Evernoteのノートには、大きく分けて二つの種類がある。
一つが、「使うノート」。もう一つが、「探すノート」だ。
「使うノート」は、あらかじめ用途が決まっているノートを指す。おそらく頻度別に、もう少し細かいカテゴライズができるだろう。毎日使う、そこそこ使う、たまに使う……。対比を強調するために、アクティブ・ノートと呼んでもよい。
「探すノート」は、あらかじめ用途が決まっていないノートだ。結果的に、それは検索して見つけ出すことになる。こちらはさらに二つに分けられ、「あることがわかっているノート」と「あることすら忘れているノート」になる。対比的なネーミングでは、パッシブ・ノートになる。
使うノート:アクティブノート
「使うノート」の代表例は、デイリータスクリストだ。
その日のタスクを一枚のノートにまとめ、ついでにチェックボックスもつけておく。日中は常に参照することになるので、独立ウィンドウで表示させて、さらに仮想デスクトップ一つをこれに割り当てている(Macの話)。頻度で言えば、最高の値がつけられるだろう。
デイリータスクリストよりも、少し落ち込むがプロジェクトノートの使用頻度も高い。該当のプロジェクトを実行するたびに、アクセスする必要がある。
さらに頻度は落ち込むが、テンプレートを保存したノートも一週間に一度は参照する。たとえばメルマガの雛形が入ったノートだ。コピペするためだけのノートであるが、いつ・どのように使うのかは(自分の中で)明確である。
探すノート:パッシブノート
「探すノート」の領域は広大だ。そして、ある意味でEvernoteの専門領域とも言える。何に使うか、いつ使うか、どのように使うか、それらが(保存した時点では)明確ではない情報だ。
たとえば、取扱説明書のPDFをEvernoteに保存したとする。おそらくそのノートは「取り扱い方法がわからなくなったとき」に参照するのだろう。が、それがいつなのかは全くわからないし、そもそも参照する機会があるのかどうかもわからない。銀行口座の番号や、何かのパスワードを記録したノートも同じ。
レシートはどうだろうか。
その人が、後から家計簿をつけるためにレシートを保存しているなら、それは「使うノート」になるだろう。しかし、そうではない場合もある。単なるライフログなこともあるし、何かの証拠として残しておく場合もあるだろう。こうした場合は「探すノート」になる。
上にあげた例は、まだ「何に使うか」がある程度明確であった。だから保存していたことは覚えている場合が多い。しかし、それすらも不明瞭になれば、保存したことすら忘れてしまう。そして、たまたま検索して、たまたま見つけるのだ。既知との遭遇である(※)。
※『Evernote「超」仕事術』より
両方存在しうるアイデアメモ
ややこしいのが、アイデアメモである。
ある種のアイデアメモは、使い道がはっきり決まっていることがある。「明日のR-styleの更新に使おう!」、「今書いている本の、第五章に使えるな!」、「すごいくだらないダジャレを思いついたのでツイートしよう」……。こうしたものは、アクティブ・ノートとして扱える。
しかし、アイデアメモの大半は、なんだかよくわからない思いつきである(※)。
※発想には個人差があります。
つまりパッシブなノートなのだ。
一口にアイデアメモといっても、画一的な存在ではない。ブリタニア皇帝は「人は平等ではない」と、クロヴィスへの弔辞で高らかに宣言したが、アイデアメモも平等ではない。
アクセス環境のあり方
なぜ、わざわざ二種類のノートの線引きを行ったのか。
それは整理のためだ。
ようはこういう疑問である。アクティブ・ノートとパッシブ・ノートへのアクセスは同じでよいのか?
私はNoだと思う。
アクティブ・ノートは、すぐにアクセスできた方がいいし、頻度が高いならよりイージーにアクセスできるべきだ。
が、パッシブ・ノートにまでそれを求める必要はない。それをやろうとすると整理行為が破綻する。仮にうまくいったとしても、ほとんど活用されることはない。そこは、検索で十分なのだ。
アクセスしやすさのレベル
アクティブ・ノート用のアクセス環境はいくつか考えられる。
Lv.1
独立ウィンドウで開いておく
ショートカットに置いておく
Lv.2
リマインダーに設定する
Lv.3
そのノートが含まれるノートブック・タグ・検索保存をショートカットに置いておく
※数字が小さい方がアクセスしやすい
ノートを表示するために踏まなければならないステップが多いほど、レベルが上がっていく。が、ステップ数とレベルが対応しているわけではない。最終的には心理的な影響__面倒くささ__も加味される。
「独立ウィンドウ」は言及する必要がないだろう。ノートを開きっぱなしにしておけば、Evernoteにフォーカスを移動する(あるいは仮想デスクトップを移動する)だけでそのノートが表示できる。
「ショートカット」には二種類ある。そのノートを直接置く場合と、ノートブックやタグや検索保存を置く場合だ。長年の使用経験からいって、この二つは違う。引き出すノートがわかっている場合、「ノートブック」→「そのノート」の手順は少しまどろっこしい。
だから、使用頻度の高いノートは、直接ショートカットに置いておきたい。
「リマインダー」は、ノートブックに所属する__と考えられる__ので、アクセス的には、ノートブックの選択→リマインダーからノートを広う、という形になる。すぐに見つけられるが、ワンクッションの手間がある。
合わせ技として、ここに「ノートリンクを使う」こともできる。
たとえば、「独立ウィンドウ」で表示してあるノートに、ノートリンクを表示しておけば、ショートカットにノートが置いてあるのとほとんど変わりないアクセス環境を実現できる。なにせワンクリックだ。逆にレベル3のノートにノートリンクを加えると、レベル4ぐらいのアクセス環境になってしまう。アクセスはできるが、しやすいとは言えない。
詰め込み厳禁
一つ問題があるとすれば、Evernoteを使っている期間が長ければ長いほど、そして保存している情報の範囲が広ければ広いほど、アクティブ・ノートが増えていくことだ。
おそらくEvernoteでデイリータスクリストを作ってる人は少数だろう。しかし、プロジェクトノートなら結構見つかるかもしれない。この二つだけでも、実は結構な数になる。
一番望ましいのは、それらのノートを直接ショートカットに置いておくことなのだが、それをやってしまうとすぐに数が一杯になる。ショートカットに上限があるのかは知らないが(おそらくあるだろう)、仮に100もショートカットに載せれば、目的のノートを見つけ出すのに時間がかかる。全然ショートカットじゃない。
だからある種の選別が必要になってくる。レベルを分けるのだ。
その際、ノートの使用頻度を見誤ると「なんだか使いづらい」ということになってしまう。レベルの設定には注意した方がいい。
自分なりの解決方法
個人的には、上記のようなジレンマっぽいものにぶち当たって、特定のノートをすぐに開けるAppleScriptを書いた。
Evernoteのプロジェクトノートへのアクセスをよくするスクリプト(ジャムスタ)
プロジェクトノートは、ここから即座にアクセスできる。ちなみに、デイリータスクリストにもノートリンクが貼ってあるので、アクセス環境はばっちりである。
使いたい人(Macユーザー限定)は、AppleScirptエディタを開き、上記の記事からコードをコピペして、1行目の
property nb : “002 [プロジェクト]”
の””の中身を、探したいノートが存在するノートブック名に変え、5行目の
tag:\”▼project\”
の部分をノートに付いているタグに変えて(※)、アプリケーションとして保存すればOKである。
※もしノートブックが project タグが must であれば
property nb : “project”
tag:\”must\”
となる
タグが必要なければ、タグの部分をまるっと消してもいい。が、あまり対象のノートが多くなると、ショートカット膨れあがり問題と同じことになってしまうので、ある程度の絞り込みは必要だろう。
さいごに
今回は「Evernoteの整理学」の第一回目として、ノートの種類によるアクセス環境の作り方を紹介してみた。第二回があるのかどうかは不明だが、ある程度は続けてみようと思う。
ちなみに、Evernoteを使い始める前に「このノートはアクティブか?パッシブか?」を考えてもあまり意味がない。事前にある程度わかるものもあるが、大半は実際に運用してから実感を伴ってわかるものだ。つまり、__石原さとみ風にいうと__「ちょっと使ってみ?」なわけである。
では、第二回でお会いしよう。Enjoy your Evernote Life!
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EVERNOTE「超」仕事術 |
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シーアンドアール研究所 2010-08-18 |
EVERNOTE「超」知的生産術 |
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倉下忠憲
シーアンドアール研究所 2011-02-26 |
Evernoteとアナログノートによる ハイブリッド発想術 (デジタル仕事術) |
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