断片からの創造

SCAMPERブレストカード、発想の癖、ゲームの効果

「SCAMPERブレストカード」が以下の記事で公開されていました。

【ブレストTool配布】SCAMPERブレストカード(石井力重の活動報告)

シンプルかつ、用途が広そうなブレストToolです。

使い方は記事にも書かれていますが、

1)印刷して余白に思い浮かんだことをどんどん書き込む。次第にもっとアイデアができます。
2)印刷して六角ますをカード状に切り、ブレスト中に、ランダムにさっと引いて、発想の刺激にします。

がよいでしょう。

すこしアレンジすると、PDFをiPadに送り、UPADなどの手書き系アプリで開いてばんばん書き込んでいく使い方もできるはずです。

また、MacのDelineatoやScappleといったフリーライティングツールで表示させて使うのも面白いかもしれません。

screenshot

発想の負荷と癖

少し話を変えます。

上に引いた記事では、「SCAMPERブレストカード」の配置が持つ意味について解説されていました。

中心から外側に向かうほど、認知負荷が高い(発想のハードルが高い)。だから、内側から順番に発想していくことで、徐々に頭の回転数を上げていく。

そういう効果が期待されています。

「発想の種類によって認知負荷が違う」

これは実体験からも十分頷ける話なのですが、その並びに驚きました。

M(修整、拡大・縮小)
C(組み合わせ)
E(省略・削除)

A(適用)
P(ほかの使い道)

S(代用)
R(逆・再構成)

傾向として、下のブロックほど認知負荷が高い発想とのこと。

驚いたのは、私がだいたい最初に思いつくのが「P(ほかの使い道)」や「R(逆・再構成)」という点です。It’s 天の邪鬼.

どうやら私は普段から高負荷な発想を行っているようです。あるいは、私にとってはそれが低負荷な発想なのかもしれません。上の並びはあくまで傾向であり、個々人の負荷を完全に規定するものではないでしょう。

発想が個人の脳に由来し、脳がそれぞれ違っていることを考えれば、発想に「癖」があってもおかしくありません。

ブレストツールは、その発想の癖を調整するためのものでもあります。

ある人の発想は、だいたいMやCばかりで、AやRがない。別の人はPやSをうまく使うが、EやMが不足している。それはつまり、全面的にアイデアが検討されていないということです。その検討されていない部分__発想の死角、と呼びましょう__に光を当てる。そういう効果もブレストツールには期待されるのです。
※もちろん、光が当たっている部分により強く光をあてる効果もあります。

ということは、標準的なブレストツールからスタートして、そこに自分の発想の傾向を加味した調整を加えていくことが、より効果的なブレストツールを生み出すことにつながるのではないか、という仮説がぼんやりと浮かんできます。それはまるで、バッターの体重や身長や手の大きさを加味して、その人がスイングしやすいバットを作るような、そんな感覚です。

自分が得意としているものはそのままで(あるいは少し減らして)、自分が不得意としているものはより詳細に掘り下げて。こういう調整ができれば、より使いやすい形になるのではないでしょうか。もちろん、そのかわりとして汎用性は失われます。それは避けられないトレードオフです。

以前考えていたアイデア

また話を変えます。

実は、少し前、ボードゲームをモチーフとしたブレストツールを考案していました。

モノポリーのような四角形の外周をぐるっと回るようなボードを使い、サイコロを振ってコマを進めていきます。マス目には発想トリガーが書かれていて、止まったプレイヤーはそれに従って発想を進めます。その結果は、ボードの中央部分(ホワイトボードになっている)に書き込みます。うまく発想できれば、ゲームを有利に進めていけるカードがひける。なんからのポイントを一番最初に規定数に到達させたプレイヤーが勝利。

こういうゲームです。

これはこれで面白そうではあるのですが、ツールの自由度という点ではあまり広がりがありません。SCAMPERブレストカードと違って、使い方は基本的に一通りです。

もちろん、アレンジする余地はあるでしょう。

マス目に発想トリガーを直接書くのではなく、「Sカードを引く」(※)といった指示を書いておけば、カードの組み合わせを変えることで、発想の用途を変えたりアレンジ可能性を広げられます。さまざまな発想トリガーカードを、拡張パックとして販売すれば、ビジネス的にも……という話はまあいいです。
※カードに発想トリガーが書いてある。

さいごに

どういう形であれ、「ゲームとブレスト」はなかなか相性が良いと感じています。

それはよく言われるゲーミフィケーションの効果を期待することもありますが、それ以上にゲーム化することで(言い換えれば、発言するというロールを割り振ることで)、普段思いついたことをなかなか口に出さない人の意見を引っ張り出すことができそうだからです。おそらく、これは(乱暴な言い方ですが)内気な日本人には特に効果があるような気がします。

結局の所、人というのは、自己で規定した他者から期待されるであろう役割に従って行動しがちなので(「余計なことは言わない方がいいな」)、その役割を認識の中で上書きできれば、単純に考えても、出てくるアイデアの数自体はぐっと増えると思います。

まず、最初の一歩はそこからですね。

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