「WorkFlowy」との出会いと価値の発掘 あるいはムダの話

「ムダなのに、ムダではない」

禅問答のようです。

発見のための努力はムダだが、ムダでない理由(ライフハック心理学)

この記事には「WorkFlowy」という「アウトライナーツール」が良さそうであることと、良さそうであることの理由が書いてありますが、記事執筆者の倉下さんがどうやって「WorkFlowyがよい」と発見するに至ったかは、書かれていません。

たしかに、あの記事ではどうやって「WorkFlowyがよい」と発見するに至ったのかは書きませんでした。いや、もしかしたら書いたのかもしれません。しかし、仮に書いていたとしても見返しの段階で削ってしまったことでしょう。2000字の枠組みの中に、全ての情報を詰め込むことはできません。そもそも、全ての情報を詰め込める文字数なんてあるのでしょうか。

ともかくあの原稿には、そうしたことは記載しませんでした。

倉下さんがどうやってWorkFlowyにたどり着いたかを私が知るはずもありませんが、ほとんど偶然発見したのではないかと思います。しかしその「良さ」を発見したのは偶然ではありません。

二つ重要なことが書かれています。

まず、発見そのものは偶然であること。そして、発見したものが「良い」と認知できたのは偶然ではないこと。ここに、禅問答への解が含まれていそうです。

なぜ、私は偶然発見した何かに「良さ」を見いだせたのでしょうか。

この点に気づくためには「iPhoneとMacでシームレスな連携ができ」ないという袋小路で苦い気持ちを一定期間に抱き続ける必要があると思うのです。むなしい努力を繰り返す意味は、苦々しさを記憶に植え付けることにあるわけです。そうすることで不意に訪れた気づきにくい小さな甘味に、非常に敏感になります。

find it

事実に戻りましょう。

私は、アウトライナー界隈の話題で「WorkFlowy」というツールの存在を知りました。たとえば、「WorkFlowyとOmniOutlinerを比較する」や「オンラインアウトライナーの双璧、WorkFlowyとFargoを比較する」といった記事です。

とりあえず無料だったので、とりあえずアカウントを作りました。別段「WorkFlowy」を特別扱いしたわけではありません。その他名前を見かけたツールで__登録が無料であるならば__とりあえず試すことを繰り返していただけです。

はじめは、「使いやすいな」と感じただけでした。その瞬間は「とりたててコレ」という感覚はありません。きわめて使いにくいツールではなかったので、しばらく使うことにしました。そこで、ジワジワと「WorkFlowy」の良さがしみ出て来たのです。

差異

佐々木さんが指摘されているように、「WorkFlowy」が持つ良さを知るためには、二つのことを知っておく必要があります。

一つは、「アウトライナーが持つ便利さ」。もう一つは「WorkFlowyだけが持つ便利さ」。

前者については、一冊本が書けるぐらいなので横に置いておきましょう。ともかく、テキストエディタやマインドマップツールとは違った機能を持っているのです。で、その差異を見きわめるためには、それぞれのツールを一通りは使っておく必要があります。

同じように「WorkFlowyだけが持つ便利さ」も、WorkFlowy以外のアウトライナーを使っておかないと見えてきません。で、実際いろいろ使っていたのです。

iPhoneアウトライナー

スタートになったのは、「iPhoneで使えるアウトライナー」でした。

もともとMacでは「Tree」というアウトライナーを使っていたのですが、これにはiPhoneアプリがありません。iPhoneでもアウトラインを確認したい。そんな欲求があったので検索してすぐ見つけられるようなアウトライナーアプリは一通り試しました。良いところまで迫ったのは「Cloud Outliner」です。

「Cloud Outliner」は、iPhone・iPad・Macにアプリがあります。当然iCloud経由で、全て同じファイルが扱えます。さらにEvernoteにも同期できる。アウトライナーとEvernoteユーザーの私からすれば、天からの贈り物のようなアプリです。が、結局継続的に使うところまでは行きませんでした。

原因のひとつは私にあります。「Cloud Outliner」というノートブックを作成されてしまう点が気にくわなかったのです。ノートブックが勝手に増やされてしまうツールは、私の中で減点対象になります。そこそこ便利であっても、「ちょっとなぁ・・・」と感じてしまうのです。これはツールが悪いわけではありません。私の心が狭いのが問題なのです。

もう一つ、「Cloud Outliner」はMacアプリが(日本語環境的に)ちょっと残念な感じでもありました。MacのEvernoteでもアウトラインを確認することはできますが、確認できるだけです。

「Cloud Outliner」以外のアプリは、iPhoneだけで閉じてしまっているものがほとんどで、Macにはメール出力などを利用するしかありません。面倒です。

これと、これじゃない

おそらくこの時点では、「こういうアプリなら理想的だ」という具体的なイメージは持ち合わせていなかったと思います。心の中にあったのは「これじゃない」という感触だけ。そうして、アプリを転々としているなかで、「WorkFlowy」に出会ったわけです。

「WorkFlowy」は「これじゃない」感が非常に薄いものでした。だから、試しに使い続けていたのです。

iPhoneアプリとMacでのブラウザアプリ。どちらも違和感なく使えます。ズームの機能もあり、アウトライナーとして問題なく操作できます。

そうやって使い続けているうちに、

クラウド・アウトライナー「WorkFlowy」で骨子を育んでから、整える。

で書いたような発見をしました。

そうです。iPhoneでのアウトライナーアプリを探しているときは、「音声入力が便利」なんて一切気がついていなかったのです。

むしろ私は「Macで入力したものを、外出先でも手軽に確認できる」アプリを求めていました。作業をするのはMacで、iPhoneはその簡易ビュアー。それぐらいの位置づけです。

「だって、iPhoneで長文を入力するのって面倒ですよね」

そういう思い込みとか先入観が私の中にあったのでしょう。

ゼロからアウトラインをiPhone上で組み立てていくことは想像もしていませんでした。

re:find it


でも、簡易ビュアーとして便利に使っているうちに、気がついたんです。

たぶん、その日はとても寒い日で、かじかんだ手でディスプレイキーボードをタッチする気持ちが湧き上がらなかったのかもしれません。ともかく音声入力で、短いフレーズを読み上げし、リターンボタンを押して(これだけは音声入力で対応できない)、再び短いフレーズを読み上げる。

それを繰り返していくと、非常に心地よいことに気がつきました。

そうして、あたたかい家に帰り、MacでFirefoxを立ち上げると、先ほど入力した短いフレーズがアウトラインとなっている。「なんだこれは」と5mmぐらい思いました。だって、自分で作ったものですからそれが何かは理解しています。でも、そこには(ある時点まで)私がまったく想像もしなかったものがあったのです。

正直「WorkFlowy」が完璧なツールだとは思っていません。外部に出力するために一手間かかりますし、大量のトピックを操作するのも面倒です。だから、Macでは別のツールでアウトライニング(アウトラインプロセスのこと)を行っています。おそらくMacならOmniOutlinerに匹敵するツールはなかなかないでしょう。Treeも個人的には好みのツールです。

ただ、そういった話とは別に、「WorkFlowy」を使った一連のプロセスは私の中で新しい体験だったことは確かです。

さいごに

この話の教訓はなんでしょうか。

いろいろ考えられそうです。

  • 提供されている情報は、何かが削られているし、その何かが重要なこともある
  • 無駄足を踏んだとわかるのは、行動した後
  • 「これじゃない」がわかっていれば、「これだ」がわかるようになる

他にもあるかもしれません。とりあえず、久々にがっつり書いたブログだったので長くなりました。各自適当にまとめてください。

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