BlogArts

新しく、そして古い形式のBlogツール

ひんぱんに外食していると、舌がそれに慣れてしまうことがある。

外食は味付けが濃く、コンビニ弁当は揚げ物が多い。でも、そればかり食べていると、それが「普通」になる。

ときどき、自炊した料理や「おふくろの味」的なものを食べると、気がつくのだ。あぁ、あれは味が濃かったんだな、と。

最近、新しいタイプのBlogツールをいくつか触った。それは新しくもあり、そして古い印象も受けた。原点回帰、あるいは新古典派主義とも言えるBlogツール。

Medium

Mediumはおどろくほどシンプルなブログツールだ。

ブラウザから記事を書く。

以上。

これだけだ。ややこしい話はどこにもない。

文章を書く人は、文章を書くことだけを考えればいいし、文章を読む人はそれを読むだけでいい。

デザインは、次のような感じ。

screenshot
Medium四つ目より

ワンカラム式のシンプルなデザイン。左右にサイドバーは存在しないし、存在させることもできない。デザインをいじれないのだ。だから書き手はややこしいことを考える必要はない。読み手も広告に対する心理的バリアを張る必要がない。

ようするにピュアなテキストサイトなのだ。これは表現上のあやで、画像や動画を挿入することはできる。ピュアなコンテンツサイトと言ってもいいだろう。そこにあるのは、ただコンテンツだけ。ある意味では、ものすごく昔のウェブに戻ったと言えるかもしれない。

面白いのは、一つ一つのパラグラフに対して読者がコメントをつけられる点。コメントに対するコメントもつけられるので、欄外で議論が発展していくことも考えられる。これは昔のテキストサイトでは実現されなかった機能だ。

そんなものがあったら炎上するんじゃないの?

もちろん炎上する可能性はある。というか、開かれたテキストはいつだって炎上する可能性がある。

でも、どれだけ炎上しても__言い換えればPVをゲットしても__書き手が得られるものはほとんど何もない。バナー広告を貼る余地なんて、どこにもないからだ。
※今後どうなるかはわからないが。

つまり、稼ぎを目的としてあえて炎上させるような輩は、このブログ空間には進入してこない。費用対効果が悪すぎる。

というわけで、ただ「書きたい人」が書き、それを読みたい人が読む(そしてコメントをつける)、という環境ができあがる。この関係性そのものは、ある意味でクラシックと言えるだろう。でも、それを新しく感じてしまう部分がどうしようもなくある。

ご覧頂いた通り、Mediumはシンプルなデザインだ。これはEvernoteのClearlyでWebページを表示させたときにとてもよく似ている。実際、Mediumの記事を読むとわかるが、「文章だけ」のサイトはとても読みやすい。読むことに集中できる。

逆に言うと、そうでないサイトは読むことに必要以上のエネルギーを使っているのかもしれない。普段読み慣れていると気がつきにくいかもしれないが。

Fargo

Fargoはオンラインのアウトライナー(アウトラインプロセッサ)だ。

Dropboxと連携して、データを保存してくれる。だから、ブラウザを開ければいつでも同じアウトラインにアクセスすることができる。

で、このFargo。(betaながら)Publish機能が付いた。実際どう呼べばいいのかはわからない。Blog機能と呼んだ方が通りが良い可能性もある。ともかく、アウトラインをBlog形式でPublishできるのだ。

実際にご覧いただこう。

screenshot

こういうアウトラインがあるとする。
※あらかじめPublishの設定は済ませてある。設定方法についてはYoutubeの動画を。

すると、こんなBlogができている。

screenshot

私は、適当にアウトラインを追記していっただけだ。それでもう立派なBlog記事ができている。

これは不思議な体験だ。

オンライン・アウトライナーにはアウトラインを「share」する機能が付いていることが多い。でも、FargoのPublishとはまるで違う。shareされたアウトラインは、アウトラインでしかない。こちらは、一つ一つが記事になっている。当然、コメントも付くし、__私たちがよくやるように__その他の記事を探してページを巡回することもできる。

ようするに言葉通り、Blogができあがるのだ。

しかも書く側は細かいことを考えなくてもよい。考えるのはアウトラインの中身についてだけでよいのだ。細かいデザインをいじれないのは、物足りないかもしれないが、いじれないからこそ良いこともある。それについては再び言及はしないでおく。

記事を育てる感覚

もともとがアウトライナーなわけだから、思ったことを雑多に放り込むことができる。どの枝につけるかによって、公開するしないをコントロールすることも可能だ。

自身のアイデアメモのストックがそのまま(あるいはシームレスに)Publishできるのは新しい。

が、アウトライナーの強みはそれだけではない。

情報は、フローとストックに分類されている。でも、それだけでは物足りない。そこにグローが加わることによって、コンテンツの豊かさはさらに増していく。

若い人はご存じないかもしれないが、「とほほのWWW入門」というサイトがある。昔は非常にお世話になった。現在はとても充実しているサイトだが、当然一気にこれらが埋められたわけではなく、徐々にコンテンツが増やされてきたのだ。つまり、グローである。

近年のブログは、時代性に即して新しい記事がバンバン出てくる。それはそれで素晴らしい。でも、一つの記事を「育てる」ことはあまりしない。むしろ、記事の追加でBlog全体を育てている感覚の方が強いだろう。

しかし、一つの記事(あるいはコンテンツ)だって、十分に深掘りする余地はあるのだ。

アウトライナーに普段思いついたことをどんどんメモしていく。たまに、それらのいくつかをまとめて、Blog形式でPublishする。そして、またメモを増やしていく。すると、時々「あ、このアイデアメモ、昔書いたあの記事と関係する」なんてものが出てくる。Fargoなら、それをただ移動するだけで、記事に「追記」することができる。

非常に楽チンだ。

FargoがもたらすアウトライナーとPublishのシームレスな連携は新しい体験だが、コンテンツを育てるというグロー感覚は、実は昔のものとも言える。

Postach.io

Postach.ioについては、何度か紹介しているので、深く言及はしない。

EvernoteのノートをPublishし、Blog記事にしてくれるサービスだ。私もR-inで運営している。設定をいじったせいか、過去記事が吹っ飛んでしまっているが、もちろんEvernoteのノートは無事である。また、少しずつ増やしていくことにする。

感覚的には、Fargoに近いだろう。

ただストックしておくだけのEvernoteのノートを、外に向けて発信する。その他のアプリとの連携で面白い使い方も考えられるだろう。カテゴリーとしては「Evernoteの使い方」の一つになるわけだが、新しいBlogツールとしても捉えられる。

ともかくブログを書いているつもりがなくても、Blogができてしまう手軽さ・容易さが一つのポイントだ。

そして、同じようにデザインはシンプルである。デザインをいじることは不可能ではないが、おせじにも親切なUIとはなっていない。標準で用意されているデザインから選択して使うぐらいが無難だろう。だからこそ、よい部分はある。

さいごに

おそらく、こうしたBlogツールが「主流」になることはないだろう。少なくとも、しばらくの間はありそうもない。

もしかしたら。

こうしたシンプルなデザインは、「懐古主義」と揶揄されてしまうかもしれない。古くさい、と。流行じゃない、と。

しかし、服装の流行などでも言われることだが、ある種のものはぐるっと一周回る部分がある。というか、一周回ってみて初めて確認できることがある。

そもそも、「主流」になることだけが答えでもあるまい。むしろ、そういう考え方こそが古くさい恐れもある。

私は別に、これらのBlogツールを使いなさいと提唱するつもりはない。しかし、いろいろな形に触れておくことは大切だと思う。でないと、偏った「普通」とかありもしない「当たり前」に慣れてしまうだろうから。

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