ちらほらと書いているMP戦略について。
いつか『戦う僕らのMP戦略』というコンテンツをまとめてみたいところですが、まずはコンテンツの中身を充実させていきましょう。
今回はMP戦略における難問に取り組んでみます。
その難問とは、任意にMPを消費できない、という問題です。
使いたくても
朝イチの起床後には、満タンだったゲージも、さまざまな行動を取る中で失われてしまう。そして、一日の最後の方には、集中力も判断力も、セルフコントロール力すらも残っていない。そういう状況に対抗する戦略はこの記事でいくつか紹介しました。MPの最大値を上げたり、あるいは消費量を抑えたりする戦略は、間違いなく有効でしょう。あるいは、朝のうちに重要な仕事を片付けるのも手軽ながら効果の高い方法です。
しかし、これらはMPの消費量を任意でコントロールしているわけではありません。
「この敵は強力だからメラじゃなくてカイザーフェニックス(まおうのめらぞーま)を放つ」
という選択ができない、ということです。
そもそも、それはコントロール可能なものなのでしょうか。
「この会議は重要だから真剣に聞こう」と思っていても、その会議が退屈のミルフィーユなら眠気は自然と襲いかかってきます。単調な道を車で走っているときも同様です。ここは頑張らないと思っても、なかなかそうはいきません。
あるいは、「緊張してはいけない」と面接前に自分に言い聞かせてもそれほど効果はないでしょう(むしろ、余計に緊張しそうです)。逆に、火事場のクソ力的なものもあります。これはメラミを使おうと思っていたら、メラゾーマになっていた、と表現できるかもしれません。
MPの比喩を続ければ、使われる魔法というのは状況依存・文脈依存なのです。
- スライムが出てきたから、メラを使おう
- くさった死体が出てきたから、メラミを使おう
- キラーマシンが出てきたから、メラゾーマを使おう
これらは対応関係になっており、スライムが出てきたから、メラゾーマを使おう、という風にはできません。
これが「任意にMPを消費できない」問題です。
逆手に取る
なかなかやっかいな問題ですが、まったくお手上げ、というわけではありません。状況によって消費されるMPが決まってしまうのならば、状況そのものを動かせばよいのです。
よくプロスポーツの選手が「儀式」を行う姿を目にします。ルーチンのように同じ手順を踏む。一見ゲン担ぎのようにも見えますが、実際は何かの「スイッチ」を入れていると考えられます。
「よし、集中しよう」
と思っても集中力を出すことはできません。その代わり、「こういう状況になったら集中力が出てくる」という環境を作り上げ、その環境に身を置くことで集中力を発揮させるわけです。
「難しい本を読んでいるとすぐに眠たくなる」→「眠りたくなったら難しい本を読む」
これと同じ構図だと思ってください。
これもまたMP戦略と呼べるでしょう。
儀式でスイッチを入れる
もっともわかりやすいのは「締切り効果」でしょうか。火事場のクソ力の、信用が物を言う共同社会における応用です。もし、全ての仕事にデットラインが付いており、しかも毎日がそのデッドラインなら、集中力は神経質な人の鉛筆の芯ぐらいずっと研ぎ澄まされているでしょう。まあ、胃に穴が空くかもしれませんが。
あるいは、「儀式」を自分の仕事に取り入れることもできます。
たとえばお気に入りのカフェに出かけ、iPodでお馴染みのプレリストを流し、いつものエディタを立ち上げる。そうすることで、「今は集中して作業する時間なんだ」と自分に暗示をかけていきます。「スイッチ」を押すわけです。
これは、一度確立されれば強力ですが、問題がないわけではありません。
- 確立するまでに時間が掛かる
- ノイズが混じると、効果がなくなる
- そもそもMPが無いときにはどうしようもない
パブロフの犬だって何度もベルの音を聞いているわけですから、人間だって「ほい、集中ね」というわけにはいきません。最初のうちは努力して「集中しよう」と試みる必要があります。その内に、集中できるようになり、あるときから自然と集中に入るようになります。
しかし、一度「儀式」を通過しているにもかかわらず、集中行為から大幅に逸脱してしまうと、「儀式」が形骸化してしまいます。自分にとっての文脈が意味を無くしてしまうのです。なのでマルチタスクは避け、電話もSNSも出来る限りOFFにしておくのが賢明です。
最後の問題は指摘するまでもありません。儀式は錬金術ではないので、どうしようもないときはどうしようもありません。さっさと寝てしまうのが吉です。
さいごに
というわけで、ここぞというときにカイザーフェニックスを使いたければ、前もって準備しておく必要がある、という非常に残念な結論になりました。しかしながら、しかたありません。ここには打ち出の小槌も銀の弾丸もないのです。自分の環境を自分で作り上げ、それを維持していく必要があります。
結局の所は、「習慣の力」なわけです。
ちなみに、この場合のカイザーフェニックス(まおうのめらぞーま)はフロー状態のようなものと言えるかもしれません。フロー状態は、かなりハイクオリティな時間の使い方ができるのですが、その分MP消費量もハンパ無い感覚があります。その意味で、その他のMP戦略も重要になってくるでしょう。
▼こんな一冊も:
習慣の力 The Power of Habit |
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チャールズ・デュヒッグ 渡会 圭子
講談社 2013-04-26 |
スイッチ! |
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チップ・ハース ダン・ハース 千葉敏生
早川書房 2010-08-06 |
はじめてのGTD ストレスフリーの整理術 |
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デビッド・アレン 田口 元
二見書房 2008-12-24 |
2 thoughts on “ここぞという時に、カイザーフェニックスを使うために”