【書評】なぜ、仕事が予定どおりに終わらないのか?(佐々木正悟)

以前、TaskPortというタスク管理アプリを使っていたときに、驚いたことがある。

時間が全然足りないのだ。

「あれもやろう、これもやろう」と、今日やることをドンドン追加していく。TaskPortでは、タスクに「時間の見積もり」を加えなければならないので、それをやってみる。すると、こうなる。

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一分たりとも休みを挟むことなく、何一つ割り込みが発生することなく、かつ全てのタスクが見積もり時間通りに終わったとして、約10時間。もちろん、これ以外にも昼食を食べたり、トイレやお風呂に行ったりする。

もし、私がこのタスクリストを完璧に遂行しようと思えば、Twitterなど覗いている時間はいっさいない。一心不乱にタスクに専心しなければならない。

でも。

「あれもやろう、これもやろう」と考えているときは、もっとイージーにそれが実現できるような気がするのだ。「午前中は、あれとこれ。午後にそれとあれをやって、夕方にあれを……」と、理想的な一日ができあがっていく。頭の中に。でも、それはあまりに理想的すぎるのだ。つまり、現実味を欠いている。

こうした状況は、「時間が足りない」というよりも、「やろうとしていることが多すぎる」と表現した方が適切だろう。終わりようのない予定を立てているのだから、終わりようもない。

なぜ、仕事が予定どおりに終わらないのか? ~「時間ない病」の特効薬!タスクシュート時間術
なぜ、仕事が予定どおりに終わらないのか? ~「時間ない病」の特効薬!タスクシュート時間術 佐々木 正悟 大橋 悦夫

技術評論社 2014-04-09
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※献本ありがとうございます。

「なぜ、仕事が予定どおりに終わらないのか?」

私たちには時間が見えてないからだ。特に、手持ち時間がまったく見えていない。

概要

本書は、いつも「時間が足りない」とぼやいてしまう人のための本である。

もちろん、時間を二倍にするようなマジックもなければ、「二倍頑張る」という精神コマンドを発動させたりもしない。その辺りは、著者の本をいくつか読んだことがある方なら容易に推測できるだろう。

Chapter 1「なぜか時間が足りなくなる4つの原因」では、時間が足りなくなる現象の原因が突き止められ、続くChapter 2〜5を使ってその対策が解説されていく。

ちなみに4つの原因とは以下である。

  • ムダにできる時間がほとんどないことに気づかずに、時間をムダにしている
  • 割り込み仕事や他人からの頼まれごとが入ると、ついそちらを優先してしまう
  • いつも意識だけはしているのだが、手をつけるのが面倒で、先送りを繰り返す
  • 完璧な成果を求めすぎて、90%の時間で10%しか終わらない

私は、多くの問題が1つめの原因によって引き起こされていると考える。これに対処できるだけでも、「時間ない病」は完治せずとも、ずいぶん症状は軽くなるように感じる。少なくとも、実体験ではそうであった。

本書では、これらの問題に対して「タスクシュート式」での対処を提言する。もう少し言えば、なぜTaskChuteが効果的なのかを、タスクシュート式という概念を用いて解説している。

ここでひとつややこしい問題が出てくる。「タスクシュート」と「TaskChute」は何が違うのだろうか。

「タスクシュート」と「TaskChute」

「TaskChute」はExcelベースのタスク管理ツール__とりあえずこう呼ぶことにする__の名称だ。
TaskChuteにて入手できる。

そして、「タスクシュート」はTaskChuteによって実現される「タスクの回し方」__つまり方法論の名称である。

TaskChuteによって、タスクシュートが生まれたことは確かだが、必ずしもタスクシュートは、TaskChuteを必要としない。別のツールによる実体化は可能である。
※ただし、今のところ他に最適なツールは見当たらない。

では、タスクシュート式とはどのようなものだろうか。

Chapter 2では、タスクシュート式の基本的なルールが開示されている。

  • 「本日1日分の仕事」を1シートで管理する
  • 「これからやる仕事のリスト」と「ここまでにやった仕事のリスト」を一元管理する
  • 「1分以上時間のかかること」はすべて管理する
  • すべての仕事の「見積もり時間」を出しておく
  • 「本日1日分の仕事」がすべて終わったら何時になるのかの予測を自動算出することで、常に仕事の終わる時間(または就寝時刻)をリアルタイムに把握する

これは、同じ著者の「1日1箱仕事術」の発展版と呼んでよいだろう。本書では、このルールがなぜ必要なのかも解説されていく。

もしかしたら「ここまでやるのか」と思う人が出てくるかもしれないが、その心理的ギャップを埋めるための説明も行われている。ただし、それが功を奏しているかはわからない。著者の説明不足ではなく、理屈では届かないものがあるせいだ。時間を見たくない人に、時間を見せることはできない。

「時間が見える」とは、もちろん現在時刻がわかることだけを意味してはいない。

  • この作業にはどれだけの時間がかかるのか
  • これらの作業にはどれだけの時間がかかるのか
  • 他にどのような作業が時間を埋めているのか
  • この作業を先送りしたら、先の時間がどのようなことになるのか

こういったことが見えるようになることだ。

これらが見えるようになると、いろいろな「無理」も見えてくるようになる。

さいごに

位置づけは付録であるが巻末の「TaskChute 誕生秘話」が存外に楽しめた。

「格闘ゲームのように、仕事でも残り作業ゲージが常に見えるようになっていたらいいのに」

これこそ、アイデアである。

もし私たちが、常に自分の体重が見えていたとしたら。あるいは全財産が見えていたとしたら。きっと食事や買い物に変化が生まれることだろう。とった行動による変化がわかるということは、フィードバックがある、ということだ。それが人の行動を__もう少し言えば行動を引き起こす意識を__変化させる。

私たちは肉体が意識せずとも与えてくれるフィードバックに慣れすぎている。コーヒーカップを掴もうとして、掴めなければそれとすぐわかる。でも、一週間前に先送りしたタスクのせいで、今の忙しさが引き起こされている、ということはなかなかわからない。昼間Twitterに夢中だったせいで、就寝時刻が30分も後ろにずれ込んでいることに気がつかない。

それを知るためには、記録が必要なのだ。

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Rashita
物書きをやっております。実用書から小説までなんでもござれのハイブリッド物書きです。 ライフハックや仕事術、知的生産などに興味があります。

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