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セルフ・パブリッシングまわりのあれこれ

Posted on 2014 年 6 月 25 日2019 年 6 月 23 日 by Rashita
Tag:
  • 「本」の未来
  • ,
  • セルフ・パブリッシング
  • ,
  • 電子書籍

2013年の1月ごろに「電子書籍についてのあれこれ(2)」なんて記事を書いたのだが、ここ最近、自己出版のアラウンド・ビジネスが少しずつ生まれているようである。

それは、基本的には良いことだろう。いくつかの選択肢はあった方がいい。

さて、自分がセルフ・パブリッシングをしてみたり、あるいは他の人の話を聞いていて、ぼんやりと思い浮かぶことがある。今回は、それについて書いてみたい。

再確認

これまで「出版」と関わり合いを持たなかった人が、本を作ってみる。すると、一つの発見をするはずである。書店で普通に売られている本が、いかに手間をかけて作られているのか、ということを。

実際私も一冊目の本を書いてみて、「こんなに多くの人が動いているんだ」と改めてびっくりしたものである。もちろん、漠然とした「業界」のイメージはある。でも、やっぱりそれは漠然としている。フォーカスが集まるのは「作家」であり、その人がちょちょいと原稿を書き上げれば、「本」ができあがるような気がするのだ。

でもまあ、そんなものではない。編集作業から始まり、最終的な流通の書店に着くまでの間、「本」はさまざまな工程を通り抜けてくる。もちろん、そこには人手(というコスト)がかかっているわけだ。そうした本が、手に取れる価格で販売できるのも、ある程度の販売規模が望めるからである。でなければ、コスト感はまったく合わない。

また、自分で本を作らない人でも、今後はKDPなどによるセルフ・パブリッシング本に触れる機会が増えてくるだろう。おそらくそういう本と対比してみることで、「なるほど。出版社の価値というのは、この差にあるんだな」と発見するかもしれない。何気なく読んでいる本も、やっぱり商品として磨かれて書店に陳列されているのだ。当たり前と言えば当たり前のことだが、案外、そういう舞台裏は一般的な読者からは見えづらいかもしれない。

そういう意味で、今後は組織としての出版社ではなく、「本作り」という出版社が有する機能が、改めて評価されるようになるかもしれない。

エディット

「本作り」の機能というと、やはり編集が真っ先に思い浮かぶだろうか。

しかし、日本の「編集者」さんはびっくりするぐらいマルチプレイヤーである。何でも屋というといささか乱暴だが、本当にいろいろな作業を担当される。それをざっくり考えていると、微妙に捉えにくくなるので注意が必要だ。

まず、書かれた原稿を読み、修正点・問題点を指摘する作業があるだろう。広く捉えれば、校正をここに加えてもよい。

クリエーターが増えていくならば、この作業を担当する人もどうしたって数が必要になってくる。ゴルフ・プレイヤーが増えれば、キャディーさんも必要になるのと同じである。

ただしキャディーさんも単にクラブを渡してくれるだけの人もいれば、そのコースの攻略法までアドバイスしてくれる人もいる。文章の修正にも同様にレベルがある。誤字脱字を指摘するだけのレベルから、文章の構成にまで踏み込んでくれるレベルだ。これはもうエディットというより、コンテンツ・デザインの領域である。当然、後者の方がコストはあがる。

販売数が一定であれば、コストがあがるほど、本の販売価格も上げざるを得ない。市場の摂理である。問題は、文章修正にコストをかけたところで、販売数が爆発的に上がることは、いささか考えにくい点である。特に、コンテンツそのものがニッチであれば、どうしたって上限はあるだろう。

しかし、あまりにも手を抜くと、売れるものも売れなくなる。悩ましい。

ディレクション

こうした文章レベルの編集だけではなく、もう少し広い視野もある。

たとえば、クリエーターに企画を提案したり、逆に企画を立ててからクリエーターを募集するような存在だ。メタ・クリエートと言ってもよいかもしれないが、ここでは単にディレクションとしておこう。

文章をエディットする人のニーズはこれから高まるだろうが、ディレクションを行う人(ようするにディレクター)は、きっと「注目」されるようになる。なにせ舞台を整える人なのだ(誰かの顔が思い浮かんだかもしれない)。舞台があるからこそ、始まるダンスがある。

一体何が原因なのかはしらないが、ディレクションを行う人は数が少ない。文化特性なのか、そもそもそういうものなのか、責任という言葉に関係があるのか、それはわからない。とりあえず希少種なのだ。

もしかしたらディレクションを行っている人も、意気揚々と「この指とまれ」と言っているのではなく、他にどうしようもなかったから舞台を整えているだけなのかもしれない。

ともあれ、イケダさんの本ではないが「旗を立てる人」はこれから重宝されることだろう。

作家育成

出版には、「本作り」だけではなく「本売り」の機能もあるわけだが、それについては割愛しよう。話しだすとキリがなくなる。

ただ、もう一つ、出版社が持つ「作家を育成する」という機能については、広い意味での「本作り」に位置づけることができるだろう。これは決して無視できない。

『月刊群雛』への寄稿で、書ききれなかったのはこの部分である。つまり「(セルフ・パブリッシング)作家の育成はどうするのか?」という問題だ。

この問題を、

「誰が作家を育てるのか?」

と捉えてはいけないような気がしている。もちろん、そういう問いの立て方もあるのだろうが、私は、

「どうしたら作家が育つのか?」

と考えた方がよいと思う。つまり、何か大きな組織体が作家を囲って育成していく、というだけが方法ではないだろう、と感じているわけだ。同じように作家セミナーを開催すれば良いというものでもない。

セルフパブリッシング作家同士が、お互いの作品を読み合って校正を交換しあうというのもあるだろう(もうあるのかもしれない)。あるいは、前に『アリスの物語』の監修PDFが公開されたが、あれがすごく勉強になったという人もいるはずだ(一番勉強になったのはもちろん私であるが)。

そういうものの数が増えていけば、作家が(自ら)育っていける環境が生まれるような気がする。もちろんそれは、専業作家の濃密な学びとは違うかもしれないが、一つの形ではあろう。

ただしこの話はあくまでスキルの向上に限定されている。「人気作家から生まれた売り上げを、新人作家への投資に回す」といった利益の再分配による「いかにして作家を食わせるか」とはまた別の話であることは注意されたい。

それについては、他者に評価される力を持った人ならば、クラウドファウンディングの類が活用できるだろう。汎用性はやや低いかもしれないが。

あるいは、基金的なものを立ち上げる……のは、あまり現実的ではないだろう。

さいごに

何一つまとまりない話で申し訳ないのだが、最近考えていることをざっくりと書いてみた。

セルフ・パブリッシングで100万部売るとか、そういう話は(あまりにも例外過ぎるので)どうでもよい。ただ、(専業ではない)セルフ・パブリッシング作家が継続的に活動を続けていく上での環境作りというのは、結構重要だなと感じている。

あと蛇足になるが、「出版」に過剰な期待をしたり、甘すぎる夢はみない方がよい。本作りはとてもとても楽しいが、それが売れるかどうかはまた別の話である。電卓を叩く力も、時には必要になってくる。

▼参考リンク:
『月刊群雛2014年07月号』に寄稿しました(R-style)
「ライトなラノベコンテスト」最優秀賞の倉下忠憲さんにインタビューしてみた (INTERNET Watch)

▼こんな一冊も:

KDPではじめる セルフパブリッシング
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