0-知的生産の技術

レーティングに潜む難しさ

「いつかやりたいこと」がなぜ「今やりたい」になれないのか?(ライフハック心理学)

iTunesには音楽ごとに5段階でレートをつけることができる機能がありますが、あれをきちんと使い込んでいるという人は見たことがありません。(いるのでしょうが)。

5段階で評価をつけるというのは難しいものです。ミスチルの●●が4なら、ビートルズのこれは……という問題が、全体の整合性をきちんと保とうとすれば必ず起きます。学校の先生方はきっと苦労されていると思います。

iTunesのようなデジタルの音楽管理ツールを使うメリットは、音楽に「メタ情報」を添付できることです。それを使えば、ミュージシャンやジャンル、あるいは作詞者などで音楽を検索できるようになります。グーグルナイズド・ミュージック。さまざまなメタ情報を添付しておけば「そのときに欲しい音楽」をすぐさま取り出せます。

ぶれるレート


が、上に引用した記事にあるように、「レート」はメタ情報でもその他と少々扱いが異なります。

ミュージシャンは客観的に、一意に定められます。制作された年月日も__歴史的検証の相違はあれど__同じことです。

しかし、「レート」はそうはいきません。

まず、「レート」は客観的に定めることが不可能です。私が「God knows…」を星5ランクだなと思っていても、他の人は星3つぐらいかなと思うことはよくあるでしょう。これが違うからこそ、「レート」は役に立ちます。個人ごとで曲に違った重み付けを与えられるのです。

もし、この「レート」が欠落していて、代わりに「販売数」なんかがメタ情報として添付されていたら、実につまらないプレイリストしか作れないでしょう(異論は認めます)。

個人ごとに違う、というのはメリットなのですが、客観性のなさは別なる問題へとも広がっていきます。

それは、レートは「自分ごと」にも違う、という問題です。

あるタイミングで聴いた曲が、すごくよく感じられたけれども、別のタイミングだとそうではなかった。さて、いったいいくつの星を付ければいいのでしょうか。朝聴くと良い曲、でも夜にはちょっと。これはどうでしょうか。若い頃に星5つを付けた曲も、年を取るとあんまり。これは平均を使えばよいのでしょうか。

問題はさらにあります。

たとえば、全体の評価とジャンルの中での評価です。

この曲はアニソンの中ではかなり良い出来だが、全体で見ればまあそこそこ。この場合、星をいくつ付けるのが「最適」なのでしょうか。

「God knows…」に星を5つ付けて、「アオゾラペダル」に星を5つ付けて、「Autumn Leaves」に星を5つ付けて、「Makes Me Wonder」に星を5つ付けて、「American Idiot」に星を5つ付けて、・・・

とやっていると、「星5つって一体なんだろうか?」などと、益体もない疑問がふつふつと湧き上がってきます。

星1つから星5までを選択するというただの5択なのですが、曲のレーティングというのは、案外難しい問題を含んでいます。これ、という正解のスタイルが見えにくいのです。

検索キーとしてのレート

「星5つって一体なんだろうか?」という問いに明確な答えがなければ、話をズラしてやればいいのです(アントワネット法と呼びましょう)。

つまり、「星5つとは、こういうものだ」と自分で定義するのです。

重要なのは、レートはメタ情報である、という点です。

「メタ情報とは何か?」という問いに対する答えは出せなくても、それが検索のために使われることは間違いありません。

すると、星を使ったレートは、別段その曲に対する自分の質的評価をするもの(星5つはすごく良い曲だ)ではない、という結論に至ります。あくまで、検索を機能させるキーであればいいのです。だから、ジャンルごとで星がまちまちであっても問題ありません。

たとえば、星5つを「必ず聴きたい」に指定し、そこから徐々に「自分が聴きたくなるであろう可能性」と共に星を下げていくやり方があるでしょう。すると、ジャンル+レートの検索で、「特定のジャンルの聴きたい曲プレイリスト」が出来上がります。

別にこのやり方を勧めているわけではなく、ようするに「どういう検索結果を出したいのか」ということから逆算して考えて、レートというメタ情報を使えばうまくいく、という話です。

さいごに

わりとバカみたいな話を書いているかもしれません。

しかし、私たちはタグ(メタ情報ですね)を使った情報管理の方法論について、それほど知見を持っているわけではありません。おそらくiTunesが、一番最初に一般人(知識労働者以外の人々)が手にしたタグによる情報管理でしょう。

今後、フォルダによる情報管理は少しずつ減っていき、タグ式に移行していくはずです。物的存在とは関係なしに管理できる情報は、タグ式が一番良いのです。それはEvernoteを使っていると強く実感されます。

きっと、学校の先生に__情報科の先生に__聞いても、タグ式の情報管理についてコツは教えてもらえないでしょう。その勘所についてはコツコツ考えていくしかなさそうです。

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