0-知的生産の技術 4-僕らの生存戦略

コードアカデミー高等学校の話を聞いて、ぼんやりと

昨日、出演させていただいた『ライフハックLiveshow #80 「2013」』。

そこで、松村太郎さんがお話しされていた「コードアカデミー高等学校」にたいへん興味を覚えました。

現在は設置認可申請中ということですが、この高校は「デジタルで学ぶ」「デジタルを学ぶ」という特徴があるようです。

以下は、「カリキュラム」のページより。

「デジタルで学ぶ」は、皆さんが普段触れているインターネットとパソコン、スマートフォン、タブレットを最大限に活用した学び方を提供します。また「デジタルを学ぶ」は、普通科の通信制高校として「コード教科」(プログラミング学習)を必修とし、ただ使うだけでなく、仕組みを理解し、自由に発想してつくることができるようにします。

この話を聞いて、ぱっと連想したのは村上龍さんの長編小説『希望の国のエグソダス』に出てくる横浜技術訓練センターでした。中学生のグループASUNAROによって作られたこの職業訓練施設は、

コンピュータプログラマー、ウェブデザイナー、CGアーティスト、ノンリニアビデオエディターなどの技術実習の他に、英語などの外国語、コンピュータ言語学、基礎有機化学、数学、基礎生物学、哲学などの講義科目

がある、と書かれています。

もちろん、横浜技術訓練センターは職業訓練施設(中学生向け)であり、コードアカデミー高等学校は高校なので、同じレイヤーにおけるものではありません。

しかし、「既存の学校が提供できていない何かを提供する場所」という点に、共通項のようなものを感じました。

情報化社会で必要なもの

前々から思っているのですが、もし現代というものが情報化社会だとするならば、あるいは工業的産業から情報的産業へと移り変わっているのならば、そこで生活したり働いたりする人には情報に関する知識や技術が必要になってくるでしょう。

で、それって提供されているのかな、という疑問があるわけです。

それがどの時期に、どのような形で提供されるべき、という考えは今のところありません。中学生かもしれませんし、高校生かもしれません。しかし、どこかの時点で、何からの形で提供されていた方が、今の社会では生きやすくなるだろう、という気がします。

私はいまこうして文章を書くことで生活費を稼いでいるわけですが、よくよく思い出してみると、「文章の書き方」を学校で教わった記憶がありません。もしかしたら体験はしているけども、私の稚拙な脳が忘却している可能性もゼロではありませんが、おそらくそういうことではないでしょう。

最初に文章の書き方らしきものに触れたのは、『理科系の作文技術』や『「超」文章法』といった、知的生産系の書物です。そういう本を読むまで、「文章の書き方」という概念が存在していることすら知りませんでした。いわゆる「小説の書き方」みたいなものは知っていたのですが、それは特殊な職業の特殊なスキルというか技術です。

ナレッジワーカー寄りの仕事をしている人なら、何からの文章作成を行うことは多いでしょう。それは体裁を整えるためだけの文章かもしれませんが、誰かに何かを伝えたり、時には説得したりする文章の場合もあるはずです。さらに引いてみれば、現代はソーシャルメディアな社会です。日常的に何かしらの言葉を紡ぐ機会が満ち溢れています。

しかし、「文章の書き方」ってあんまり教わってこないわけです。それって、なんだか変だよね、と思います。

教わってこなかったもの

情報化社会という点で言えば、「本をどう読むのか」も教わりませんし、「ニュースソースとの接し方」も教わりませんでした。メディアが提供するすべての情報が客観的かつ正しく、すべてをフォローしてくれているのならば、そういう技術は必要ありませんが、さすがにそれはパラダイスを夢見すぎでしょう。

社会という点にしぼっても、「年金」「労働基準法」「確定申告」についても実際にその知識が必要になるまでまったくスルーでした。まあ、担当している行政に赴けば、親切に教えてもらえるのですが、それはそれで手間がかかっているだけな気もします。

確定申告って一応国民の義務的なものだと思うのですが、多くの人が会社員だから必要ない知識という風に認定されているのかもしれません。これも何だか不思議な風景です。

パソコンについても、複雑なプログラムを苦もなく組み上げるようなスキルまでは必要なくとも、パソコンって何なのか、コードって何なのか、アルゴリズムって何なのか、あたりぐらいの知識を持っていると、必要以上にそれらを避けるようなことは無くなるような気がします。

どんな形であれ、パソコンやらそれに近い端末を使わないで生活し続けることは、現代では難しいのですから、決して無駄になる知識ではないでしょう。

さいごに

もちろん限られた時間で何でもかんでも教えることはできないわけで、取捨選択は必要でしょうが、「これから生きていく上で、どんなものが必要だろうか」というのを、まるっと考え直してみることも必要かもしれません。

学校にそれを求めるのは筋違い、なのかもしれませんが。

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