4-僕らの生存戦略

面倒さは、株価みたいもの

津田大介さんの『ゴミ情報の海から宝石を見つけ出す』を読んでいたら、次のような文章に遭遇しました。

そのときポイントになるのは、前章の唯一無二の存在になるための方法と同じく、「面倒くさいからみんなやらないけど、だれかがやらなきゃいけない」ことを率先してやっていくことだとぼくは思っています。

「面倒くさいからみんなやらないけど、だれかがやらなきゃいけない」ことを率先してやっていくこと。

驚くほど共感を覚えます。ふり返ってみると、私自身もそういうことをやってきました。

そして、ふと思ったのです。

これって、将来が期待できる株式を早めに買うことに似ているな、

と。

面倒さの正体

まずは、「面倒さ」を分解してみましょう。

私たちが何かに「面倒さ」を感じるとき、その心理的な内情をシンプルに表現すれば、以下のようになっているはずです。

面倒さ:行為にかかるコスト > 得られる対価

対価は得られるのだけれども、そのために必要なコストが大きすぎる。そういうとき「面倒だ」と表現するのではないでしょうか。不等号が逆ならば、面倒なんて言わずに積極的に行動するでしょう。また、得られる対価がゼロと感じているならば「面倒」とは表現しないはずです。

「面倒」という言葉には、対価に見合わない行為、というニュアンスがあるのです。

気づかれていない価値

しかしながら、「行為にかかるコスト」にせよ、「得られる対価」にせよ、それらは人間の認知でしかありません。つまり、誤りが含まれている可能性が大きいのです。それも、私一人の認知だけではなく、世界中の人々の認知に誤りが含まれている可能性があるのです。

考えているよりもコスト__金銭以外も含む__はかからないかもしれませんし、もっとかかるかもしれません。得られる対価も上下にいくらでもブレます。

「面倒くさいからみんなやらない」

という状況は、もしかしたら「みんな」が、得られる対価の算出を誤っている可能性があるのです。そこに、何かが眠っている可能性があるのです。それをせっせと掘り起こしていけば金脈に遭遇する。そういうことが、あり得るのです。

それは、今はだれもその価値に気がついていないけど、将来ぐんぐん伸びる企業の株式を早い段階で買うのに似ています。

レッドオーシャンの見分け方

逆から見てみましょう。

「こうすれば、こういうメリットが得られますよ」

と先駆者が提示してくれたものは、すでに「面倒くさいからみんなやらない」ことではなくなりつつあります。すでに豊かな金脈ではないのです。むしろ、発掘人が押し寄せる鉱山になっています。
※もちろん、頭の回る人はそこで金を掘るのではなく、ジーンズを売るでしょう。これも「面倒くさいからみんなやらない」ことです。

経済系の雑誌で「今人気の株式」として紹介されているものは、だいたい手遅れなのです。すでに美味しい場所は通り過ぎて、売り時を探る時期に入っています。バフェットなら見向きもしないでしょう。

「面倒ではないもの」は、掘り返されてはげ山になっていたり、高値が付きすぎているのです。時間を投資する対象としては、あまりよろしくありません。

博打に似た行為

しかし。

わざわざ株式の話を持ち出したのは、それが「絶対に成功するものではない」からです。

つまり、「面倒くさいからみんなやらないけど、だれかがやらなきゃいけない」ことをやっていたら必ずうまくいく、とは言えないということです。もしかしたら、それは本当にただただ面倒なだけのことかもしれません。みんなの認知が正しかったのです。そういうことは、十分ありえます。

株式だって、安い株を買えば、それが必ず上がるとは限りません。利益を上げるには安い株を買う必要がありますが、安い株を買ったからと言って儲かるわけではありません。当たり前の話です。

なので、「面倒くさいからみんなやらないけど、だれかがやらなきゃいけない」ことに時間の投資をするのは、一種の博打です。少なくとも、「成功するかどうか」で測定した場合、そういう側面がどこかしらには出てきます。

だからこそ、「面倒くさいからみんなやらないけど、だれかがやらなきゃいけない」ことなのです。

つまり、自分の認知の中で「だれかがやらなきゃいけない」と感じていることをやろう、というお話です。株式で言えば、「この企業は価値あることをやっているけれども、過小評価されている」と思う株式を買え、というお話です。

そうすれば、何一つ基準を持たないで株式を選ぶよりは「成功率」は高まるでしょうし、仮に失敗しても__思うような成果が上がらなくても__納得感みたいなものは得られるでしょう。そうであれば、ぐちぐち言わなくて済みます。

さいごに

インターネットの世界における「面倒くさいからみんなやらないけど、だれかがやらなきゃいけない」ことは、便利さとしてよく表出してきます。

「セール情報をいち早く取り上げる」「攻略情報をまとめる」「新作アプリを紹介する」「有用なテクニックを開示する」……

これらは全て「面倒くさいからみんなやらないけど、だれかがやらなきゃいけない」ことから始まっていたはずです。誰かにとっての便利になる。こういう方法論です。

でも、必ずしも「便利さ」だけがルートではないでしょう。人をまとめる場を作ったり、何かのアドバイスをしたり、検証を続けたり、といろいろな道のりはありそうです。ともかくそれは、その段階では価値を十分に認められていないものにはなり得るでしょう。世の中が騒ぎ立ていない何か、です。

「面倒くさいからみんなやらないけど、だれかがやらなきゃいけない」こと

さっそくはじめてみませんか。

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