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意志力を使う4つのことがら

『WILLPOWER 意志力の科学』によると、「意志力」を使用することがらは、以下の4つに分類できるようだ。

WILLPOWER 意志力の科学
WILLPOWER 意志力の科学 ロイ・バウマイスター ジョン・ティアニー 渡会圭子

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  • 思考のコントロール
  • 感情のコントロール
  • 衝動のコントロール
  • パフォーマンス・コントロール

これらは「意志力」という単一のリソースを使う。あるコントロールに意志力を使いすぎれば、別のコントロールに意志力が使えなくなってしまう。

イメージしやすいように、「MP」(マジックポイント)で考えてみよう。

  • 火の魔法
  • 水の魔法
  • 雷の魔法
  • 回復魔法

これらは、同じMPを使って唱えられる。ある魔法を使いすぎれば、別の魔法が使えなくなる。そういう話だ。

衝動と感情と思考のコントロール

一般的に「意志力」と聞いて、イメージするのが雷の魔法、じゃなくて「衝動」のコントロールだ。何かしらの誘惑を退けるために使われるメンタルなパワーである。

ダイエットを実行中の人は、この意志力を使い続けることになる。当然、その他のコントロール力は落ちるだろう。たとえば、「感情」だ。ダイエット中や、禁煙中の人がイライラしやすい__あるいはイライラを押さえ込もうとしない__のには、立派に理由があるわけだ。

逆のパターンも考えられる。

接客業で、イライラの感情を日常的に抑え込んでいる人は、おいしそうなデザートや飲み過ぎるアルコールへの抗いが弱くなってしまう。「衝動」がコントロールしにくくなっているわけだ。

また、こうした疲れのまっただ中にいると、考えがうまくまとまらなくなる。つまり、「思考」のコントロールが低下しているのだ。

このように日常生活を振り返ってみても、これら3つのコントロールが密接に関係しているのが分かる。なにせ共通のリソースを使っているのだから、それも当然だろう。

もし、自分には「意志力」がない__衝動を抑える力がない__と考えている人がいるとしたら、それは現実を少し別の方向から見つめているのかもしれない。本当のところは、意志力を他のコントロールに使いすぎている、ということだ。

パフォーマンス・コントロール

意志力の最後の項目としてあげた、「パフォーマンス・コントロール」はどんなものだろうか。

『WILLPOWER 意志力の科学』から引用してみる。

(前略)そのとき取り組んでいる作業にエネルギーを集中させ、適正なスピードと正確さの組み合わせを探って時間を管理し、作業をやめたいと思ってもやり通す能力のことだ。

まさに、仕事で必要になってくる「意志力」だ。これ力も、その他のコントロールとリソースを共有している。

仕事で成果を上げたければ、この「パフォーマンス・コントロール」を無視するわけにはいかない。長時間の作業に没頭する上でも、短時間で適切な成果を上げてちゃっちゃと切り上げる上でも、パフォーマンス・コントロールは必要である。

さて、アプローチはいろいろ考えられる。

「意志力」と呼ばれるリソースの大元を底上げするのがその一つだ。あるいは、一つ一つの行動に必要な意志力を低下させるアプローチもある。それらは、この『WILLPOWER 意志力の科学』や『スタンフォードの自分を変える教室』あたりが参考になるだろう。

今回は、その他のコントロールとのバランスで考えてみよう。

アプローチ

ようするに、

  • 思考のコントロール
  • 感情のコントロール
  • 衝動のコントロール
  • パフォーマンス・コントロール

の4つのうち、「パフォーマンス・コントロール」以外に意志力を使わなければいいじゃないのか?という発想だ。

が、「思考」に関しては、知識労働者においてまったく使わないわけにはいかないだろう。ここは、保留にしておく。手をつけるのは残りの二つだ。

「感情のコントロール」

感情を抑え込まないようにする。簡単だ。

不機嫌さを感じたら、それを抑え込まなければいい。不愉快を感じたら、どなりちらせばいい。

どうにも組織の中でうまくやっていけない感じがしてきた。でも、確かにこういう「気分屋」の中には、仕事だけは高いパフォーマンスを出す人がいる。なんとなく、その理由がわかったような気がする。

あるいは、不機嫌さを感じるような人と付き合わないようにするのも一手だろう。発生源と距離を置いてしまえば、不機嫌さを感じることもなくなる。

しかし、組織の中では選択するのも簡単ではない。

一つ言えるのは、発生した感情を抑えこむのではなく、「ただ受け止め、後ろに流す」ということができると、意志力の摩耗は防げる。が、これは、自身に対するメタ認知が確立していないと難しいかもしれない。どうにもアドバイスとしては役立たずな感じになってきた。

このことを逆の立場から見てみることもできる。つまり、「どんな組織を作ればいいのか?」という視点だ。職場に不機嫌の元が散らばっているような環境では、そこで働く人のパフォーマンスは発揮されないだろう。そう考えれば、「残念な職場」の形は自ずと見えてくるだろう。

衝動のコントロール

衝動のコントロールに関しても簡単だ。衝動を抑えこまなければいい。

欲求の命じるままに、甘い物を食べ、たばこを吸い、アルコールを摂取すればいい。

どうにもダメ人間な感じがしてきた。でも、確かにこういう「気分屋」(以下略)。

衝動を発生させる大元と距離を取るアプローチもある。だいたい、甘い物を目にするから食べたくなるのだ。それを見なければ、欲求の発生率はぐぐっと下がる。「缶詰」はその典型例だろう。あるいは山に籠もってみてもいい。おどろくほど集中できるかもしれない。

しかし、組織の中では、話はそううまく進められない。しがらみが多すぎるのだ。なんだか暗い話になってきた。

ただ、適度な休憩や、散歩の時間、仮眠の時間が自由にとれるようにすると、そこで働く人のパフォーマンスは上がるかもしれない。これはもちろん、組織を作る立場の人の話だが、一考に値するテーマではあるだろう。

さいごに

今回は「意志力」について考えてみた。

少し気になるのは、フロー状態と呼ばれている状態になっているとき、人の「意志力」の使用状況はどのようになっているのだろうか。かなり高いMPが行使されているのか、それともMPがほとんど使用されていないのか。

その辺のテーマへも手を広げてみるのは面白そうだ。

徐々に、「意志力」についての知見が固まってきた。それをベースにした「セルフマネジメント術」も考えられそうだ。

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