「タスク」の研究

プロジェクトはプロジェクトノートと共に

タスクを実行する際、そのタスクに関する情報が手軽に確認できると便利だ。

前回はどこまでやったっけ?次に何をやろうとしてたっけ?お手本にする文面はなんだっけ?あの人なんて言ってたっけ?

人はすぐに忘れてしまう。確認が必要だ。

その情報を提供してくれるのが「プロジェクト・ノート」である。

この「プロジェクト・ノート」は概念である。そういう商品があるわけではない。もちろん特抄上質紙を使った方眼用紙でもない。

プロジェクトに関する情報をとりまとめたものがあれば、それは何であっても「プロジェクト・ノート」と言える。

GTDにおけるプロジェクト・ノート

GTDで言えば「プロジェクトの参照情報」をまとめておくツールが、プロジェクト・ノートになる。

『ストレスフリーの整理術』でデビッド・アレンは次のように書いている。

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プロジェクトの参考情報とは、プロジェクトについて考えたり、行動を起こしたりするときに助けとなる情報や資料を指す。これらは、行動のリマインダーとは区別しておかなければならない。

つまり、タスクリスト=プロジェクトノートであってはいけない、ということだ。

なぜか?

一つには混ぜてしまうとタスクリストが「濁る」からだ。

実行するかどうかわからない「思いつき」段階のものがタスクリストに混じってしまうと「今はこれをやるべきだ」という確信に陰りが差す。それはタスクを管理できていない、ということだ。逆に、本来実行すべき行動が資料の中に埋もれてしまうことも避けなければいけない。

役割を明確にすることが肝要である。

プロジェクトの参考情報には、参照したい資料もあれば、自身が立てた長期の計画、そしてひらめいたアイデアも含まれる。わりと雑多なカテゴリーだ。もちろん、仕事によってはひらめいたアイデアなど一切必要ないこともあるだろう。どんなものが参考情報になるのかは、自分の心に手を当てて__あるいは過去の記録をひもといて__探してみるのが一番である。

またD/A比にも注意が必要だ。

デジタルの情報が多いのか、アナログ(紙の書類エトセトラ)の情報が多いのか。それによっても最適なプロジェクト・ノートの形は変わってくる。

プロジェクト・シンキング・ツール

デビッド・アレンは、「プロジェクトに関する思考の整理に効果を発揮するツール」として、以下をあげている。

  • メモ
  • メール・データベース
  • 紙の書類
  • ルーズリーフ

メモには、「テキストファイルによるメモ」と「付箋のメモ」が含まれている。プロジェクトそのものを紙で管理しているなら、付箋の方が効果的だろう。基本パソコン、という場合ならテキストファイルの方がいいかもしれない。

その他については、解説の必要はないだろうから割愛する。

上では登場しなかったが、綴じノートもプロジェクト・ノートに使える。むしろ、ネーミング的にはこれが真っ先に想起されるだろう。

『図解 ミスが少ない人は必ずやっている[書類・手帳・ノート]の整理術』では、まさにノートを使った方法が紹介されている。

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といっても、大仰なものではない。(あとで追記できるように)余白を持ちながら、プロジェクトの情報をノートに書いていきましょう、というものだ。最近は機能性ノートもたくさん発売されているので、使い方の工夫はさらに広がりを持つだろう。

ちなみに、私は一冊目の本を書いたとき、A5ノートを使っていた。今は、書籍については同じ方法は無理かもしれないが。

プロジェクト・ノート・ツール

ツールについて、一度整理しておく。

「簡単に使える」ものであれば、以下のようなツールが想定できるだろう。

  • ノート・手帳
  • クリアファイル・封筒
  • パソコンのフォルダ
  • パソコンのメール
  • Evernoteのノート・ノートブック

ノート・手帳

綴じノートや手帳は、身近なツールであるし、持ち運びやすいので使い勝手はよい。

ただし手帳の場合、書き込める量が相当に限られる。仕事のボリュームによってはまったく対応できないだろう。綴じノートであれば、その辺に応用は利く。一冊で全てをまとめてもいいし、特別なプロジェクトに関しては分冊することもできる。紙の資料は、貼り付けることで対応可能だ。

クリアファイル・封筒

参照情報はクリアファイルや封筒を使ってまとめることもできる。

この方法は、紙の資料が多くなるタイプの人には最適であろう。思いついたアイデアは、メモ用紙にでも書き込み、ファイルや封筒に放り込んでおけばよい。簡単だ。計画についてもプリントアウトするなどして、ファイル内に保存しておくことができる。梅棹忠夫氏の「一件フォルダ」に通じる運用方法である。

パソコンのフォルダ

パソコンのフォルダは、たぶん一番ありがちで、実は難しい方法である。

概念的なアプローチは、クリアファイルを使うのと同じだ。プロジェクト名のフォルダを作り、そこに関連するファイルを全て放り込んでおく。データとメモを管理することはできるが、たとえばメール情報や参考にしたいWebページの扱いが難しく、ツールが分離してしまう可能性が高い。そうした情報がないのならば、取っつきやすい方法だろう。

パソコンのメール

「パソコンのメール」と書いたが、基本的にはGmailを意識して書いた。

メールのやりとりが参照情報の大半なら、メーラーで管理するのが一番手っ取り早い。思いついたアイデアについては自身にメールすればいいし、データやWebページも問題なく対応できる。ラベルを使えば、管理も手早く行える。もちろん、メールをあまり使わない場合は、手間がかかるだけだ。

Evernoteのノート・ノートブック

で、Evernoteはというと、電子情報の管理ならこれが一番ざっくりと運用できる。

放り込んでおけばよいだけだし、メールも転送できる。Webクリップはいまさら言うまでもないだろう。管理については、プロジェクトごとにノートを作る、ノートスタックを作る、タグを作る、という方法が考えられる。それについての細かい話は今回はしない。

現状の私は、Evernoteを使ってプロジェクト・ノートを管理している。それはEvernoteが最強だからではなく、私の仕事環境において最適だからだ。

プロジェクト・ノートの効用

もし私が綴じノートを使っているならば、作業を始める前にそのノートを開き、パソコンの横にでも置いておくだろう。Evernoteなら該当のプロジェクト・ノートを独立ウィンドウで表示させておく。

ここまで書いてきて、いまさらだが一体なぜそのノートを開くのだろうか。

一つには、「過去情報の想起」がある。これは上で述べた。思いついたこと、やろうと思っていたこと、実際にやったことを確認する。これがないと、場当たり的に対応してしまうことになる。うっかりミスも増えるかもしれない。クオリティ的にも納期的にも避けたい問題だ。

もう一つの効用

でも、もう一つ、このプロジェクト・ノートには効用があるように思える。

なんと表現すれば適切なのかはわからないが、ここではそれを「自我の想起(recall)」と呼ぶことにしよう。自分を思い出すのだ。つまり、そのプロジェクトを手がけていた自分のメンタルを再現・再定着させる効果がある、ように感じられる。

つまり、「やるべきこと」を思い出す__これは過去情報の想起___だけではなく、「やろうとしていたこと」そのものを思い出すのだ。

この二つは何が違うのか?

「Aというタスクをする」を思い出すのではなく、「Aというタスクをやろうと思っていた」という感覚が蘇ると表現すればいいだろうか。その時の自分が「帰ってくる」のだ。その時のモチベーションと共に。

これがどれだけ普遍的な現象なのかはわからない。私だけに発生していることもありえる。が、少なくとも、第一の効果だけは皆に共通しておきることだろう。これだけでも大切なことだ。しかし、過去の自分のメンタルと同期を取れるのは、__もしうまくいくならば__モチベーション・マネジメントにとってはかなり強力な要素だと言える。

もちろん、過去の自分がやる気を感じていなければ、それを想起したところでモチベーションが湧き上がってくるわけではない。その点には注意してもらいたい。

さいごに

なんであれ、プロジェクトに関する情報は後から取り出せる程度には整理しておく必要がある。

また、単に資料を残しておくだけではなく、行動に関する記録や自分が考えたことなども合わせて記録しておくと、かなりの程度において将来の自分に役立つ資産になるだろう。それらは後からは想起できないものが多いので、記録については意欲的になった方がいい。

では、皆様にHappy Workingが訪れますように。

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