32/3780、です。
真ん中の歩き方: R-style selection |
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倉下忠憲
R-style 2014-08-28 |
何が? というと、濃縮率ですね。
当ブログは10年以上も続けており、現時点で3780を超える記事があります。そこから32の記事をセレクトして、本書に詰め込みました。なんと1/100以上。大吟醸もびっくりの精米歩合です。
セレクトにあたっては、(当ブログの)読者さんからいただいた「印象に残った記事」のご意見を大いに参考にさせていただきました。あと、私のお気に入りの記事も入っております。
手前味噌感全開にさせていただくと、面白い記事ばかりです。
テーマは?
このR-styleというブログは、いろいろなテーマについて書き散らかしているブログなんですが、支離滅裂というわけでもありません。通奏低音みたいなテーマが、姿を変えてひょこひょこ顔を出します。ある種の物事を、いろいろな角度からスケッチしている。そんな感じです。
今回はそれらをブログから引っこ抜き、本の形に並べてみました。
「何についての本なんですか?」と正面切って尋ねられるといささか答えに窮することになります。「考え方」「生き方」についての本、という点は間違いありませんが、それで言い切れた感があるかというと答えはNoです。まあ、こんな数行で言い切れるぐらいなら、わざわざ本を作ったりはしません。
とりあえず、違った時期に違った形で書かれた記事でも、「一冊」の中に並べてみることで、それぞれが内包するテーマ性みたいなものがもう少しくっきり浮かび上がるのではないかと感じています。
本?
ちなみに、こんなタイプの本は今まで存在しなかったでしょう。
常体・敬体が統一されていませんし、そもそも文章のフォーマットがバラバラです(※)。そういう意味では、「雑文集」ですらありません。これまでの「本」っぽいものを期待されて読むと、「んん?」という感触を抱かれることもあるかもしれません。
※すべて意図的に行っています。
しかし、このブログを購読されている方ならば、「R-style selection」ならこういう形にならざるを得ない、ということは理解していただけるかと思います。なんといっても、そういうブログなのです。
もう一度光をあてる
ブログ記事を一冊の本にまとめることの意義は、テーマ性を明確にすることだけではありません。
なにせ長年続けているブログです。本書に収められたブログ記事で一番古いものは2010年に書いたもの。4年前です。
で、ここ最近R-styleを購読し始めた人は、まずそんな記事にたどり着かないでしょう。意欲的に最初から一記事ずつ読めば話は別ですが、365日×4年分の記事を通り抜けなければなりません。気が遠くなりそうです。なんといっても、一記事2000字ぐらいあるわけですから。
一応各記事の下には「関連する記事」が表示されているわけですが、それにしても記事の数が多すぎます。それに、私の書く記事は「検索でヒットして読まれる」タイプの文章ではありません。はてなブックマークが付くような記事でもありません。
結果的に、昔書いた記事はどんどん発見されにくくなり、読まれなくなってしまいます。
それがブログなるものの宿命だと言ってしまえばそれまでですが、個人的には惜しい気持ちがあります。だって、一記事一記事必死に書いているのですから。それに__自分で言うのも何ですが__、時間が経っても読むに耐えうる記事を書いているつもりです。
埋没したらそれでおしまい、というのであれば、ブログ的傾向は「検索されるような記事でないと意味がない」みたいな風潮が生まれてしまうでしょう。それはちょっと悲しいことです。もちろん、検索される記事には価値があります。でも、それ以外の文章に価値がないわけではないでしょう。
そうした文章に光を当てるための、一つの手段なのかな、と感じています。
総じて言うと、「昔に書いた記事も面白いから、読んでね」ということです。
さいごに
今回の本は当初「厳選集」にしようかと想定していました。つまり、テーマ性は抜きにして面白い記事を集める、という趣向です。
が、記事を集めてみると100近くにもなってしまい、さらに混乱の度合い(なんだかよくわからない感)が頂点に達しました。さすがに収拾がつきそうもありません。
というわけで、今回は「考え方」「生き方」にできるだけ沿うもの(完全に沿うわけではない)をセレクションした形に落ち着きました。これで良かったと個人的には感じています。
すると、今回はセレクトされなかった記事が60以上あるわけです。主に「タスク管理に関する文章」「知的生産にまつわる文章」「書評関連の文章」が残りました。これらも当ブログで、長い間顔を見せているコンテンツです。
ということは、似たようなコンセプトの本が二、三冊は期待されるということですね。
来月の「月刊くらした」計画もぜひお楽しみに。
▼こんな一冊も:
ブログにアップした、ショートショートを集めた一冊です。
Category Allegory |
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倉下忠憲
R-style 2014-06-24 |