普通の人の普通の感想とプラットフォーム

拙著への感想で、面白い問題提起を見つけたので、それについて少し。

2013.05.07 倉下忠憲 『ソーシャル時代のハイブリッド読書術』(本を読むと馬鹿になる,か?)

著書が説く「ソーシャルリーディング」ってやつ。ブログやSNSで感想を発信すれば,それが誰かに届いて・・・・・・って。
 たぶん,それはないんじゃないかな。普通の人の普通の感想など,誰が読むものかってことなんですよね。そうしたコラボが発生するためには,最初の文章が核になり得るだけの品質を備えていないとね。それって,かなり少ないものでしょ。

 

「普通の人の普通の感想など、一体誰が読むのだろうか」

この疑問に対しては、きっと二つの感想が出てくるかと思います。

一つは、「だよね〜」というもの。もう一つが、「あれ?結構、読んでますよ」というもの。

私の感想は後者です。もしかしたら、当ブログの読者さんも後者の割合が高いかもしれません。が、もちろん前者の方もいらっしゃるでしょう。

この二つの感想の差がどこから出てくるのかを考えると、それは日常的なインプット環境の差ではないか、という仮説が出てきました。

つまり、TwitterやFacebookにどっぷり漬かっている人とそうでない人の差です。

流れ込んでくる感想

Twitterで一定数の人数をフォローしていると、雑多な話題に混じって本の感想が流れてきます。その感想は、「普通の人の普通の感想」です。

ただし、私からすれば、(多くのTwitterアカウントの中からわざわざフォローしている)特別な人の普通の感想です。

シンプルに感想がつぶやかれていることもありますし、ブログ記事へのリンクが載っている場合もあります。そういう場合でもリンクを踏んで読みにいくことは多々あります。これは公式RTで回ってくるブログ記事の場合でも似たようなものです。

そのとき注目するのは、

  • 読んで面白いと感じた本
  • 読んでまったく面白いと感じなかった本
  • これから読もうかどうか迷っている本

あたりでしょうか。この辺のタイトルを見かけると思わずチェックしてしまいます。

情報の有益度は3番目が一番高いのですが、興味深さでは1番目と2番目が侮れません。

違う光源の設定

自分が面白いと思った(あるいはまったく面白いと思わなかった)本でも、別の角度からの感想を読んで、「あ〜、これ、そんな風に読めるんだ」と感心することは少なくありません。

結局の所、本の解釈や感想は、読者の人生経験から生まれてくるものです。それが自分と異なった人ならば、必然的に一冊の本に別の方向から光を当てることになります。

私は、『七つの習慣』という本が結構好きです。たぶん、同じような人はたくさんいます。しかし、そういう人ばかりでもありません。「何この本?」と感じる人もいらっしゃるわけです。で、そういう人の感想を読んでいると、「なるほどなぁ〜」と納得できる部分も出てきます。「全面的に同意」とか「共感する」まではいかなくても、そうだよな、そういう視点ももちろんあり得るよな、と思うわけです。

それは一冊の本への理解度を上げるだけではなく、自分自身の考えを相対化してくれる効果があります。

ようは、自分の感想なんて、あまたある解釈の一つでしかないんだ、という自覚を促すわけです。それは、前のめりにはまり込んでいき、視野が狭くなってしまう状況を回避してくれる効果があります。

著者プラットフォーム

あるいは、こんな例もあります。

私が今年に入って読んだ本で、印象に残る本ランキング・ベスト3に入る『考える生き方』。この本の著者のTwitterアカウントをフォローしています。すると、その本の感想ツイートやブログ記事が次々(という頻度ではないものの)と流れてきます。

20代ぐらいで私と似たような感想を持つ人や、40代ぐらいでまったく違う感想を持つ人。いろいろです。でも、どれも「普通の人の普通の感想」でしかありません。それが一冊の本を軸にして、弱いながらも繋がっています。

それぞれの感想が「核になり得るだけの品質」を持っているかというと、少々怪しいでしょう。が、そこのこと自体は大して問題になりません。さすがに「面白かった」の一言しかなければ、著者もスルーするかもしれませんが、何かしらの具体的な感想が文章で刻まれているのならば、きっと著者はRTするでしょう。で、その著者をフォローしている人の目に触れる可能性が出てくるわけです。

これは著者のTwitterアカウントが、一つのプラットフォームとして機能している、という風に捉えられます。

もちろん、そんなことはTwitterを日常的に使っている人にしか関係のない話かもしれません。目に入らない領域は、存在しないも同然です。

が、しかし。

もしかしたら、ソーシャルリーディングのプラットフォームを担うようなサービスがいずれ登場するかもしれません。

もし、そういうプラットフォームができたら、「他の人の感想を目にする」というのは、それほど違和感のあるものではなくなるでしょう。きっと、本の「あとがき」や「解説」に近い位置づけになるのではないかと思います。読む人は読むし、飛ばす人は飛ばす。そういう存在です。

まあ、拙著でも書きましたが、まず自分自身の読みをしっかり行うこと__個読を確立すること__それがスタートであり前提であることは間違いありません。

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