3-叛逆の仕事術

えぇ、まあ。フリーランスです。

『考える生き方』の中で、著者のfilnalventさんは次のように書いている。

(前略)現在の55歳までフリーランスなのだが、芯になるものは何かと言えば、矛盾した言い方だが、「フリーランスとは、フリーランスとして生きると覚悟を決めること」ということだ。

一応、私もフリーランスになって3年ぐらい経つわけだが、「フリーランスとして生きる覚悟」を持っているのかと問われると、うむむと考え込んでしまう。狭い部屋に閉じ込められて、鋭い口調で詰問されれば、「えぇ、まあ」とは答えるかもしれない。そのぐらいの覚悟である。

でも確かに、フリーランスで働いているといろいろある。覚悟というほどではないが、ある種の気概がないと乗り越えられないんじゃないか、と思うようなこともある。でもまあ、それが自由の代価と考えれば、個人的には十分にペイである。妻はどう考えているのかはわからないのだが。

今回はそんなフリーランスについて書いてみよう。

フリーランスとは

フリーランスとは、つまりフリーのランサーである。

無料、ではなく政治的・組織的立場からの自由という意味のフリーと、槍騎兵=戦力という意味のランサーだ。

当然、フリーランスであるためには「槍」を持っている必要がある。戦力を提供できる、ということだ。

現代における企業活動において、戦力とはもちろん武力ではなく、ある種のスキルを指す。特殊技能とまではいかなくても、企業がその内側に抱えていない「何か」を提供できることが必要だ。

では、その技能があればフリーランスとしてやっていけるのか。

話はそう簡単にはいかない。実際、考えてみると問題は「フリー」の方なのだ。

自由は善?

自由。実にすばらしい響きだ。誰しもが憧れる、ユートピアのような状態。

果たしてそうだろうか。

私たちは地球上において、重力という縛めを受けている。では、その重力から解放されれば素晴らしいのだろうか。

想像してみよう。どこまでも暗闇が続く、身も心も凍り付くような宇宙空間に一人投げ出されたとしたら。もちろん、そんなものはユートピアではない。

フリーランスは自由である。そして、自由であることは、実は恐ろしいことなのだ。

フリーランスであり続けるためには、何かしら自分で重力を発生させる必要があるし、自分の身を守るための防護服も装着しなければいけない。

重力による安定

よくSFやアニメ作品を見ていると、コロニーがクルクルと回っている描写にぶつかる。遠心力による擬似的な重力の発生、ということだろう。

あの「回る」という表現は、実にセルフマネジメントのシステムにぴったりだと思うのだが、それについての言及はここでは避けよう。ともかく、自分の身を安定させる何かが必要だ。

これはもう本当に必要である。

サボろうと思えば、生活費が尽きるまでサボることができるし、働こうと思えば、体を壊すまで(自由意志に依って)働くことができる。つまり、「適切に」働く量をコントロールしなければならないのだ。しかし、これがそんなに簡単ではない。

だいたい何をもって「適切」かどうかを判断するのだろうか。その基準を持たなければ、容易にブレブレになる。

それに「コントロール」するのも難しい。もし、それが簡単なことならば、世の中のダイエット本は一掃されていることだろう。

でも、それができないと仕事を続けていくことは難しくなる。

守りの行為

また、言うまでもなくフリーランスになると、あの忌々しい「確定申告」を自らの責任において実行しなければならない。あぁ、確定申告!とシェイクスピア作品の登場人物であるかのように叫んでしまいそうになる。

といっても、実は作家業では、確定申告はそんなに辛い作業ではないのだが、それについての言及もここでは避けておこう。

また仕事における契約上の問題や、人間関係の問題解決、収入と支出のバランス(つまり利益の確保)などにも気を遣わなければいけない。成果を生み出す仕事ばかりに注力していればよい、というわけではなく、身を守るための何かにも労力を注入していかなければいけないのだ。

それを忘れてしまうと、とんでもないボディーブローが襲いかかってくるかもしれない。

さいごに

こうやって書いてみると、あんまり楽しそうな気持ちは湧いてこないかもしれない。まあ、楽しいばかりが人生ではないのは、どんな仕事でも同じである。しかし、その点を加味しても、フリーランスというのはなかなかしんどい職業形態__いや、生き方と言うべきか__である。

というわけで、私は安易にフリーランスになりましょうとお勧めすることはできない。

個人的には楽しい(方がしんどいよりも多い)し、そこそこやれている。まあ、それだけである。

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