、__実働6日として__6日分の作業ログが出来るわけです。そこには、当然「やったこと」「成し遂げたこと」「達成したこと」「クリアしたこと」と言葉は何でもいいですが、自分の足跡が残るわけです。

これは、中長期的な「監視」の役割を果たしている、と捉えられるかもしれません。

あるいは、「小さな報酬」と捉えることもできそうです。

どちらにせよ、自己コントロールの要素として悪いものではありません。

さいごに

本当のところを言えば、デイリータスクリストの仕事習慣を一ヶ月ほど続けてもらって、現実的な計画を立てられるようになってから、一週間ばかりデイリータスクリスト無しで仕事をしてもらうと、その効果は一番わかりやすいのではないかと思っています。

モチベーションがうまく上がらない、あるいは「MPを無駄遣いしている」感覚がよくわかります。ほんとに。

リストは現実を変えません。ただ、認識と意志力について、何かしら変化は与えてくれます。仕事を前に進めて行くには、十分な変化と言えるでしょう。

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