7-本の紹介

【書評】ゴミ情報の海から宝石を見つけ出す(津田大介)

副題は「これからのソーシャルメディア航海術」。

ゴミ情報の海から宝石を見つけ出す これからのソーシャルメディア航海術 (PHPビジネス新書)
ゴミ情報の海から宝石を見つけ出す  これからのソーシャルメディア航海術 (PHPビジネス新書) 津田 大介

PHP研究所 2014-01-18
売り上げランキング : 18171

Amazonで詳しく見る by G-Tools

ジャーナリストの津田さんが、Q&A形式で「メディア作法」について語る一冊。

津田さんといえば、2014年の東京都知事選では「ポリタス」というサイトで頑張っておられたのを思い出す。選挙期間中はひたすらツイートが流れてきたものだ。私は京都府民なので、都知事選は(あまり)関係ない。もし何かしらのメディアで都知事選の特集が組まれていても、スルーしていただろう。しかし、ソーシャルメディアでは__タイムラインの作り方によっては__、そうした情報も普通に流れ込んでくる。

もし、その中に気になる情報を見つけたら、URLを踏むなり、自分で検索すればいい。そうでないならスルーするだけだ。

テレビもTwitterも、一方的に情報が流れてくる点では同じだが、そこにどんな情報を流すのかを変えられる点が大きく異なっている。もちろん、発信に対してレスポンスしたり、自分から発信できるところも違う。マスメディアとソーシャルメディアの優劣ではなく、特性が違うわけだ。当然、接する私たちのスタンスも変えていかなくてはいけない。

じゃあ、どう変えていけばいいのか。

それについての津田さん流の解答が本書では開示されている。

概要

章立ては以下の通り。

プロローグ ツイッターで「人」を見抜く
第1章 [動かす]メディアはどこへ行く
第2章 [受ける]情報のチューニング
第3章 [発する]アウトプットの論点
第4章 [伝える]発信者として突き抜ける
第5章 [魅せる]メディア・アクティビストになる方法
第6章 [働く]あらためて仕事とは何かを考える
付録1 特別対談 川上量生×津田大介
付録2 特別解説 島田裕巳

複数のトピックスを扱っており、さらにQ&A形式なので、一つ一つの要素についての深掘りはない。ざっくりとした内容と言っても良いだろう。その分、あまり他では出てこない内容も出てくる。質問がコンテンツを引き出すのだ。

じっくり深掘りした内容に触れたければ、『情報の呼吸法』を読む方がよいかもしれない。当ブログでも以前紹介した。

【書評】『情報の呼吸法』(津田大介)(R-style)
『情報の呼吸法』を読んで考えたこと(シゴタノ!)

二冊の本を読み比べてみると、やはりQ&A形式の方が、身近な(あるいは切実な)内容が出てきている。「フォロワーを増やすにはどうしたらいいか」「デマツイートしてしまったときの対処法は」などなど。

ソーシャルメディアと接し始めたばかりなら、一度や二度は経験する悩みではないだろうか。そういう意味で「使える」内容ではあるだろう。

その分、ずしりと全体が腑に落ちるような感覚はない。手軽に読めて、かつ実行性が高い内容なのだから、トレードオフとしてそれは仕方ないだろう。

興味を惹いた部分

個人的には、『情報の呼吸法』ではあまり出てこなかった有料メルマガの話が面白かった。なにしろ私も運営しているのだ。

有料メルマガについて触れられている部分はいくつかあるのだが、3つだけ引用してみよう。

以上を前提として、メルマガで読者を集めるにはどうすればいいか。いろいろなやり方がありますが、大事なのは「だれかと同じようなことを言っても、やってもしょうがない」ということではないでしょうか。

これはメルマガに限ったことではない。人目を惹くためにあえて反論するのもどうかと思うが、他の人が言っていないことを言おうとする姿勢はやはり大切だろう。

そこでいま、ぼくがおすすめしたいのが、質の高いニュースを配信しつつ個人の名前を売り、有料メルマガなどでファンを少しずつ増やしていくモデルです。概念としては「寄付」に近いのですが、月に五〇〇円払って応援してくれる人が三〇〇人いれば、月の収入は一五万になる。すると最低限、維持可能なビジネスとして成立します。「三〇〇人」はだれにとっても決して手の届かない数字ではないでしょう。

びっくりするぐらい同じことを考えていた。

正直「有料メルマガ300人」は簡単ではない。ツイッターのフォロアーは集められても、課金のステップを越えてもらうためにはさまざまなハードルが待っている。著名人であっても、三桁に届かず撤退された方も珍しくないようだ。

しかし、不可能かどうかでいうと「ありえなくはない」とは言える。もし、ブログやソーシャルメディアが無ければ不可能と言い切れたが、これらのツールがあれば、可能性としてそれぐらいの人々にリーチすることはありえる。

こういうときに、「私はそんなたいした人じゃないから」と諦めてしまうのは非常に勿体ない。日本中にはたくさんの人がいるし、その中には自分のことを面白がってくれる人も何%かは混じっているだろう。300人の規模感はそのぐらいの%で十分カバーできる。

「津田マガ」は一号当たり約一五七円。「週に一度、ペットボトル飲料とほぼ同じ価格で買える」「『週刊少年ジャンプ』より安いよ!」──それなら自分でも納得して払えるし、人にも宣伝しやすいと考えました。

私のメルマガは、毎週一万字〜一万五千字のボリュームで、月額330円。一般的な有料メルマガは840円なので、その半額以下である。

この値段をつけるのに、最初は非常に悩んだ。労働時間(執筆時間)を早急にペイしようと思えば、840円ぐらいの価格が望ましいことは確かである。しかし、津田さんも書かれているように、競合もたくさん存在しており、読者さんが複数のメルマガを購読しようと思うと、1680円、2520円と、どんどん金額が膨れあがっていく。さすがに、それは厳しい。

複数のメルマガを購入していても負担にならないようにする。

そのため、価格を安く設定することにした。イメージしたのは、文庫本一冊よりもさらに安い価格。420円ぐらいの新潮文庫よりも安ければ、大学生でも購読するできるだろう。結果330円という、牛丼と競争できる値段になった。

もちろん安いからといって、スカスカな中身ではない。かなりガチだ。現状の購読者数から言えば「赤字」の活動なのだが、ペイの帳尻については、連載をセルフパブリッシングで出版して調整していく予定である。

結局のところ、「有料メルマガの適正価格はいくらか」を考えるのではなく、自身の活動の中にメルマガをどう位置づけ、どのように展開していくのかをイメージしなければいけないのだろう。「正解」は、どこにも存在しない。

さいごに

もう一つ、情報をさばいてくためには、自分の中に軸を持つ必要がある、という話も出てきた。

以下の本で触れたことである。

ソーシャル時代のハイブリッド読書術
ソーシャル時代のハイブリッド読書術 倉下 忠憲

シーアンドアール研究所 2013-03-26
売り上げランキング : 268960

Amazonで詳しく見る by G-Tools

津田さんも「自分が興味を持った本から読み始め、そこから徐々に広げていく」方法を紹介されていた。やはり、それしかないのだろう。それをとことん突き詰めていくと、きっと他の人とは違ったことが言えるようになる、はずである。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です