「ネイティブ広告」という単語を、タイムラインで見かけたんですが、イマイチよくわかっていません。
ネイティブ広告を「ステマじゃない」と擁護したり「正しく理解」させようとしたり「定義」したりする前にすべきことがある(見て歩く者)
上のエントリーで紹介されている記事もいくつか読んだんですが、それで何かがわかったかというと、むしろ混乱が深まったような気すらします。
「ネイティブ広告」という概念自体も、その論点も捕まえきれていないので、軽やかにスルーするのが得策かと思いますが、今後ブログ界隈でも問題が上がってくるかもしれないので、ちょこっとだけ考えておきます。
「ネイティブ広告」の議論は、とっとと終わらせよう!――混乱を招く5つの誤解――第1回(AdverTimes)
しかし米国のネット広告協会(IAB)が2013年12月に発行したレポート「THE NATIVE ADVERTISING PLAYBOOK」を見てみると、「ネイティブ広告の6つの分類」が提示されています。
上の記事によると、一口にネイティブ広告といっても、いろいろあるようです。
- 「フィード型・記事広告型」
- 「検索結果に表示」
- 「おすすめ枠に表示」
- 「一覧リストで表示」
- 「広告枠にコンテンツを表示」
- 「その他」
「その他」の中にはLINEスタンプなどが含まれているようです。たしかに企業のロゴ、あるいはイメージキャラクターのスタンプはある種の広告的効果があるでしょう。そして、それ自身が一つのコンテンツであることもたしかです。「ネイティブ広告」の事例としてわかりやすいですね。
そこから、ネイティブ広告=記事広告、という理解はあまりに単純という話はわかります。でも、ネイティブ広告の中に記事広告が含まれていることもたしかです。
ブログ界隈で問題になるのはもちろんこの「記事広告」に関することでしょうから、それに話を絞っていきましょう。
賛否両論「ネイティブ広告」って何? それは記事か、広告か(The Page)
上の記事では、二つの視点があります。一つは「ネイティブ広告を規制すべきかどうか」。もう一つは「読者は、記事か広告かをそんなに気にしていないんじゃないか」。
これは心に留めておきましょう。
日本の「ネイティブ広告」は、もっと真剣にネイティブにならないと読者にステマ広告扱いされてしまうんではなかろうか(tokuriki.com)
従来のいわゆる「マス広告」的な企業側が伝えたいことを一方的に伝えようとする手法が上手くいかなくなっているからこそ
読み手にとって有益な情報を企業側が作るというコンテンツマーケティングが重要な時代になり
そのコンテンツをスポンサードして読者の目に触れやすくするという新しい広告手法として注目されている、わけであって、その根本を理解していないネイティブ広告はやっている手法だけネイティブ広告っぽくても、結局マス広告手法から抜け切れてないのノンネイティブ広告になってしまっているのでは無いかと言うことです。
旧来の手法で作られた「ネイティブ広告」は、全然ネイティブじゃないよね。というお話だと思います。
本来広告が置かれるスペースではなく、コンテンツが置かれる場所に「広告」を置きたい。そうすれば、読者に読んでもらえるから・知ってもらえるから。そのために__つまりコンテンツが置かれる場所に「広告」を置くために__は、きちんと作られたコンテンツでなければ意味がない。こういう理解でよいでしょうか。
「きちんと作られたコンテンツ」とは、読者にとって有用な情報が含まれていたり、面白く読めたりするコンテンツを意味するのでしょう。一般的な広告は、テレビショッピングのトークのようなもので、「買ってもらう」ための情報(あるいは誘導因子)しか含まれていません。そういうもので構成されたコンテンツは、フォーマット的に「ネイティブ広告」であっても、本来のそれとはズレている。ということなのだと思います。
たしかに、理想としてはそうなのでしょう。
でも、それをうまく切り分けることができるかというと難しいところです。コンテンツの皮を被った旧来の広告を「それはネイティブ広告じゃない」と切り捨てたところで、そういう記事が存在しうる可能性は消せません。「ネイティブ広告」の定義を厳しくしてネイティブ広告っぽいものを疎外したとしても、読者と記事と広告が抱える問題は以前残ります。
むしろ、そういう言葉が出てきたことで「しめしめ。よい隠れ蓑ができたわい」と考える人たちも出てくるかもしれません。
ざっくり学ぶ!ネイティブ広告:記事広告との違いから今後の展開まで(gotamag)
上の記事でははっきり書かれていて、
一方、ネイティブ広告は広告であることの明示がルールになっている。
というのは、非常にわかりやすいですね。
少なくともコンテンツの制作がメディアであろうがブランドであろうが、それが広告であることが明示されていれば、問題はさほど大きくならないでしょう。
記事で紹介されているツイートに
「なぜなら基本的には企業側が自ら作り上げたコンテンツを広告枠に出すものなので。」
というものもありますが、これもわかりやすいです。ただ、「広告枠に出す」という部分に微妙に引っかかりを感じます。
一般的に「広告枠」という言葉を聞くと、ブログではヘッダーやサイドバーをイメージします。でも、メディアのフォーマットに合わせて出す広告ですから、ブログでは記事テイストになっているでしょう。はたして、それは「広告枠」なのかどうか、という疑問があるわけです。
普通に記事がリストで並んでいて、そのなかにネイティブ広告の記事が入っていたら、それを読者が「広告枠」と認識するでしょうか。もちろん、メディア側はその記事を広告枠と認識しています。でも、重要なのは読者がどう感じるかではないでしょうか。この「広告枠」をどう捉えるかでも、問題がありそうな予感がします。
いろいろ考えてみましたが、とりあえずまとめてみましょう。
第一に、「ネイティブ広告は新しい広告手法になるのかもしれないけれども、ステマ的なものが混ざってしまう可能性は消しきれない」。
第二に、「であることを考慮し、ネイティブ広告であっても、きちんと広告であることを明示すべき」。
第三に、「明示は、読者が読み終わってからわかったり、あるいは隅々までチェックしてはじめてわかるものではなく、記事を読む前から<これは広告枠に入っている記事だ>とわかるようにしておくことを意味している」。
あたりなのかな〜、という気がします。
でないと、「広告」という文字を入れたくないから「ネイティブ広告」をやろう、みたいな発想が次々湧いてきてしまうのを止められないでしょう。もし、「いや、広告っていれちゃったらネイティブ広告やる意味なくなるんだよ〜」という返答が返ってくるなら、やっぱりそれは歪んでいると思います。
有用なコンテンツがそこで展開されているなら、広告表示の有無など気にならないはずです。それが気になるということは、コンテンツでないものをコンテンツっぽくして送り込もうとしているということでしょう。きっと。