先日発売した以下の電子書籍。
遠くて近い場所、近くて遠い場所 (WRM エッセイ集) |
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倉下忠憲
倉下忠憲 2014-05-29 |
AmazonのKDPによるセルフパブリッシングです。
KDPはさまざまなファイルのアップロードに対応しているのですが、今回はEPUBファイルを選択しました。なんだかんだで定番ですし、多ストアへの展開(予定は未定)を考えるとやはりEPUBの選択が一番でしょう。
「でも、EPUBファイルの作成って難しいんじゃないですか?」
という方のために、上記の本を作った手順を記しておきます。一通りお読みいただいて「これならできるかも」と思われるか「やっぱ無理」と思われるかはわかりませんが、何かしらの参考にはなるでしょう。
話が長くなりそうなので、何回かの連載にわけます。最初に概要を説明し、その後細かい話へと移っていきます。とりあえず本稿だけでも読んでいただければ、EPUB作りの雰囲気は掴めるでしょう。
では、はじめます。
全体像
次の画像をご覧ください。全体の大まかな流れを示しています。
原稿ファイル
まず、原稿ファイルはScrivenerで管理しました。
Scrivener
カテゴリ: 仕事効率化, 教育
今回の本は、過去のエッセイをまとめたものでしたので、Evernoteから過去原稿を探索し、必要なものをScrivenerに移しました。誤字脱字の修正などは、このScrivener上で行っています。
そうしてまとめあげた原稿を、Scrivenerのコンパイル機能からtxtファイルとして出力。これで、原稿データに関する部分はOKです。
表紙画像
表紙画像はPixelmator で作成。cover.jpgで出力しました。
Pixelmator
カテゴリ: グラフィック&デザイン, 写真
EPUB化
そうして完成した二つのデータを、「でんでんコンバーター」にアップロードして、EPUBファイルに変換してもらいます。
一応この段階でEPUBファイルはゲットできるのですが、細かい部分に手を入れるために、もう少し手順を加えます。
でんでんコンバーターからダウンロードしたEPUBファイルをzip形式に変更し、一度解凍。そこで中に含まれているxhtmlファイルや、cssファイルをちょこちょこいじります。この辺りはHTMLやらなんやらの知識がないと若干お手上げです。そうして修正が完成したら、ふたたび圧縮をかけます。
EPUBファイルとして機能させるためには、少々特殊な圧縮が必要なのですが、それほど難しい作業ではありません。EPUB用の圧縮のツールも存在しています。が、私はMacのターミナルから2行ほどのコマンドを走らせて作業を終わらせました。
こうして完成したEPUBファイルを、KDPのサイトにアップロードすれば完成です。
細かい部分はかなり省略しましたが、おおよそこのような流れで電子書籍(EPUBファイル)を作成しました。
前作は?
ちなみに、エッセイ集シリーズ第一弾にあたる『赤魔導師の白魔法レベルぐらいまでは』もKDPであり、EPUBファイルを提出しました。
赤魔導師の白魔法レベルぐらいまでは (WRM エッセイ集) |
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倉下忠憲
倉下忠憲 2013-08-25 |
その際は、Scrivenerから(txtではなく)EPUB出力し、sigilというツールを使ってそのファイルを編集しました。上で紹介した手順に比べると、かなり工程が減っています。が、この方法はあまりオススメできません。
Scrivenerやsigilで扱えるのが少し古いタイプの形式であるから、というのがその理由なのですが、テクニカルな話なのでそこは割愛します。とりあえず、作ったエッセイ集が横書きであり、ルビなどもまったく使わなかったので、「一応は問題なかった方法」と認知しておいてください。
もし、作りたい電子書籍が同じような形式であるならば、上記のツール(Scrivenerやsigil)を使ってEPUBファイルを作ることも「一応」できますし、まだ今のところはそのEPUBファイルでも「とりあえず」KDPにアップロードして電子書籍として販売できます。
さいごに
今回は、制作の大きな流れを紹介しました。
次回はScrivenerからでんでんコンバーターへの流れについて書いてみます。
▼こんな一冊も:
KDPではじめる セルフパブリッシング |
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倉下 忠憲
シーアンドアール研究所 2013-12-21 |
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