7-本の紹介

熱狂的なファンを生む「成城石井」の姿勢

以下の本を読みました。

成城石井はなぜ安くないのに選ばれるのか?
成城石井はなぜ安くないのに選ばれるのか? 上阪 徹 織田桂子

あさ出版 2014-06-24
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※献本ありがとうございます。

ストレートに小売業のお話としても楽しめるのですが、メディアの運営__たとえばブログについて学べることもあるような気がします。

今回はブロガー視点で、「成城石井」のエッセンスを取り出してみましょう。

味や品質はもちろん、原材料や安心安全のこだわりの食材を求めるあまり、世の中になければ自分たちで作ってしまおう、となったという。

「読みたいブログがなかったら、自分で書け」

というやつですね。これってかなり重要だと思います。だって、そこには(小さいながらも)はっきりとしたニーズがあるのですから。

もちろん、「自分たちで作ってしまおう」は面倒ではあるのですが、「やっぱり、このブログだよね」と思ってもらえるような存在になるためには、その面倒さのハードルを乗り越える必要があるのでしょう。

興味深いのは、儲けよう、という発想ではなかったことだ。本当においしいものを、こだわったものをとことん突き詰めよう、というところから、成城石井は品揃えを考えた。それが結果として、他者が真似できない仕組みや品揃えにつながったのだ。

ブログでも、「あぁ、儲けようとしているな」と感じるものは、だいたいレイアウトやら広告の貼り方やら、紹介する商品などが似てきますね。別にそれが悪いわけではありませんが、差別化という点で弱いことは確かでしょう。印象に残りにくい。

「こだわったものをとことん突き詰めよう」としていると、だんだん<歪み>が出てきて、結果的にそれが個性となります。そのグルーヴィーな<歪み>は他の人が真似をしようと思ってもできるものではありません。

「本当においしいものを提供する。それが一番大事なことだと思っています。これは私自身もそうなんですが、おいしいものを食べちゃうと、もう戻れないんですよ(笑)。成城石井のこだわりを理解してくださる方が増えたというのは、それだけおいしいものを求める方が増えたということだと思っています」

言及は避けますが、まあ、そういうこともあるのでしょう。

背景には、基本をしっかりやっていれば、結果は後からついてくる、という思いがあるという。逆に結果だけを追いかけようとすると、基本がおそろかになるというのだ。

ブログにおける「基本」って何なんだろう、と一度じっくり考えてみたくなりました。成城石井の四つの基本は、挨拶、欠品防止、鮮度管理、クリンリネスだそうですが、ブログにも似たようなものがあるでしょうか。

たぶん、あると思います。そして、その中に炎上は入ってこないとも感じます。

とりあえず華やかなテクニックに比べればまったく見栄えのしない「基本」を、どれだけしっかりやれるか、ということなのでしょう。

「自分の考え方が大きく変わりました。路面店のスーパーマーケットとは、売れるものがまったく違ったんです。その一方で、それまで成城店をはじめとして、お客様のニーズに答えようと一生懸命に取り組んできたワインやシャンパン、チーズ、総菜といった成城石井独自の品揃えが大きく活きたんです。

駅の改札口のすぐ隣にある、それほど店舗面積が広くないスーパーと、路面店のスーパーとは売れる物が当然違います。お米とか大容量のお醤油だとかは、駅なんかでは買わないわけです。

そんなことはちょっと考えてみたらわかるだろう?

たしかにそうかもしれません。でも、それと同じ考え方を用いると、きっとワインやチーズなんかも売れないに違いないと判断され、スーパーの出店そのものが無くなってしまうでしょう。でも、実際はこれらの商品は大いに売れたわけです。もちろん、そこに売れた理由もあるのでしょう。後から考えれば。

何が人気になるのかを前もって予測することはできません。

できるのは仮説を立て、実行し、結果を受けて修正することです。後は、それと止めどなく続けていくことです。これこそ「言うは易く行うは難し」の典型例かもしれません。

「(前略)最初から飲食の経験者を入れたり、コンサルタントに入ってもらったら、今ある飲食店と同じになってしまうじゃないですか。そうじゃなくて、料理にしても、給仕にしても、接客にしても、ワインの提供の仕方にしても、自分たちが築き上げてきた成城石井なりのやり方があるんです。これまでと同じような店を作っても、まったく面白くもなんともない」

あきれるぐらい非効率的なやり方であり、驚くぐらい矜持を感じるやり方でもあります。

とにもかくにも、「まあ、これでいいか」という妥協をしない。チャレンジをして、新しい価値を生み出そうとする姿勢が窺えます。

当然、上のやり方で作られた飲食店はオープン初日から大混乱だったそうです。飲食業の素人が集まって作ったお店なんですから、当然の帰結ですね。でも、そこから少しずつリカバーしていった。で、結果的に他の飲食業とは一風異なったお店ができあがった。

注目したいのは、そうした独自のお店を築き上げたという結果ではなく、そこに至るまでのプロセスの特異性です。そのプロセスの特異性抜きに結果だけに注目してしまうと、何かしらを見落としてしまうことでしょう。

さいごに

全体を通してみると、私がよく言っている「隠れ家ブログ」の作り方に通じるところがあるような気がしてきました。

もちろんこれは、ガンガンPVを集めるブログの作り方ではありません。(固定的な)ファンを生み出すための方法です。方法、というか姿勢と呼んだ方がいいかもしれませんね。

ブログというのは、基本的にどんなやり方だってできる場です。それはつまり、個人の<歪み>を存分に受け止めてくれる場でもあるということです。

「オリジナリティー溢れるブログを作ろう」、というのではなく、自分が良いと思えるものをとことん追求していくのが、結果的にオリジナリティー溢れるブログへとつながっていくのかもしれません。

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