3-叛逆の仕事術 「タスク」の研究

タスクとの心理的距離感を「5分だけやる」ことで維持する

いつのまにか疎遠になったプロジェクトはありますか。

高ぶるモチベーションと共に目標を立て、ブレイクダウンして、タスクリストに書き込んでいったプロジェクトたち。

はじめのうちは勢いよく進んでいたものの、はっと気がつけば、まったく手がけなくなっているプロジェクト。やったほうがいいんだろうなと思うけれども、手がける気持ちがしぼんでしまっているプロジェクト。

心理的距離がぼっかり空いてしまった状態。

よくあることです。

人が立てる目標

ちょっと考えてみましょう。

20日で100の事柄をやり遂げる。そんな目標設定が為されました。

なんと一日に、たった5進めるだけでOKです。コーヒー1杯分の価格でラッセンが手に入るようなもの。これは余裕、と思い込むことでしょう。

が、現実は過酷です。

調子が悪くて5進められない日もあれば、忙しくて時間が取れないこともあるでしょう。そもそも必要な作業が110であったと気がつくかもしれません。それらを織り込んで作られていない目標は、どこかで無理が発生します。そして、人間の認知だけをよりどころとして作られた目標は、だいたいそれらが織り込まれていません。

さらに言えば、たいていの目標は人間の認知だけで作られています。結局、多くの目標には無理が混じり込む結果となります。

徐々に上がるハードル

しかし、それは仕方ありません。人間は目標作成マシーンではないのです。

が、弊害は確実に出てきます。

100の事柄を20日でやり遂げる。もし、一日潰れてしまったら19日で100の事柄をやり遂げなければなりません。さらに一日できなければ18日で100です。

つまり、一回先送りするごとに、ハードルが上がってきます。

タスクリストをみて、心理の奥の方で「あっ、これはちょっと面倒だな」と感じたとしましょう。だいたいは突発的なトラブルのせいで、ちょこっと日付が空いてしまった時に発生します。面倒だと感じたら、次に起きるのは安易な先送りです。「明日やろう」、あるいは「もうちょっと落ち着いたらやろう」。こう自分に言い聞かせてタスクを先送りします。

結果どうなるか。それで一日潰してしまい、ハードルを上げることになります。

今日「ちょっと面倒」を感じたことは、先送りするとより面倒さが増えるのです。単に明日以降の自分にパスしているつもりでしょうが、実はそこに利子が発生しているのです。
※何日までに○○を達成する、という目標でなければ、これは発生しない点に注意してください。

今日「ちょっと面倒」と感じて先送りしたタスクは、明日それよりもわずか増えた面倒さをまとって登場します。今日と明日の自分が同じような存在であれば、そのタスクもまた先送りされるでしょう。そうやって雪だるま式に「面倒さ」が増えていくのです。

もし、どこかのタイミングでモチベーションに火が付けば、タスクに着手することはありえます。しかし、面倒さが増えていけばいくほど、必要なモチベーションの量も上がります。先送りし始めならば対応できるかもしれませんが、時間が経てばもはや手遅れです。大きく膨れあがった雪の玉は、誰にも止められません。

心が落ち着く不協和の解消

そして、どこかで閾値を超えます。相転移が発生します。

「あのプロジェクトは自分にとって意味があるからやらなければいけない」
「とてもじゃないができない。激しく面倒そうだ」

二つの異なる方向の認知が、その人の中に宿ることになります。ジレンマ発生です。結果起きるのは、認知的不協和の解消。

心理時間的に近いのは「激しく面倒そうだ」の方でしょう。目標を立てたときの自分の心理はすでに遠くにあるので、いくらでも改ざんが可能です。

つまり、「あのプロジェクトは自分にとって意味があるから」が「あのプロジェクトは自分にとって意味があるかもしれないけど」に変わります。「あのプロジェクトは自分にとって意味があったらいいな」ぐらいに落ち込むかもしれません。あるいは、「あのプロジェクトは自分にとって意味があった」と、堂々と過去形にしてしまうこともあるでしょう。

自分がやらなくてもいいタスクが、どれほど面倒であってもジレンマは発生しません。

そうして、私とそのプロジェクトの心理的断絶が起きます。自分が感じるプロジェクトの意義が消えていくのです。

理想的な対応

このような話は、別に「ダメ人間」だけに発生するものではありません。むしろ、ごく普通な認知の働きでしょう。

こういうのがまったく発生しない人はある側面ではとても優秀なんでしょうが、もしかしたらどこかのネジが外れている可能性もあります。別に悪口とかではなくて。

ともかく話を整理しましょう。

  • 目標を設定しても予定外のトラブルなどでうまく進まないことがある
  • それによって、「ちょっと面倒」という心理的な溝が空く
  • 溝を放置すると、どんどんそれが大きくなる

こういうプロセスです。

理想的な話を一つと、対処療法を二つ書きます。

できるならば、目標はゆるやかに余裕を持って立てることです。自分の8割の力で(あるいはもう少し低くてもよい)達成できるような目標ならば、ハードになりすぎる危険性はありません。むしろ、それぐらいで「ちょうどいい難しさ」になるかもしれません。

が、人の認知だけではこれはなかなか難しいでしょう。何かしらのツールによるサポートが必要です。

現実的な対処療法

では対処療法はというと、一つは「ちょっと面倒」と感じたら取りかかるようにする、ということです。軽傷のうちにケアしてやるのです。

「ちょっと面倒」は黄色信号なのです。いずれそれが赤に変わり、やろうとする気持ちすら消えてしまいます。
※やろうとするから、面倒に感じるのです。

そこで「5分だけやる」のです。

「5分だけやる」は軽いライフハックのようですが、実はジワジワ効いてきます。利子の全額返済は無理でも、それを多少は減少させられますし、作業興奮によって思わぬくらい作業が進むこともあります。

一つ言えることは、まったく作業をしない(作業時間0分)と、5分作業するの違いは、5分作業すると、10分作業するの違いよりも遙かに大きいということです。

ともかく、「ちょっと面倒」と感じているうちに、5分だけでも取りかかってみましょう。そんなに難しいことではないはずです。少なくとも、投下時間に対する費用対効果__ただし「〜〜を発生させない」という予防的効果__は高いものです。

リセット・ザ・ワールド

では、完全に距離が空いてしまったらどうするか。

これはもう目標をゼロから立て直すことです。白紙の状態からガンチャートを引き直すのです。前の計画はおじゃんにして、新しい計画を立てるのです。そうすれば発生していた面倒の負債は解消されます。たいらのまさカード発動です。

計画を立て直すことなんて全然恥ずかしいことではありません。所詮、それは何かを達成するための手段です。物事が1ミリでも前に進むなら、Re:計画もじゃんじゃん実行しましょう。

さいごに

当たり前ですが、「5分だけやる」ことにも上限があります。

12個もやれば、1時間が必要です。1時間をまるまるひねり出すのは至難の業でしょう。

というわけで、「やろうしていることがあまりにも多すぎて、タスクが実行できない」場合には、この方法は使えません。もう少し、ベースの部分での対処が必要でしょう。

とりあえず、あなたのアクションコマンドの中に「5分だけやる」を取り入れてみてください。「ちょっと面倒」というモンスターが登場したら、そのコマンドを実行するのです。

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