日本全国の知的生産ファンの皆さん、こんにちは。
昨今の文具の進化はめざましいですね。文具好きとしては心躍るものがあります。
便利で使い勝手の良い文具。新しい機能を提供してくれる文具。これまでになかったデジタルとアナログを融合させた文具。
こうした機能性文具は、私たちには使い勝手を、文具業界には活性化をもたらしてくれます。
しかしながら・・・
現代は、高度情報化社会であり、多くの人が知識労働者として働いています。知識労働者は、情報を右から左に運ぶのが仕事ではありません。ごく大ざっぱに言えば「頭を使って、新しい何かを作り出す」のが仕事です。ようは知的生産そのものですね。
効率的、という側面から見た文具の進化はすさまじいものがありますが、じゃあ創造的という側面から見た場合はどうでしょうか。
機能性文具ではなく、発想性文具。あるいは考具的文具。
知価社会では、そうした文具も求められるのではないでしょうか。
たとえばこんな実例
実際の所、発想性文具というのは実在します。たとえば、アイデアプラントさんが制作された「アイデアペーパー」。
実際使ってみると、「発想が刺激される」感覚が味わえます。発想性文具と呼びうるツールです。
これ以外にも「アイデアプラント」さんではいくつもの考具を作成されています。
が、まだまだ数としては十分とはいえません。他にも余地はあるはずです。
発想性文具の対象
一番気になっているのが「付箋」です。アイデアだしや、KJ法、ストーリーラインの制作など、いろいろな発想場面で活躍するこのツール。しかしながら、発想的に進化しているとは言い難い状況です。付箋の進化の枝は、機能的文具方向か「あっ、かわいい!」方向のどちらかにしか伸びていません。
アイデアを出しやすくする付箋、あるいはアイデアを後からまとめやすい付箋。そうした発想性の進化も、創造工学や認知心理学の側面から検討されてもよいのではないでしょうか。たとえば、「すでに何か書いてある付箋」なんかはすぐに思いつきます。きっと、他にも可能性はいろいろあるでしょう。
それと関連して「紙」も発展を望みたいところです。付箋というのは、何かしらの紙に貼り付けて使うわけですからね。
KJ法がやりやすい紙(ないしはボード)なんてあれば、面白いかもしれません。もちろんKJ法だけにはかぎりません。発想をまとめたり、ひろげたりする行為を適切に補助してくれる「紙」があってもいいでしょう。
それを延長すれば「ノート」にたどり着きます。発想ノート、あるいは発想手帳。それがどういう形をしているのかは、私の妄想の中にしかありませんが、「発想作業なんて、これまで全然やったことがない」という人向けに、補助輪の付いた自転車のような考具があっても別に害はないはずです。
たぶん、情報カードやルーズリーフだって、この方向の進化の余地は十分に残されているでしょう。
ちなみに、ペンについては「書きやすいペン」というのが一番発想に役立ちます。というか邪魔になりません。書きにくいペンは、それだけで(発想的には)害悪です。
さいごに
もちろん、私の知らないところには、いくつもの発想的文具がすでにあるのかもしれません。しかし、Google先生に聞いても、次のように聞き返される状況です。
マーケット規模としては機能性文具よりは狭いかもしれませんが、確実に需要はあるのではないかと思います。まあ、単に私が欲しいだけなんですけれども。
▼こんな一冊も:
Evernoteとアナログノートによる ハイブリッド発想術 (デジタル仕事術) |
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倉下 忠憲
技術評論社 2012-06-30 |
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